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凛の初舞台!
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学園祭の準備でK成学園はにわかに盛り上がってきた。
進学校でも特にK成は相当に学園イベントに熱狂する校風である。
K成学園祭の時期の薬指メンバーは忙しい。
ライブの準備の他に軽音楽ミュージカル部との合同公演の練習がバッティングしているのだ。
凛はクラスの手伝いの他は暇なので十六夜と学園祭を楽しもうと計画してたら甘かった。
久世から軽音楽ミュージカルの助っ人をしろと言われたのだ。
「部員が足りないらしい。白珠と設楽は主演だからモブで出てくれ」
「えっ!?俺はミュージカルなんて知らないし!!演技とかムリ!!」
そう言って断ろうとしたが久世には色々とかりがある。
友達として助けられるなら協力しなきゃ、と優しい凛は考えてしまった。
それに舞台に立つとかモブでも楽しいかも。
久世は凛が少し乗り気モードになっているのを素早く見抜いて助っ人の役割を告げた。
「軽ミュー(軽音楽ミュージカル部)の部長に頼まれた。白珠と設楽を少なくとも40分は舞台に立たせられる人材をくれって」
毎回設楽のアドリブで秒で公演が終わるので学園祭はキチンと台本通りにして欲しいらしい。
「わりと大役だな!でも、斗真がいれば大丈夫だろ?」
「斗真は学園祭では忙しい。演出はするが他にもやることがある」
つまり、凛はあの気紛れな白珠と設楽を監視する役を押し付けられてしまった。
彼らを台本通りに演技させる為にモブで舞台に立つなんて難易度がスカイツリーである。
なにをどうすれば良いのか見当もつかん!
「久世……俺にはやっぱムリかも」
友達の頼みなのに申し訳ないが凛は賢明にも断るという判断を下した。
だって、舞台が失敗したら凛の責任になること請け合いだ。
高等部の先輩もいるし理不尽な恨みを買いたくない!!
だが、久世は凛の最大の弱味を見事に突いてきた。
「十六夜には加藤が舞台デビューするって教えた。降板したら鉄道が大変だな」
久世の話では十六夜は凛が舞台で活躍する姿を凄く楽しみにしているという。
活躍といってもモブだが凛が出ないと知ったら山手線各線が危ない。
帰宅難民が出てしまう!
そういう経緯で凛は半ば強制的に軽音楽ミュージカル部の公演に端役として出演する羽目に陥った。
そして、放課後の稽古で演出顧問の斗真から凛の役割が告げられた。
「加藤は村人Aと海賊Bと宿屋と兵士と返事がない屍をよろしく!!」
「モブだけど役割多くね!?なんのミュージカルだよ!!RPGゲームか!?」
加藤凛は初舞台では異例の5役を任された。
でも、端役だし、台詞なんてほとんどないだろ、と渡された台本を読んでひっくり返った。
村人A「オッス!おら、村人A!オメー、強そうだな!?おら、モヤモヤすっぞ!!嫁がいてガキが2人いるけど、おら、ニートだぞ!息子は反面教師で学者になって、おら、モヤモヤすっぞ!!」
これは流石にファンの皆様に怒られるだろと凛は呆れたが斗真がさらにとどめをさした。
「これ、メロディでよろしく!」
「歌うんかい!!しかも、モブなのに台詞長い!!」
ここだけで相当にヤバい演目だが凛は真面目なので残りの役柄も確認してみた。
海賊B「この清掃を終わらせに来た!!」
どんな展開で海賊が清掃を終わらすのか気になる。
宿屋「休憩ですと2時間で3000円でーす!」
宿屋ってラブホかよ!?
あと、主演がラブホに行くミュージカルとか、学園祭ではNGではないのか!?
そして凛は台本を読み進めた。
途中だがこのミュージカルのストーリーは冒険ラブファンタジーである。
お城にいる姫(白珠)が公務とかウザくなり城下町に逃走した先で遍歴の騎士(設楽)と出逢って、2秒で宿屋に休憩しに行く。
しかし、姫を捜しにきた兵士たちに宿屋は囲まれ、大ピンチになる。しかし、そこに壁を破壊した巨人が襲ってきて宿屋は壊滅!
巨人が暴れて城下町がヤバくなったら海賊が登場して姫と騎士は海賊の船に便乗して駆け落ち。
適当な港町でおろしてもらって騎士は転職してSM倶楽部を開業して、姫は女王様にジョブチェンジして楽しく暮らしました。
おしまい!
「ダメだろ、この内容……台詞以前に教育的に問題作だ!」
誰がこんなイカれた台本を書いたのかと問いたいが高等部の先輩もいるのでツッコミは控えた。
これ、設楽が秒で終らせた方が正解だ。
途中までは許せても宿屋で休憩の段階からアウトだし、ラストがSM倶楽部である。
絶対に学園側から怒られる。
でも、興味はあるので凛は残りの兵士と屍の登場シーンを確認してみた。
こういう凛の真面目さが損クジを引く原因である。
兵士「いいから、黙って雪山で凍死しろ!!」
どういう状況下でこんな台詞がでるのか?
