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部屋に乱入してきた異形の怪物を、ミオは観察する。
ミオの目の前にいる存在は、妖魔でなければ、妖怪か悪魔とでも表現するしかない姿だった。
鋭く汚らしい爪の付いた四本の足で立ち、小汚い茶色の皮膚で覆われた身体は、三メートルほどもあった。
体重は、二百キロ前後にもなるだろう。
シワだらけの顔には、釣りあがった大きな目玉が三つ、横一列に並んでいる。端から涎を垂らす口の中には、黄色く変色した不揃いな牙が並んでいた。
背中にはコウモリのような羽が一対生え、尻尾の先にはネズミに似た邪悪な生物の頭が歯を剥いていた。
巨大で禍々しい四足獣だ。
「なるほど妖魔か」
「そいつは獣鬼だ。見た目通りに強いし、仲間を呼ぶ厄介な奴だ。暢気に観察なぞしていないで、戦え。ミオ・オスロン」
妖魔という呼称について納得するミオに、軍刀を引き抜いたハイテが戦いを迫る。
「淑女に戦えというのか? それ以前に、人を足手まとい扱いしておいて、戦いを強いるのか。お前の羞恥心は、どこへ遊びに言っているのだ。助けて欲しいなら、頭を垂れて哀願しろ」
ハイテにキツイ嫌味を言っていながら、ステッキを握るミオは、やる気に満ち溢れていた。
いや、ミオの心中に沸き起こるエネルギーは、やる気というほど、良い感情ではなかった。
ステッキを握ったミオ脳内には、獲物を見つけた詐欺師のような喜びと、嗜虐心に猛る殺人鬼の精神とでもいうべき、昏く冒涜的な精神が沸き上がっていた。
ミオが無駄に男気溢れる武術家の精神をもっていなければ、ステッキを握った時点で人格を飲み込まれてしまっていただろう。
とはいえ、ステッキにより沸き上がる昏く猟奇的な力は強く、ミオを堕落させるために、精神を犯そうとしてきていた。
唐手の呼吸法である息吹を用いて、ミオは精神を集中させ、自我を保つよう努めた。
自然とミオは、唐手の型・セイサンの呼吸法を行っていた。
自身の急激な変化に対応しようとするミオに、ハイテの冷静なようで苛立ちのこもった声がかけられる。
「流れるような悪口をたれる淑女が、どこの世界にいる。そのステッキを持っても死にも狂いもせなぬのなら、戦力になると判断しただけだ」
「死、狂う? どういう意味――」
「ギィッシャー!」
ミオの問う声は、飛び掛かってくる妖魔・獣鬼によって中断された。
ミオの目の前にいる存在は、妖魔でなければ、妖怪か悪魔とでも表現するしかない姿だった。
鋭く汚らしい爪の付いた四本の足で立ち、小汚い茶色の皮膚で覆われた身体は、三メートルほどもあった。
体重は、二百キロ前後にもなるだろう。
シワだらけの顔には、釣りあがった大きな目玉が三つ、横一列に並んでいる。端から涎を垂らす口の中には、黄色く変色した不揃いな牙が並んでいた。
背中にはコウモリのような羽が一対生え、尻尾の先にはネズミに似た邪悪な生物の頭が歯を剥いていた。
巨大で禍々しい四足獣だ。
「なるほど妖魔か」
「そいつは獣鬼だ。見た目通りに強いし、仲間を呼ぶ厄介な奴だ。暢気に観察なぞしていないで、戦え。ミオ・オスロン」
妖魔という呼称について納得するミオに、軍刀を引き抜いたハイテが戦いを迫る。
「淑女に戦えというのか? それ以前に、人を足手まとい扱いしておいて、戦いを強いるのか。お前の羞恥心は、どこへ遊びに言っているのだ。助けて欲しいなら、頭を垂れて哀願しろ」
ハイテにキツイ嫌味を言っていながら、ステッキを握るミオは、やる気に満ち溢れていた。
いや、ミオの心中に沸き起こるエネルギーは、やる気というほど、良い感情ではなかった。
ステッキを握ったミオ脳内には、獲物を見つけた詐欺師のような喜びと、嗜虐心に猛る殺人鬼の精神とでもいうべき、昏く冒涜的な精神が沸き上がっていた。
ミオが無駄に男気溢れる武術家の精神をもっていなければ、ステッキを握った時点で人格を飲み込まれてしまっていただろう。
とはいえ、ステッキにより沸き上がる昏く猟奇的な力は強く、ミオを堕落させるために、精神を犯そうとしてきていた。
唐手の呼吸法である息吹を用いて、ミオは精神を集中させ、自我を保つよう努めた。
自然とミオは、唐手の型・セイサンの呼吸法を行っていた。
自身の急激な変化に対応しようとするミオに、ハイテの冷静なようで苛立ちのこもった声がかけられる。
「流れるような悪口をたれる淑女が、どこの世界にいる。そのステッキを持っても死にも狂いもせなぬのなら、戦力になると判断しただけだ」
「死、狂う? どういう意味――」
「ギィッシャー!」
ミオの問う声は、飛び掛かってくる妖魔・獣鬼によって中断された。
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