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1~拉致された公主の異国生活~
主よ、憐れみたまえ
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主よ、憐れみたまえ
キリストよ、憐れみたまえ
永遠の休息を
彼らに与えたまえ、主よ
幼稚舎から高等部まで学園の礼拝堂で何気なく歌っていた賛美歌の1節を茉莉(マツリ)は何度も口ずさんだが、今のところ主が茉莉を憐れんで救ってくれる気配はない。
裕福な家庭で両親に愛され、友達にも恵まれ、幸せに高校生活を送っていた茉莉は現在は異国に無理やり拉致されて、マフィアの監視下におかれている。
助けを求めようにも16歳まで大切に育ててくれた両親は本当の親ではなく、大金と引き換えに茉莉を育てた挙げ句にマフィアに売り飛ばした。
そして、拉致された先で待っていたマフィア組織『藍珠幇』のボス藍月が茉莉の実の父親で茉莉はその跡継ぎだと判明したのだ。
32歳の藍月が16歳の頃にもうけた息子が茉莉で色々と事情があって手もとで育てることができず、茉莉は藍月が大金で雇った養父母により育てられた。
それが自称茉莉の実父藍月の愛人で、部下で茉莉を無理やり拉致して、異国に連れてきた美青年ユンから与えられた情報である。
「茉莉様が誕生した直後の藍珠幇は物騒でしたからね。ボスは茉莉様の身を案じて一時的に手放すことにしました」
茉莉が生まれた直後にマフィア組織で何が起こったのかは知らないが、当の茉莉にはマフィア組織で何が起きようがどうでもよかった。
「主よ、憐れみたまえ……。キリストよ、憐れみたまえ。永遠の休息を……」
急に異国にラチられて、今までの家族との絆や人生が偽物だと知らされたショックで茉莉は絶望と環境の激変で鬱状態になってしまった。
現状を受け入れられず、自分の殻に閉じこもり、食事も満足に取れず、誰とも会話をしない。
そんな茉莉の状態を案じた藍月はマフィア組織が所有する郊外の別荘にて茉莉を静養させて様子をみることにした。
護衛兼世話係はユンの実弟レンに任されたが、レンは別荘で茉莉と過ごして早々にこの役目が嫌になってきた。
「茉莉様!その陰鬱な賛美歌やめろ!主よ、憐れみたまえ、なんて歌っても意味はない!アンタがすべきことは、いい加減この環境に慣れることだ!」
1日中延々とレクイエムみたいな歌を聴かされるレンはたまったものではない。だから、やめるよう抗議しても茉莉は別荘に移されてから一切レンと会話をしなくなった。
レンが側にいても、身の回りの世話を焼いても、話しかけても茉莉はレンなんていないかのように振る舞っている。
これは茉莉なりの理不尽な現実への精一杯の抵抗だろうとレンは解釈して、茉莉に完全無視されても構わないが、主よ、憐れみたまえ、のエンドレスだけは我慢できない。
兄のユンに相談しようにもユンはボスである藍月の傍を離れられないので、迂闊に連絡もできず、目を離した隙に茉莉に自殺されたらレンの責任にされてしまう。
次第にレンは茉莉の覇気のなさにイライラしてきた。
「そりゃ!環境が激変したのは気の毒だけど、ボスだって、兄ちゃんだって俺だって気を遣って、腫れ物にさわるように接してるのに!」
ユンとレンは現在は藍月が束ねる藍珠幇というマフィア組織の一員だが、そこにたどり着く前は貧しくて、兄弟で懸命に生き延びてきた。ユンが藍月に見初められ、マフィアになったことで、レンも幼くしてマフィアに迎え入れられたが、マフィア組織で生き残るのだって過酷な人生である。
兄のユンが苦労してきた姿を間近で見ていたレンにとっては、茉莉など甘ったれの無力な泣き虫お坊ちゃんだ。
「しかし!その泣き虫お坊ちゃんの世話をしないと俺の立場だって危うい。うっかり死なせたら兄ちゃんにだって責任がおよぶ」
部屋にこもって1日中ブツブツと賛美歌や聖書の言葉を呟いている茉莉を奮起される方法をレンは考え始めるようになった。
