花の大帝

寿里~kotori ~

文字の大きさ
5 / 10

公使

しおりを挟む
 セルシスが高熱から回復したので満月の夜に再び、ミモザお父さまとお逢いできると楽しみにしていた私の許に招かれざる客がやって来た。

 お客さまは、ローズ姉さまの夫君であらせられる帝国の皇帝陛下の弟君、ガーデニア公爵さま。お義兄さまである皇帝陛下の名代でセルシスの快癒を祝して使者として遣ってきたと云うけれど、絶対にあやしいわ。絶対にスパイよ! 我が王国の陰のフィクサーとも云うべきセルシスを危険にさらすスパイだと私が警戒しているのに女王陛下であられるお母さまは易々とガーデニア公爵を賓客として宮殿に招き入れた。

「長旅ご苦労でした。ガーデニア公爵殿、あなたを客人としてお迎えします。ゆっくり旅の疲れを癒してくださいね」

 女王のお母さまが滞在を許したせいで、義兄の弟という、超絶どうでもいい御仁が宮殿に滞在していて落ち着かない。ガーデニア公の年齢は19歳で既婚者らしいけれど、ニンファは心底嫌そうに呟いている。

「アイツ、既婚者だけど油断できない。ローズ姉上の手紙に書いてあった。正妻以外に愛妾が男女問わずいるって噂がある」

「愛妾って普通はご婦人ではないの?」

 お母さまは女王陛下で、ミモザお父さまが見罷って以降も愛人はいらっしゃらない。王太子のライラックお兄さまも、軍人のイリスお兄さまもまだ未婚で愛人もいなかった。婚約者はいらっしゃるけれど私のお兄さま方は総じてチャラ男ではない。それに比べてガーデニア公爵さまは相当に浮わついている御仁なのね、と思っていたら、ニンファが小声で耳打ちしてきた。

「ガーデニア公は男女ともに大好きらしい。ヴィオラ、お前はガーデニア公と関わるなよ。ロリコン公爵のおそれがある。節操なしで穢らわしい」

 普段は軽薄なニンファが予想外にガーデニア公を嫌悪し、警戒しているけれど、当のガーデニア公はすっかり宮殿に溶け込んで、楽しく過ごしている。武術や狩猟に長けているらしくて次兄のイリスお兄さまとは意気投合していた。

「ガーデニア公! 明日も狩猟は如何かな? どちらが獲物をたくさん獲れるか競争しようぞ!」

 基本的に脳筋なイリスお兄さまはガーデニア公とすっかりマブダチになっているけれど、ガーデニア公は晩餐の席で丁寧に辞退の言葉を述べた。

「親愛なるイリス殿下。せっかくのお誘いを申し訳ないが、私はセルシス殿下の快癒祝いの使者として罷りこしたのです。皇帝陛下である兄の名代として私はセルシス殿下と話さなくてはなりませぬ」

 この発言にイリスお兄さまは顔色を変えなかったけれど、不愉快そうに口火を切ったのがニンファだ。

「兄セルシスは、壮健だ。貴公はイリス兄上と狩りに出ては如何か?」

 ニンファはセルシスが心身を疲弊する事柄を嫌うので露骨に嫌そうに睨んでいるけれどガーデニア公も負けてはいない。

「ニンファエア殿下はほんに双子の兄君であらせられるセルシス殿下がご心配なのですな。ププッ、ブラコン! おっと! 失礼」

 晩餐の席で、ガーデニア公から茶化されるようにブラコンと呼ばれたニンファは顔を真っ赤にして何か言おうとしたが、王太子のライラックお兄さまがそれを制した。

「これ! ニンファエア、大切なお客人を睨むな。お主がブラコンであるという事実はガーデニア公の仰るとおり。まったく、いつまでも子どもで困り者だ」

「ライラック兄上! セルシスは病み上がりです。こんな、無礼な使者など皇帝陛下の弟君でもセルシスに近付かせたくありませぬ」

 ニンファが悪態をついて喰い下がると状況を見ていたダリア姉さまが穏やかに口を挟んだ。

「あらあら! ニンファエア、お客さまになんて御無礼な。ガーデニア公爵さまと面会するのを決めるのはセルシスよ。あなたが口を出すものではないわ。ガーデニア公爵さま、ニンファエアはまだ兄離れ……双子兄離れできていませんの。御無礼をお許しくださいましね」

