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Chapter4(Remember You編)
Chapter4-⑦【赤い靴】
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プールサイドの時計を見ると、三時半だった。
これからどうしようかと思案する。
今日を逃すと、また一週間禁欲生活だ。
何が何でも放出したい。
スマホが震え、一通のメールを着信する。
開いてみると、ケンゴの名前が太字で浮かぶ。
『今、ジャニと旅行会社に来てるんだ。
お前の意見も聞いてやるから、晩飯でも食おうぜ。』
思わず吹き出してしまう。
ケンゴらしい文章だった。
八時頃に行くと返信し、のんびりと遊歩道を歩く。
「赤い靴、はいてた女の子、異人さんにつれられて行っちゃった…。」
疎覚えの童謡が口を衝く。
野球を終えた少年達と擦れ違う。
その内の一人が小さなビキニを指差して笑った。
仲間の視線が指の先に向く。
「変態!変態!」
子供達の大合唱が始まった。
タカユキは子供達の奥で咲く紫陽花に焦点を合わす。
開花した後に散ることなく、干からびていく花が嫌いだった。
潔くなく、未練がましい印象の所為だ。
便所から男が出て来た。
極小のビキニに視線が留まる。
飢えた視線が絡み合う。
顎髭を蓄えた精悍な顔立ちだ。
張りのある真っ黒な筋肉から、外国の血が混ざっている事が分かった。
白いタンクトップが黒い肌に映えている。
男はニヤリと笑うと、顎を突き出す。
付いて来いのサインだ。
グランド脇の林の中に身体を滑り込ませた。
躊躇う事なく、後に続く。
真夏の陽射しを遮った林の中は鬱蒼としていた。
男は木々を掻い潜り、奥へ進んでいく。
鬱蒼とした中に陽射しが集まる区画に出た。
そこにシートが敷いてあり、タンクトップを脱いだ男が横たわる。
ビキニ姿になった男は全身にオイルを塗りたくった。
顔も身体もギトギトになった男は、仕上げとしてオイルを亀頭に注ぐ。
そしてゆっくりと扱き出した。
顎を突き上げ、身体を反らす。
精悍な顔立ちは淫らに崩れ、半開きの口から涎が滴り落ちた。
天然のスポットライトを浴びた男が光り輝く。
ライトの中へ、ふらふらと歩み寄る。
ビキニの上から舌を這わす。
男の手が尻から秘部に到達する。
ディルドの存在を知り、満足げに笑う。
「俺にも入れてくれないか?」
上目遣いの男が股を開く。
後ろ向き、男の目の前に尻を突き出す。
両手を後頭部で組み、思い切り気張る。
しかし簡単に排出が出来ない。
ディルドは出掛かっては戻るを繰り返すだけだ。
「うおぉぉう。
やっぱ変態は溜まらんなぁ!」
男が顔を尻に押し付けてきた。
枯れ草を踏む音がした。
視線を音の方向へ向ける。
板野が立っていた。
悲しげな瞳だ。
「うおぉ、うおぉ!」
淫靡な声が木々に吸い込まれる。
愁いを帯びた顔が横を向く。
腰をゆっくり引くと、ビキニを戻す。
「ゴメン、知り合いが来た。」
歪んだ顔に伝える。
「知り合いって、何処だよ!」
男が睨む。
「何処って、すぐそこに…。」
振り向く視界には生い茂る木々しか映らない。
追風が林を駆け抜けた。
罵詈雑言を捲くし立てる男を後にして、林を出る。
遊歩道に立ち、左右を見回す。
板野の姿は何処にもない。
「おい、中の奴とやったのか?」
背後から声がした。
林からジャージ姿の男が出て来た。
髪の毛に枯れ葉が付いている。
風はもう止んでいた。
「いや、しなかった…。」
ボソッと答える。
「なら、良かったな。
アイツは病気持ちだから、地元の奴は誰も相手にしないぜ。」
ジャージ男が髪の毛の葉を掃う。
「そうなんだ…。」
男の肩越しに、もう一度林の中を覗く。
「アンタみたいな一見を喰っては病気を移してんだ。
気を付けろよ。」
男はまた林の中に入って行った。
「今日は板野さんに二度も助けられたな。」
伸びた影に呟く。
梅雨明けを待ち侘びた太陽は、夕刻を前にしてもまだまだ衰えを知らない。
