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Chapter3(Stargazer編)
Chapter3-⑦【涙】
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「忙しそうですね。
ペニスプラグと言いましたか?
ひとつ頂けますか。」
帰り支度の終えた仁藤が声を掛けて来た。
「お疲れ様です。
サポートが中途半端になってしまって、すみません。」
気まずさで、つい目を逸らしてしまう。
ショーケースからペニスプラグを出し、伏目がちに紙袋を差し出す。
「帰ったら、早速装着してみますよ。」
えげつない笑みを湛えた仁藤が指を絡めてきた。
驚いて視線を上げる。
鼓動が早まり、手を引き戻す事が出来ない。
「今日も、昨日の日サロに行きます。
このプラグを挿してね。
タカユキさんも来て下さい。
待ってます。」
仁藤は一方的に言うと、背中を向けた。
「やる気あんのか?
ないならとっとと帰れ!」
怒声がジムに響いた。
会員が皆振り向く。
タカユキは慌てて、発生源の下に駆け寄る。
「どうしたんですか?」
脇で項を垂れている年配者に声を掛けた。
「どうもこうもねぇよ!
こいつが俺のキンタマを握ったんだ!」
顔を真っ赤にしたケンゴが吠える。
「ここはジムなんだよ!
触りたかったらウリ専に行け!」
怒りは収まらない。
「悪いけど、ケンゴさんはフロントへ行ってて下さい。
お客様とは私が話をします。」
タカユキが割って入ると、ケンゴは悪態を吐きながらカウンターに向かう。
「失礼しました。
宜しかったら、奥で話を伺います。」
小刻みに震える肩に手を置く。
「なんだよ!
ちょっと触ったくらいで。
あんたら、そんな格好で働いているんだから、ウリ専と代わらん事してるんじゃない
の?」
年配者が聞こえよがしに放言した。
「何だと!俺と一緒にするなぁ!」
行き掛けたケンゴが踵を返す。
血相を変え、年配者に飛び掛かってきた。
思い切り振りかざしたパンチの前に飛び込む。
年配者を庇った身体がマシンにすっ飛んだ。
「な、何、邪魔すんだよ…。」
的が変わり、狼狽している。
「これで気が済んだか?」
立ち上がり、手の甲で口元の出血を拭う。
「どうしたんですか?
何があったんですか?」
出社して来た岩佐が声を荒げて聞く。
「ケンゴさん、スタッフルームに行ってなさい!
タカユキさんはこの場を収拾して下さい。」
岩佐は指示を出すと、ケンゴを連れてスタッフルームに入って行った。
「皆さん、お騒がせしました。
トレーニングを続けて下さい。
宜しくお願いします!」
大声を張ると、会員達は使っていたマシンに戻って行った。
二人が入っていったドアをじっと見詰める。
「タカユキさん、格好良かったよ!」
ケンゴファンのコージが話し掛けてきた。
「めちゃイケてた!
ケンゴさんも天狗になり過ぎだよな。
あれじゃ、ドン引きだよ。」
カズキも相槌を打つ。
「今日からタカユキさんに鞍替えするから。」
コージが宣言した。
「お疲れ様でした。
鰻の出前を注文したので、届くまで暫く待って下さい。」
岩佐の労いに返事をするのも億劫だ。
トラブルの後、ケンゴは帰らされたので通しで働いた。
「ケンゴはどうなりますか?」
沈黙が続く中、恐る恐る口を開く。
「勿論、クビです。
どんな理由があろうと、お客様に殴り掛かるなんて以っての外です。
タカユキさんのお陰で、大事に至らず済みました。
本当にありがとうございます。」
岩佐が安堵の溜息を吐く。
「だったら…、ケンゴにも一回だけ、チャンスをあげて下さい。
私が責任を持って、指導します。
絶対にします。」
深々と頭を下げる。
「あいつ、本当にいい奴なんです。
あいつ以外と仕事は出来ません。
もしあいつをクビにするなら…。」
視界がぼやけ、声が詰まった。
良い返事が聞けるまで、決して顔は上げない。
「分かりました。
一度だけ大目に見ましょう。
ただタカユキさんが庇っても、本人に自覚がなければ意味がありません。
明日の朝、反省とやる気を証明する様にと、ケンゴさんに伝えて下さい。」
根負けした岩佐が譲歩した。
タイミング良く自動ドアが開き、岡持ちが顔を出す。
取りに行く岩佐の背に、泣き笑いの表情で頭を下げた。
(つづく)
ペニスプラグと言いましたか?