そこで信頼できるマフィア構成員に協力させての妙案が思い浮かんだのである。
郊外の別荘は静かで景色も素晴らしいのに茉莉はあてがわれた個室から出ることはなかった。
レンに食事を運ばせて、入浴の時間になったら監視されながら身を清めて、暗くなったら眠るの繰り返しだ。
異国に連れてこられて軽く1ヶ月は経過したが、茉莉は誰とも話さず、食事も最低限で散歩に出ることもなかった。
世話係をしてくれるレンはぶっきらぼうだが、茉莉の精神状態を心配して話しかけてくれるが、茉莉はレンとも話したくはないし、気を許すこともできなかった。
「あの子は命令されてここにいるだけ。僕の拉致の片棒を担いだ子と話すのは嫌だ」
本音では茉莉の塞ぎ込みようをレンが本気で心配しているのは伝わるし、マフィアであってもそこまで悪い子ではないのかなと思っていたが、気分的にレンと打ち解ける気にもなれなかった。
だから、この日も食事には手をつけずにベッドにうずくまって学校の礼拝で習った聖書の1節をブツブツ唱えていたら近くから銃声が響いた。
茉莉が反射的に顔をあげると同時に屈強な覆面男が乗り込んできて、さらにレンを人質に取っている。
「藍月の倅!別荘で静養させているって情報はマジだったんだな!よーく聞け!俺の指示に従わねーと、この生意気なガキを殺すぞ!?」
銃口を突きつけられたレンは相当抵抗したらしく傷だらけだ。
状況からして、マフィア組織『藍珠幇』のボス藍月の息子とされている茉莉が別荘に隠されていると敵組織に情報が漏れて、強襲されレンが茉莉を守ろうと応戦して人質にされている。
気鬱状態の茉莉でもこのくらいの察しは容易についたのでマッチョな覆面男に向かって静かに云い放った。
「レン君は助けてあげて。僕を撃ちたいなら撃ってもいい。主よ、永遠の休息を与えてくれてありがとうございます」
この茉莉の銃殺待ちの様子に覆面男はレンの頭に銃口を向けると再度怒鳴ってきた。
「できねーな!お前さんは藍月を脅すための人質だ!ガキは始末してうちのアジトに来てもらうぜ!」
「茉莉様、逃げろ!こいつは敵対組織の殺し屋だ!殺されるぞ!?」
「レン君を殺さずに解放するなら僕は貴方の要求に従う。この場で殺してくれてかまわない。アジトに連れ去りたいならそれに従う」
茉莉はもう生きることが面倒になるほど絶望していたので、覆面男の要求に素直に応じる覚悟だった。
しかし、考えてみると茉莉をみすみす敵組織に奪われた罪でレンは責任追及されてどっちにしろ藍月の手で殺される可能性が出てくる。
レンはまだ少年なのに甲斐甲斐しく茉莉の世話をして励ましてくれた。たとえそれが兄のユンや茉莉の父と名乗る藍月の命令でも、茉莉が塞ぎ込んでいる姿を本気で案じてくれたのは事実だ。
「待って。覆面男さん、貴方の指定するアジトに行くけど条件としてレン君も生きたまま一緒に連れていって。僕が別荘から拐われたらレン君の責任にされる」
その要望をのむならば喜んで人質になると茉莉が告げると覆面男はレンに突きつけていた銃口を離した。
「このガキの命を心配して、自分は進んで人質になるのか~?」
覆面男はレンを解放して無言で茉莉をじっと見ていたが、突如大笑いし始めた。
「なんだよ!あの藍月の息子にしちゃ優しい、良い子じゃねーか!?しかも!度胸がある!」
ご機嫌な覆面男を前に茉莉が困惑していると、レンが笑い転げる覆面男の頭をどついた。
「お前な!演技下手すぎ!本当なら俺を空砲で撃つまでが流れだったろ!?」
「悪い悪い!藍月の息子って聞いたから、レンなんか見捨てて、隠してたチャカで撃ってくると想定してたが、自分はそっちのけでレンの心配ばっかしてるからよ~!」
銃声とともに乗り込んできた覆面男はどうやら敵の刺客ではなくて、レンの茶番に付き合わされていただけらしい。
生きる気力を失っていた茉莉をレンがショック療法で元気にさせようと企てたのは理解できるが、この覆面の男性は果たして何者なのか?