「ダリア姫さま、お気になさらず! 病身の双子の兄君を心から案じているニンファエア殿下が健気でお可愛いらしくて私もついつい戯れ言を申してしまいました」

 ガーデニア公は寛大な笑みを湛えて、変わらず嫌悪感丸出しで睨んでいるニンファの無礼な態度を面白がっている。流石は皇帝陛下の弟君で正式な遣いだけあり大人な対応だ。19歳なんてライラックお兄さまやイリスお兄さまより年少で、ダリア姉さまと同年代なのに、高貴な出自に反して気さくで和やかな雰囲気なので私は思わず感心してしまった。

 お母さまは何も言わず、ニンファとガーデニア公のにらみ合いを見ている。いつもはニンファがオイタをすると杖で殴るお母さまだけれども、やはり皇帝陛下の弟君という賓客の前で折檻はしなかった。
 ちなみに肝心のセルシスは他国から公式の使者が来たときは、自分のお顔の痕で、お客さまが不愉快になることを気遣って決して顔を出さない。私たち家族は見慣れていても、セルシスの病の痕は隠しようがないので、公使の前には姿を現さないと決めていた。我が国の貴族や民衆には受け入れられても、皇帝陛下の正式な使者で弟君の前で醜い顔を晒すのは、国家の恥とセルシスは考えている。私はセルシスは少し考えすぎだと思うけれど、セルシスは頑なに晩餐の席にはつかなかった。

 するとガーデニア公が堂々と願い出てきた。

「セルシス殿下と直々にお話しがしたい。私はそのためにこの国に来たのです。兄からの勅命ですから」

 皇帝陛下が遣わした公使にそれを言われたら、たとえ女王であるお母さまや王太子のライラックお兄さまであっても無下に断れないだろう。そう思っていたら、ニンファが毅然とした声色で明確に拒絶した。

「セルシスは身体が弱い。貴公と会っても百害あって一利なし。貴公はイリス兄上と狩りでアヒルでも狩っておけば如何か?」

 あくまでもセルシスをガーデニア公に会わせたくないニンファとセルシスとお逢いしたいガーデニア公の一騎討ちとなったので晩餐の席に緊張が走った。このままでは後でニンファがお母さまに杖で殴られてしまう、と危機感を覚えた私は、場を和ませるつもりで咄嗟に口を開いた。

「ガーデニア公爵さま! 明日は満月ですから御一緒にお散歩は如何ですか? 庭園は大輪の花で美しいですわ」

 明日は満月=ミモザお父さまの亡霊とお逢いする夜なのに……私のヴァカ! ヴァカ!

 そう悔いても遅かった。ガーデニア公はニッコリ微笑んで私のお誘いを快諾してしまったの。既婚者が12歳女子から夜の散歩に誘われ快諾するなクソが、と内心では憤慨したけれど、もう後には引けない。

「おお! ヴィオラント姫さま直々のお誘いとは、至極光栄です」

「お、おほほ……。兄のセルシスとニンファエアも一緒ですから気兼ねなさらず。庭園は花盛りですのよ」

「それは楽しみです。ヴィオラント姫さまが御一緒ならば私とセルシス殿下がお話ししてもニンファエア殿下も安心でしょう? 女王陛下、麗しい陛下の御子さま方と満月を眺めてもよろしいか?」

 お母さまはふたつ返事で「勿論ですわ。ガーデニア公爵殿、ヴィオラントはまだまだ幼く、ニンファエアはこの通り愚息ですが仲良くしてくださいね。セルシスは内気ですが優しい子ですから、あなた様と気が合うでしょう」

「もったいなきお言葉! 偉大なる女王陛下の御子さま方と懇意になれるとは身に余る光栄」

 お母さまから「愚息」と呼ばれたニンファは小声で「懇意じゃねーし」と毒づいたけれど、私の目で見てもこれはもうガーデニア公の圧勝なのは明らかだ。

 こうして、満月の夜、亡霊のミモザお父さまとお逢いする秘密の冒険に何の関係もないガーデニア公まで加わった。お母さまは、私が歳上の殿方であるガーデニア公に馴染んだと勘違いして夜のお散歩を反対してくれない。そこはお母さまなら反対してよ!