「異人さんにつれられて行っちゃった…。」
道端で着替えると、のんびりとバス停に向かった。
(つづく)
これからどうしようかと思案する。
今日を逃すと、また一週間禁欲生活だ。
何が何でも放出したい。
スマホが震え、一通のメールを着信する。
開いてみると、ケンゴの名前が太字で浮かぶ。
『今、ジャニと旅行会社に来てるんだ。
お前の意見も聞いてやるから、晩飯でも食おうぜ。』
思わず吹き出してしまう。
ケンゴらしい文章だった。
八時頃に行くと返信し、のんびりと遊歩道を歩く。
「赤い靴、はいてた女の子、異人さんにつれられて行っちゃった…。」
疎覚えの童謡が口を衝く。
野球を終えた少年達と擦れ違う。
その内の一人が小さなビキニを指差して笑った。
仲間の視線が指の先に向く。
「変態!変態!」
子供達の大合唱が始まった。
タカユキは子供達の奥で咲く紫陽花に焦点を合わす。
開花した後に散ることなく、干からびていく花が嫌いだった。
潔くなく、未練がましい印象の所為だ。
便所から男が出て来た。
極小のビキニに視線が留まる。
飢えた視線が絡み合う。
顎髭を蓄えた精悍な顔立ちだ。
張りのある真っ黒な筋肉から、外国の血が混ざっている事が分かった。
白いタンクトップが黒い肌に映えている。
男はニヤリと笑うと、顎を突き出す。
付いて来いのサインだ。
グランド脇の林の中に身体を滑り込ませた。
躊躇う事なく、後に続く。
真夏の陽射しを遮った林の中は鬱蒼としていた。
男は木々を掻い潜り、奥へ進んでいく。
鬱蒼とした中に陽射しが集まる区画に出た。
そこにシートが敷いてあり、タンクトップを脱いだ男が横たわる。
ビキニ姿になった男は全身にオイルを塗りたくった。
顔も身体もギトギトになった男は、仕上げとしてオイルを亀頭に注ぐ。
そしてゆっくりと扱き出した。
顎を突き上げ、身体を反らす。
精悍な顔立ちは淫らに崩れ、半開きの口から涎が滴り落ちた。
天然のスポットライトを浴びた男が光り輝く。
ライトの中へ、ふらふらと歩み寄る。
ビキニの上から舌を這わす。
男の手が尻から秘部に到達する。
ディルドの存在を知り、満足げに笑う。
「俺にも入れてくれないか?」
上目遣いの男が股を開く。
後ろ向き、男の目の前に尻を突き出す。
両手を後頭部で組み、思い切り気張る。
しかし簡単に排出が出来ない。
ディルドは出掛かっては戻るを繰り返すだけだ。
「うおぉぉう。
やっぱ変態は溜まらんなぁ!」
男が顔を尻に押し付けてきた。
枯れ草を踏む音がした。
視線を音の方向へ向ける。
板野が立っていた。
悲しげな瞳だ。
「うおぉ、うおぉ!」
淫靡な声が木々に吸い込まれる。
愁いを帯びた顔が横を向く。
腰をゆっくり引くと、ビキニを戻す。
「ゴメン、知り合いが来た。」
歪んだ顔に伝える。
「知り合いって、何処だよ!」
男が睨む。
「何処って、すぐそこに…。」
振り向く視界には生い茂る木々しか映らない。
追風が林を駆け抜けた。
罵詈雑言を捲くし立てる男を後にして、林を出る。
遊歩道に立ち、左右を見回す。
板野の姿は何処にもない。
「おい、中の奴とやったのか?」
背後から声がした。
林からジャージ姿の男が出て来た。
髪の毛に枯れ葉が付いている。
風はもう止んでいた。
「いや、しなかった…。」
ボソッと答える。
「なら、良かったな。
アイツは病気持ちだから、地元の奴は誰も相手にしないぜ。」
ジャージ男が髪の毛の葉を掃う。
「そうなんだ…。」
男の肩越しに、もう一度林の中を覗く。
「アンタみたいな一見を喰っては病気を移してんだ。
気を付けろよ。」
男はまた林の中に入って行った。
「今日は板野さんに二度も助けられたな。」
伸びた影に呟く。
梅雨明けを待ち侘びた太陽は、夕刻を前にしてもまだまだ衰えを知らない。
「異人さんにつれられて行っちゃった…。」
道端で着替えると、のんびりとバス停に向かった。
(つづく)
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