「失礼ですが、覆面の方。貴方はどなたです?藍月という自称僕の父の仲間ですか?」
茉莉の問いかけに覆面の逞しい男はまたしても笑いながら、レンを小突いた。
「ブハハ!藍月は自称親父かよ!うける~!茉莉に全然信用されてねーじゃん!まあ!32歳で21歳の若僧を愛玩してる親父なんざ認めたくねーわな!」
「あの、自称僕の父がユンさんを愛玩していても別に構わないのですが、貴方は何者ですか?レン君に怪我を負わせたなら謝ってください」
一貫して藍月を自称父と呼び続ける茉莉に対してレンも面白くなったのかケラケラ笑いだした。
「あはは!茉莉様、心配しなくてもこれは特殊メイクだよ!俺がこんな覆面のオッサンにボコられる訳ないじゃん!」
「予想以上に面白い子だな!?藍月の倅は!茉莉、俺は橄欖(カンラン)だ!藍月の実の兄貴でお前の伯父さん!年齢は40歳!」
ここに来てまさかの自称伯父さんの登場に茉莉は生きる気力を失ったことも忘れて、ポカーンとした。
橄欖という男は茉莉に名乗ると豪快に笑って説明を始めた。
「なんで弟の藍月がマフィアのボスをしているか疑問か?実は俺さ~覆面がないと、こんな感じに豪快に振る舞えない超シャイガイでな!こんなんじゃボスは無理だから弟の藍月に譲った!ちなみに女も苦手で40歳なのに童貞なんだよ!でも!男色の趣味もねーぞ!」
「はぁ……。大変ですね」
もう茉莉には素直に話を聞くことしかできないが、橄欖はそんな茉莉に今度は説教を始めた。
覆面しないと豪快に振る舞えない40歳童貞の癖に妙に饒舌である。
「茉莉!お前は今まで平和に暮らしてたから今の状態に絶望するのは分かる。でもな!藍月はそんなお前を気にかけてユンとだって1日に2回しかセックスしてない!そんくらい、息子のお前を心配してんだよ!そこは汲んでやれ!」
「……24時間に2回もセックスしているって結構、精力旺盛では?付き合わされるユンさんが大変ですね」
「ユンは藍月の為ならセックスだろうが、縛るプレイだろうが喜んでやるタイプだからいいんだよ!この前なんて、藍月に大人の玩具を突っ込まれた状態で敵組織を壊滅させてたからな!」
「すみません。レン君がいる場でユンさんが危ないプレイの玩具にされてるなんて大声で教えないでください」
美しい兄ユンがマフィアのボスの愛人とはいえ玩具にされているなんて13歳の弟レンに聞かせるのは可哀想だと茉莉は気遣ったが当のレンは平然としている。
「茉莉様、兄ちゃんはボスに尿道プラグをされた状態でも2丁拳銃が出来るから安心していいよ」
「尿道プラグ……?なにそれ?」
16歳の穢れを知らない青少年の茉莉には未知なアイテムの名が出てきたが、とにかくレンの兄ユンは藍月の性癖に付き合いつつも仕事は有能らしい。
茉莉への説教から藍月とユンのプレイまで話が発展したところで橄欖は咳払いするとレンを見て告げた。
「レンだって茉莉が元気がなくて心配しながら世話を続けてるんだぞ?自分の殻に閉じこもるのは勝手だがレンの苦労も考えてやれ」
ずっと茉莉の生気が戻らないからレンは橄欖に連絡して、こんな芝居をする羽目になったのだ。
「茉莉、理不尽だとお前が絶望するのは最もだが、自棄になるな。なにかあればレンに話せ。もちろん、俺だって相談に乗る。伯父さんだからな!」
もう、ここでしか生きていく道がないのだから腹をくくれと橄欖に励まされて、茉莉は素直にコクンと頷いた。
「橄欖さんと話せて少し心が軽くなりました。ありがとうございます」
茉莉は丁寧に頭を下げると今度は黙っていたレンに顔を向けた。
「ずっと一生懸命に僕の世話をしてくれていたのに無視をしていてごめん。レン君、ありがとう」
異国に連れてこられてから、初めて笑みを見せた茉莉にレンはホッとしたのか遠慮ない口調で釘を刺した。
「もう!あの、主よ、憐れみたまえ、の歌はやめろよ!主に縋るくらいなら俺に不満なり不安なりぶつけてくれていい!」
「ありがとう。レン君」
「その!レン君ってやめろ!レンでいい!」
茉莉にお礼を言われて照れたのか、赤面して顔を背けるレンを橄欖はチョイチョイと小突いた。