ひとつ頂けますか。」
帰り支度の終えた仁藤が声を掛けて来た。
「お疲れ様です。
サポートが中途半端になってしまって、すみません。」
気まずさで、つい目を逸らしてしまう。
ショーケースからペニスプラグを出し、伏目がちに紙袋を差し出す。
「帰ったら、早速装着してみますよ。」
えげつない笑みを湛えた仁藤が指を絡めてきた。
驚いて視線を上げる。
鼓動が早まり、手を引き戻す事が出来ない。
「今日も、昨日の日サロに行きます。
このプラグを挿してね。
タカユキさんも来て下さい。
待ってます。」
仁藤は一方的に言うと、背中を向けた。
「やる気あんのか?
ないならとっとと帰れ!」
怒声がジムに響いた。
会員が皆振り向く。
タカユキは慌てて、発生源の下に駆け寄る。
「どうしたんですか?」
脇で項を垂れている年配者に声を掛けた。
「どうもこうもねぇよ!
こいつが俺のキンタマを握ったんだ!」
顔を真っ赤にしたケンゴが吠える。
「ここはジムなんだよ!
触りたかったらウリ専に行け!」
怒りは収まらない。
「悪いけど、ケンゴさんはフロントへ行ってて下さい。
お客様とは私が話をします。」
タカユキが割って入ると、ケンゴは悪態を吐きながらカウンターに向かう。
「失礼しました。
宜しかったら、奥で話を伺います。」
小刻みに震える肩に手を置く。
「なんだよ!
ちょっと触ったくらいで。
あんたら、そんな格好で働いているんだから、ウリ専と代わらん事してるんじゃない
の?」
年配者が聞こえよがしに放言した。
「何だと!俺と一緒にするなぁ!」
行き掛けたケンゴが踵を返す。
血相を変え、年配者に飛び掛かってきた。
思い切り振りかざしたパンチの前に飛び込む。
年配者を庇った身体がマシンにすっ飛んだ。
「な、何、邪魔すんだよ…。」
的が変わり、狼狽している。
「これで気が済んだか?」
立ち上がり、手の甲で口元の出血を拭う。
「どうしたんですか?
何があったんですか?」
出社して来た岩佐が声を荒げて聞く。
「ケンゴさん、スタッフルームに行ってなさい!
タカユキさんはこの場を収拾して下さい。」
岩佐は指示を出すと、ケンゴを連れてスタッフルームに入って行った。
「皆さん、お騒がせしました。
トレーニングを続けて下さい。
宜しくお願いします!」
大声を張ると、会員達は使っていたマシンに戻って行った。
二人が入っていったドアをじっと見詰める。
「タカユキさん、格好良かったよ!」
ケンゴファンのコージが話し掛けてきた。
「めちゃイケてた!
ケンゴさんも天狗になり過ぎだよな。
あれじゃ、ドン引きだよ。」
カズキも相槌を打つ。
「今日からタカユキさんに鞍替えするから。」
コージが宣言した。
「お疲れ様でした。
鰻の出前を注文したので、届くまで暫く待って下さい。」
岩佐の労いに返事をするのも億劫だ。
トラブルの後、ケンゴは帰らされたので通しで働いた。
「ケンゴはどうなりますか?」
沈黙が続く中、恐る恐る口を開く。
「勿論、クビです。
どんな理由があろうと、お客様に殴り掛かるなんて以っての外です。
タカユキさんのお陰で、大事に至らず済みました。
本当にありがとうございます。」
岩佐が安堵の溜息を吐く。
「だったら…、ケンゴにも一回だけ、チャンスをあげて下さい。
私が責任を持って、指導します。
絶対にします。」
深々と頭を下げる。
「あいつ、本当にいい奴なんです。
あいつ以外と仕事は出来ません。
もしあいつをクビにするなら…。」
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「分かりました。
一度だけ大目に見ましょう。
ただタカユキさんが庇っても、本人に自覚がなければ意味がありません。
明日の朝、反省とやる気を証明する様にと、ケンゴさんに伝えて下さい。」
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取りに行く岩佐の背に、泣き笑いの表情で頭を下げた。
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