ここって巨人が暴れてるシーンで雪山は関係ない。
しかも、この兵士、巨人に食われて終わりである。
そして、最後は返事がない屍なので台詞はゼロだと思ったら台詞が存在した。
「踏んでください女王様」
これ、SM倶楽部の客だろ!
白珠が演じる女王様に踏まれるなんて凛にとっては生涯の黒歴史になる。
こういうのは設楽の担当だろ!?
俺まで白珠のM奴隷にするなと凛は思った。
こんな、初舞台を十六夜に絶対に見せたくない。
例え、首都圏の鉄道が全て運休になっても出演拒否する!!
凛はそう心に誓って斗真や軽音楽ミュージカルの皆さんに降板を訴えようとしたら部長らしき高等部の先輩に土下座された。
「この素晴らしいミュージカルの成功は加藤!お前にかかってる!!部長として頼む!!力になってくれ!!俺たちの青春の為に!!」
熱意は凄いが部長さん、これを上演した時点で青春は終るぞ。
そう言いたいのは山々だが凛という男の子は本気の嘆願に滅法弱い。
助けてあげようとか気持ちが揺らいでしまう。
だが、女王様のM奴隷の台詞はイヤだ!!
「先輩!!頭をあげてください!舞台には及ばずながら出ます!でも、1箇所台詞を変更してください」
凛は部長と斗真に屍の台詞を変えさせた。
変更後の返事がない屍の台詞はこれだ。
女王(白珠)「おい、ブタ!!灰皿!!」
屍は自分の手を差し出す。
女王(白珠)「豚足はいつから灰皿に昇格した?お前の汚ない顔面を灰皿にしてやるよ」
たしかに凛が絶対に言いたくない台詞はカットされたがミュージカルは益々、教育上、最悪な作品になってしまった。
憂鬱になる凛に設楽は不満げに言ってきた。
「旅人の灰皿になれるなら、お前が騎士やって俺が屍になる」
「設楽!そもそも、お前らが自由すぎる演技をするから俺は灰皿にされたんだよ!」
学園祭の準備は忙しい。
久世は軽音楽ミュージカル部の稽古を覗いたが凛が真面目に稽古をしてるので笑いそうになった。
「この、清掃を終わらせに来た!」
「加藤!!ここは見せ場だから海賊になりきれ!迫力だしてけ!」
「分かった!斗真!!」
凛が真面目に稽古するので設楽と白珠も珍しく本気である。
バンドのライブもあるので大変だが、軽音楽ミュージカルの舞台は常磐辰希と観劇しようと久世は思っていた。
最後になるがミュージカルのタイトルは「姫と騎士の冒険」である。
確実に色々と冒険して迷走してるミュージカルになるのは必至であった。
end
進学校でも特にK成は相当に学園イベントに熱狂する校風である。
K成学園祭の時期の薬指メンバーは忙しい。
ライブの準備の他に軽音楽ミュージカル部との合同公演の練習がバッティングしているのだ。
凛はクラスの手伝いの他は暇なので十六夜と学園祭を楽しもうと計画してたら甘かった。
久世から軽音楽ミュージカルの助っ人をしろと言われたのだ。
「部員が足りないらしい。白珠と設楽は主演だからモブで出てくれ」
「えっ!?俺はミュージカルなんて知らないし!!演技とかムリ!!」
そう言って断ろうとしたが久世には色々とかりがある。
友達として助けられるなら協力しなきゃ、と優しい凛は考えてしまった。
それに舞台に立つとかモブでも楽しいかも。
久世は凛が少し乗り気モードになっているのを素早く見抜いて助っ人の役割を告げた。
「軽ミュー(軽音楽ミュージカル部)の部長に頼まれた。白珠と設楽を少なくとも40分は舞台に立たせられる人材をくれって」
毎回設楽のアドリブで秒で公演が終わるので学園祭はキチンと台本通りにして欲しいらしい。
「わりと大役だな!でも、斗真がいれば大丈夫だろ?」
「斗真は学園祭では忙しい。演出はするが他にもやることがある」
つまり、凛はあの気紛れな白珠と設楽を監視する役を押し付けられてしまった。
彼らを台本通りに演技させる為にモブで舞台に立つなんて難易度がスカイツリーである。
なにをどうすれば良いのか見当もつかん!
「久世……俺にはやっぱムリかも」
友達の頼みなのに申し訳ないが凛は賢明にも断るという判断を下した。
だって、舞台が失敗したら凛の責任になること請け合いだ。
高等部の先輩もいるし理不尽な恨みを買いたくない!!
だが、久世は凛の最大の弱味を見事に突いてきた。
「十六夜には加藤が舞台デビューするって教えた。降板したら鉄道が大変だな」
久世の話では十六夜は凛が舞台で活躍する姿を凄く楽しみにしているという。
活躍といってもモブだが凛が出ないと知ったら山手線各線が危ない。
帰宅難民が出てしまう!