「おやおや~?レンは茉莉みたいなタイプが好きなのか?ユンといいやっぱ兄弟だね~!」
橄欖に茶化されてレンは真っ赤になって唇を尖らせたが、茉莉は年相応に拗ねたり、照れたりするレンの表情が可愛くて、前より親しみがわいてきた。
「絶えることのない光が、彼らを照らすように、神よ、あなたを称える歌は……」
思わず賛美歌が茉莉の口から漏れるとレンがすかさず文句を言ってきた。
「茉莉様!もう賛美歌禁止!つか、どんだけ主を称えてんだよ!?」
「ごめん。でも、これは主に憐れみを求める歌ではなくて、希望の光を称える歌だよ」
まだ希望の光なんて微々たるものだけれど、こうしてレンや橄欖と話せるようになって茉莉の気持ちは前より落ち着いてきた。
その様子を見ていた橄欖が「茉莉が元気になるよう、ご馳走をデリバリーしてきたぞ!」と告げたので茉莉は異国に来てからようやくまともに食事をした。
豪華な料理を食べながら茉莉は黙々と七面鳥の丸焼きを口に運んでいるレンにお願いしてみた。
「レン君、いや……!レン、僕のことも茉莉って呼び捨てで呼んでくれないかな?差し支えないなら?」
茉莉の申し出にレンは食べるのを忘れてキョトンとしたが橄欖の顔を伺った。
橄欖はニヤニヤしながらレンと茉莉の顔を見比べている。
「仕方ねーな!茉莉様の命令なら!茉莉、もう自殺とか考えるなよ?」
「うん。ずっと心配かけてごめん。でも、レンがいてくれて救われてた。お友達ができたみたいで!」
笑顔で感謝されて、レンは再び真っ赤になったがすぐに口調を鋭くして茉莉を叱った。
「俺は茉莉の友達じゃねーよ!ボスと兄ちゃんの命令で世話してるだけだからな!」
勝手に友達にするなと切り捨てるレンの態度は照れているようで、茉莉には可愛く感じたが、橄欖はゲラゲラ笑いながらレンの背中を叩いた。
「そりゃ!惚れた相手に友達認定されたくはねーよな!?」
「うるさい!覆面童貞40歳が!」
覆面童貞で40歳でも橄欖は自称父親の藍月よりかは信用できそうで茉莉は少し安心していた。
そして、レンともせっかく出逢えたのだから良い友達になれたらと茉莉の心にわずかな希望の光が灯ってきた。
主よ、与えたまえ、主よ、異国の地で生きる、我に希望を……
聖書にはない祈りを茉莉は心で神に捧げていた。
ちなみに茉莉のことをレンと実兄の橄欖に丸投げして藍月は恋人のユンと日に3回は情事をしていたが、その情事の内容は茉莉には預かり知らぬことであり、自称父親が風邪薬の如く美青年の愛人と寝ているなんて、流石の橄欖も告げられず、茉莉には1日2回と少し話をライトにした。
それでも鼻炎の処方薬レベルには情事に耽っている計算になる。
ユンに骨抜きにされている藍月に代わって、当のユンが危ない大人の玩具を挿入されながら、今日も敵組織の武器庫を襲撃して敵勢力を皆殺しにしている。
「茉莉様がお元気になられたら、まずはチャカと手榴弾とサブマシンガンの基礎を教えなくては。レンにそろそろ茉莉様に敵の頸動脈を掻ききる方法を教えろと連絡しよう」
茉莉のママ代わりとなったユンは敵の武器庫を襲撃したり多忙だが、キチンと茉莉を気にかける、気は優しくて人殺しな21歳の美青年であった。
別荘では茉莉はレンと少しづつ打ち解けて、故郷を恋しがり泣くことは少なくなった。
これはボスや兄ユンの命令に応えられて、レンとしては嬉しいことなのだが、泣いている茉莉の高貴なのに弱々しい表情だって決してレンは嫌いではなかったのである。
End
キリストよ、憐れみたまえ
永遠の休息を
彼らに与えたまえ、主よ
幼稚舎から高等部まで学園の礼拝堂で何気なく歌っていた賛美歌の1節を茉莉(マツリ)は何度も口ずさんだが、今のところ主が茉莉を憐れんで救ってくれる気配はない。
裕福な家庭で両親に愛され、友達にも恵まれ、幸せに高校生活を送っていた茉莉は現在は異国に無理やり拉致されて、マフィアの監視下におかれている。
助けを求めようにも16歳まで大切に育ててくれた両親は本当の親ではなく、大金と引き換えに茉莉を育てた挙げ句にマフィアに売り飛ばした。
そして、拉致された先で待っていたマフィア組織『藍珠幇』のボス藍月が茉莉の実の父親で茉莉はその跡継ぎだと判明したのだ。