「どうしよう……。『西の離宮』にガーデニア公まで付いてくるわ」

 頭を抱える私にニンファは「仕方ねーだろ」と言うだけで表情を険しくしている。セルシスは夜の冒険にガーデニア公が加わるのを知っても驚かなかった。

「夜ならばいくぶん顔の痕は見えないから失礼にはあたらないかな」

 セルシスの心配するポイントってぶれない。

 亡きミモザお父さまのいらっしゃる離宮によそ者が入宮するのに、そんなノリでいいのかしら。そう案じていた私に反してセルシスは落ち着いているし、ニンファも後戻りできないと腹を決めている。

「亡霊であるミモザ父上がガーデニア公を呪い殺せば話は早い。アイツ、マジでムカつく」

 ニンファはミモザお父さまの呪いに頼っていたけれど、満月の夜までガーデニア公はピンピンしている。このお方、奥方さまを放って他国に長期滞在しすぎよ。まさか、見目麗しいニンファを皇帝陛下の弟君という権限でさらっていくのかと妄想していたら、私の妄想を察したようにガーデニア公はキッパリ否定してきた。

「ニンファエア殿下はたしかにお美しいが私の好みではない。私の妻も美女だが、まだ子供らしさが抜けず、気が強くてね。人は見目麗しい者だけに心を動かされるものではないのだよ」

 ニンファは、まだまだ子供っぽく、そこが可愛くて容貌は飛び抜けて綺麗だが、単にそれだけだと、ガーデニア公は一蹴した。

「ヴィオラント姫、ついでに私はロリコンではないので期待しないでくださいね。姫さまは大変お可愛らしく間違いなく大人になれば美女となりますが妄想癖を改めた方がよいでしょう」

 爽やかに正論を述べてくるガーデニア公に痛いところを突かれ、私はついつい唇を尖らせた。このお方、チャラ男だと侮っていたら意外と冷静に私たちのことを観察しているんだもの。

「ガーデニア公爵さま、私もあなたみたいな見境のないスケコマシは嫌いよ。奥方さまがいらっしゃるのに男女問わず愛妾がいる殿方なんて、セルシスにも亡きミモザお父さまにも逢わせたくない」

 皇帝陛下であるお義兄さまの弟君であり使者でもあるガーデニア公相手にニンファと同じく悪態をついてしまったと口に出してから慌てたけれど、ガーデニア公は気分を害している様子はない。

「はは! 皇妃であらせられる義姉上さまはそのようなこともご実家に知らせているのですね。ヴィオラント姫、あなたは少々誤解されておられる。神に誓って私に愛妾はおりません。妻とは新婚で政略結婚なので折り合いが悪いですが」

「あら? ではローズ姉さまが嘘を書いたとでも」

 私が追及すると、ガーデニア公は困ったような笑顔で説明してくださった。
 なんでも、ガーデニア公の奥方さまは少し幼く嫉妬深い性格で、夫君であるガーデニア公が屋敷の下働きの若い女中や身分の低い下男を優しく労っただけで浮気だと怒って、皇妃であるローズ姉さまに告げ口しているらしい。ローズ姉さまはそれは誤解であると理解していたが、皇帝一族でありながら本来ならば口を利くことも許されない下働きの女中や下男にも平気で気さくに声をかけるガーデニア公を希に見る博愛主義者であると評して、それをセルシスへの手紙に書いた。しかし、高貴な出自の者が、下働きに親しみを込めて接するなんておかしいとニンファはローズ姉さまの手紙を読んで不信感を覚えたのだ。

「ニンファエア殿下は自由なようで典型的な王族ですね。それは、王子という身分ならば仕方のないことですが、私たちが何不自由なく優雅に暮らせるのは陰ながら身を粉にして働く者たちがいるからです。セルシス殿下はそういう事柄を深く理解されている」

 ニンファはセルシスのことだけは純粋に心配し大切にするけれど、そもそもセルシスが幼少期に夭逝しないで済んだのは王家の第3王子であり、最高の医学と薬学の恩恵を受けられからだという現実をニンファはまるで分かっていないとガーデニア公は少し手厳しく酷評した。

 ガーデニア公の言葉に私は何も言い返せなかった。ニンファと同じく私も自身の身分や待遇を当然なものと享受して、いかにそれが特権であり、恵まれているか自覚がなかったのだから。

「セルシスはきっと自分の恵まれた立場をずっと前から分かっていたのね」

「そういうことです。ニンファエア殿下も愚かではない。もう少しご成長なされば己の高貴な立場にかされた責務に気付くことでしょう」

 私はひたすらガーデニア公の見識と聡明で豊かな心映えに感服してしまった。このお方は、真の貴公子である。ダイアナお母さまは、当然ガーデニア公の本質を分かっていらっしゃったのだ。恐らくはライラックお兄さまやイリスお兄さま、ダリア姉さまも。

 すっかりガーデニア公を尊敬してしまった私だけれど、満月の夜、ニンファと並んで薄いヴェールで顔を隠したセルシスに対してガーデニア公がおもむろにセルシスのヴェールを剥がして告げた言葉で、彼への尊敬の念が微妙に薄れた。

「私の最推しはセルシス殿下です。新妻も愛しておりますが、私は元来、控えめで思慮深く、聡明で優しい心を持った人間を最も好ましいと思っております。男女問わず! セルシス殿下は好みのど真ん中であらせられる」