そういう経緯で凛は半ば強制的に軽音楽ミュージカル部の公演に端役として出演する羽目に陥った。
そして、放課後の稽古で演出顧問の斗真から凛の役割が告げられた。
「加藤は村人Aと海賊Bと宿屋と兵士と返事がない屍をよろしく!!」
「モブだけど役割多くね!?なんのミュージカルだよ!!RPGゲームか!?」
加藤凛は初舞台では異例の5役を任された。
でも、端役だし、台詞なんてほとんどないだろ、と渡された台本を読んでひっくり返った。
村人A「オッス!おら、村人A!オメー、強そうだな!?おら、モヤモヤすっぞ!!嫁がいてガキが2人いるけど、おら、ニートだぞ!息子は反面教師で学者になって、おら、モヤモヤすっぞ!!」
これは流石にファンの皆様に怒られるだろと凛は呆れたが斗真がさらにとどめをさした。
「これ、メロディでよろしく!」
「歌うんかい!!しかも、モブなのに台詞長い!!」
ここだけで相当にヤバい演目だが凛は真面目なので残りの役柄も確認してみた。
海賊B「この清掃を終わらせに来た!!」
どんな展開で海賊が清掃を終わらすのか気になる。
宿屋「休憩ですと2時間で3000円でーす!」
宿屋ってラブホかよ!?
あと、主演がラブホに行くミュージカルとか、学園祭ではNGではないのか!?
そして凛は台本を読み進めた。
途中だがこのミュージカルのストーリーは冒険ラブファンタジーである。
お城にいる姫(白珠)が公務とかウザくなり城下町に逃走した先で遍歴の騎士(設楽)と出逢って、2秒で宿屋に休憩しに行く。
しかし、姫を捜しにきた兵士たちに宿屋は囲まれ、大ピンチになる。しかし、そこに壁を破壊した巨人が襲ってきて宿屋は壊滅!
巨人が暴れて城下町がヤバくなったら海賊が登場して姫と騎士は海賊の船に便乗して駆け落ち。
適当な港町でおろしてもらって騎士は転職してSM倶楽部を開業して、姫は女王様にジョブチェンジして楽しく暮らしました。
おしまい!
「ダメだろ、この内容……台詞以前に教育的に問題作だ!」
誰がこんなイカれた台本を書いたのかと問いたいが高等部の先輩もいるのでツッコミは控えた。
これ、設楽が秒で終らせた方が正解だ。
途中までは許せても宿屋で休憩の段階からアウトだし、ラストがSM倶楽部である。
絶対に学園側から怒られる。
でも、興味はあるので凛は残りの兵士と屍の登場シーンを確認してみた。
こういう凛の真面目さが損クジを引く原因である。
兵士「いいから、黙って雪山で凍死しろ!!」
どういう状況下でこんな台詞がでるのか?
ここって巨人が暴れてるシーンで雪山は関係ない。
しかも、この兵士、巨人に食われて終わりである。
そして、最後は返事がない屍なので台詞はゼロだと思ったら台詞が存在した。
「踏んでください女王様」
これ、SM倶楽部の客だろ!
白珠が演じる女王様に踏まれるなんて凛にとっては生涯の黒歴史になる。
こういうのは設楽の担当だろ!?
俺まで白珠のM奴隷にするなと凛は思った。
こんな、初舞台を十六夜に絶対に見せたくない。
例え、首都圏の鉄道が全て運休になっても出演拒否する!!
凛はそう心に誓って斗真や軽音楽ミュージカルの皆さんに降板を訴えようとしたら部長らしき高等部の先輩に土下座された。
「この素晴らしいミュージカルの成功は加藤!お前にかかってる!!部長として頼む!!力になってくれ!!俺たちの青春の為に!!」
熱意は凄いが部長さん、これを上演した時点で青春は終るぞ。
そう言いたいのは山々だが凛という男の子は本気の嘆願に滅法弱い。
助けてあげようとか気持ちが揺らいでしまう。
だが、女王様のM奴隷の台詞はイヤだ!!
「先輩!!頭をあげてください!舞台には及ばずながら出ます!でも、1箇所台詞を変更してください」
凛は部長と斗真に屍の台詞を変えさせた。
変更後の返事がない屍の台詞はこれだ。
女王(白珠)「おい、ブタ!!灰皿!!」
屍は自分の手を差し出す。
女王(白珠)「豚足はいつから灰皿に昇格した?お前の汚ない顔面を灰皿にしてやるよ」
たしかに凛が絶対に言いたくない台詞はカットされたがミュージカルは益々、教育上、最悪な作品になってしまった。
憂鬱になる凛に設楽は不満げに言ってきた。
「旅人の灰皿になれるなら、お前が騎士やって俺が屍になる」
「設楽!そもそも、お前らが自由すぎる演技をするから俺は灰皿にされたんだよ!」
学園祭の準備は忙しい。
久世は軽音楽ミュージカル部の稽古を覗いたが凛が真面目に稽古をしてるので笑いそうになった。
「この、清掃を終わらせに来た!」
「加藤!!ここは見せ場だから海賊になりきれ!迫力だしてけ!」
「分かった!斗真!!」
凛が真面目に稽古するので設楽と白珠も珍しく本気である。
バンドのライブもあるので大変だが、軽音楽ミュージカルの舞台は常磐辰希と観劇しようと久世は思っていた。
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