 このお方、清廉潔白で立派な貴公子だと見直したけれど、セルシスへの言葉の主旨からして普通に男女ともに大好きじゃない! しかも、セルシスを完全に守備範囲にしている。

 せっかく礼儀のために被った薄いヴェールを剥がされ、変態公爵から最推しですと告白されたセルシスは、ガーデニア公をぶん殴ろうとするニンファを微笑みながら制した。

「それは身に余る光栄です。ガーデニア公、これからも、あくまでも、友人、としてどうぞよしなに」

「はっ! あぁ! ここで、ボーイズがLOVEする展開ならば、私はセルシス殿下といい仲に!」

「それは、ジャンル違いだから、なしです」

 果たして、ジャンル違いでガーデニア公とセルシスの仲はプラトニックになったけれど、ガーデニア公、コイツ、『西の離宮』にも普通に付いてくる!

「ミモザお父さま、ビックリしないかしら? セルシス最推し変態公爵さまが離宮まで付いてきて」

 満月が美しい夜道を歩きながら私がコソコソ囁くとニンファが少し笑った。

「ミモザ父上なら多分笑ってる。自分の息子を最推しなんて公言する変態公爵がいることを」

 こんな具合にガーデニア公も満月の『西の離宮』の冒険に参戦したけれど、その夜はミモザお父さまは亡霊として出てきては下さらなかった。

「セルシス殿下、お辛ければ、私がお支えます。お姫さま抱っこもできます」

「てめえ! ガーデニア公、セルシスを支えるのは俺の役目だ! いい加減ぶっ飛ばすぞ! セルシスをこれ以上触ったら、杖で殴るからな!」

 ニンファ……『貴公』を通り越して、ガーデニア公爵さまを『てめえ』と怒鳴っている。本当ならば皇帝陛下の弟君に対しては『貴殿』と呼ぶべきなのに失礼が度を越していて逆に清々しい。

 ガーデニア公とニンファがバチバチにセルシスを取り合っているので、ミモザお父さまはお出ましにならなかった。私は落胆したが、ミモザお父さまは、お顔の痕なんてまったく気にせず、セルシスの本質を理解して親しくしてくださるガーデニア公の存在に好感を持ったのかもしれない。

 満月のお散歩から数日後、ガーデニア公の奥方さまがご懐妊の書簡が宮殿に届き、ガーデニア公はセルシスとの別れを惜しみつつ、潔く帰国した。嫉妬深く気が強い奥方さまのことをガーデニア公はちゃんと愛していたのね。あのお方のそういうところ、嫌いではないわ。

 ガーデニア公待望の第1子は男児で、お名前はセルシスと命名された。自分の最推しと同じ名前を付けやがった。子供を授かってからは奥方さまとも良好な関係を築いて、とても仲睦まじい素敵なご夫婦になられたとローズ姉さまがお手紙で教えてくださった。

「ミモザお父さまの御加護なのかしら?」

 私が疑問に思って息を吐くと、ニンファはニヤリと笑ってこう告げたのだ。

「ミモザ父上は、『西の離宮の鍵の守護者』であるセルシスに裏表なく好意的なヤツには幸福を授ける。つまり、ガーデニア公はムカつくがめちゃくちゃ善良で高潔なんだよ」

 『西の離宮の鍵』って、そんなラッキーアイテムなのかしら、と疑問だけれども、ガーデニア公の奥方さまは子宝に恵まれると子供っぽさがなくなり、夫君であるガーデニア公が召使いに身分を問わず寛容かつ気さくに接することに理解を示し、嫉妬もしなくなったという。

 その後もガーデニア公は、お手紙を通じてセルシスと交流を続け、善き親友となっている。ニンファは少し複雑そうだけれど、顔の無惨な痕なんて関係なくセルシスの聡明さとお優しさに対して純粋に敬意を示すガーデニア公の心映えに色々と思うところがあるらしい。

「俺はガキっぽい。悔しいけどそれは事実だ」

 王家の王子として生まれたことの責務を、ニンファは少しずつだけれども自覚しつつあるみたい。私は不意にこんなことを考えた。

 きっと、ミモザお父さまは、ガーデニア公がとても聡明で高潔な貴公子だと最初から分かっていらっしゃった。そういう御仁と邂逅することで私やニンファが精神的に大人になるよう計らったのではないかしら。

 これは妄想ではなくて私の考察だけれど、本当のところはどうなのか……今度の満月の夜にミモザお父さまにお逢いできたら訊いてみよう。


 To Be Continued
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...