32歳の藍月が16歳の頃にもうけた息子が茉莉で色々と事情があって手もとで育てることができず、茉莉は藍月が大金で雇った養父母により育てられた。
それが自称茉莉の実父藍月の愛人で、部下で茉莉を無理やり拉致して、異国に連れてきた美青年ユンから与えられた情報である。
「茉莉様が誕生した直後の藍珠幇は物騒でしたからね。ボスは茉莉様の身を案じて一時的に手放すことにしました」
茉莉が生まれた直後にマフィア組織で何が起こったのかは知らないが、当の茉莉にはマフィア組織で何が起きようがどうでもよかった。
「主よ、憐れみたまえ……。キリストよ、憐れみたまえ。永遠の休息を……」
急に異国にラチられて、今までの家族との絆や人生が偽物だと知らされたショックで茉莉は絶望と環境の激変で鬱状態になってしまった。
現状を受け入れられず、自分の殻に閉じこもり、食事も満足に取れず、誰とも会話をしない。
そんな茉莉の状態を案じた藍月はマフィア組織が所有する郊外の別荘にて茉莉を静養させて様子をみることにした。
護衛兼世話係はユンの実弟レンに任されたが、レンは別荘で茉莉と過ごして早々にこの役目が嫌になってきた。
「茉莉様!その陰鬱な賛美歌やめろ!主よ、憐れみたまえ、なんて歌っても意味はない!アンタがすべきことは、いい加減この環境に慣れることだ!」
1日中延々とレクイエムみたいな歌を聴かされるレンはたまったものではない。だから、やめるよう抗議しても茉莉は別荘に移されてから一切レンと会話をしなくなった。
レンが側にいても、身の回りの世話を焼いても、話しかけても茉莉はレンなんていないかのように振る舞っている。
これは茉莉なりの理不尽な現実への精一杯の抵抗だろうとレンは解釈して、茉莉に完全無視されても構わないが、主よ、憐れみたまえ、のエンドレスだけは我慢できない。
兄のユンに相談しようにもユンはボスである藍月の傍を離れられないので、迂闊に連絡もできず、目を離した隙に茉莉に自殺されたらレンの責任にされてしまう。
次第にレンは茉莉の覇気のなさにイライラしてきた。
「そりゃ!環境が激変したのは気の毒だけど、ボスだって、兄ちゃんだって俺だって気を遣って、腫れ物にさわるように接してるのに!」
ユンとレンは現在は藍月が束ねる藍珠幇というマフィア組織の一員だが、そこにたどり着く前は貧しくて、兄弟で懸命に生き延びてきた。ユンが藍月に見初められ、マフィアになったことで、レンも幼くしてマフィアに迎え入れられたが、マフィア組織で生き残るのだって過酷な人生である。
兄のユンが苦労してきた姿を間近で見ていたレンにとっては、茉莉など甘ったれの無力な泣き虫お坊ちゃんだ。
「しかし!その泣き虫お坊ちゃんの世話をしないと俺の立場だって危うい。うっかり死なせたら兄ちゃんにだって責任がおよぶ」
部屋にこもって1日中ブツブツと賛美歌や聖書の言葉を呟いている茉莉を奮起される方法をレンは考え始めるようになった。
そこで信頼できるマフィア構成員に協力させての妙案が思い浮かんだのである。
郊外の別荘は静かで景色も素晴らしいのに茉莉はあてがわれた個室から出ることはなかった。
レンに食事を運ばせて、入浴の時間になったら監視されながら身を清めて、暗くなったら眠るの繰り返しだ。
異国に連れてこられて軽く1ヶ月は経過したが、茉莉は誰とも話さず、食事も最低限で散歩に出ることもなかった。
世話係をしてくれるレンはぶっきらぼうだが、茉莉の精神状態を心配して話しかけてくれるが、茉莉はレンとも話したくはないし、気を許すこともできなかった。
「あの子は命令されてここにいるだけ。僕の拉致の片棒を担いだ子と話すのは嫌だ」
本音では茉莉の塞ぎ込みようをレンが本気で心配しているのは伝わるし、マフィアであってもそこまで悪い子ではないのかなと思っていたが、気分的にレンと打ち解ける気にもなれなかった。
だから、この日も食事には手をつけずにベッドにうずくまって学校の礼拝で習った聖書の1節をブツブツ唱えていたら近くから銃声が響いた。
茉莉が反射的に顔をあげると同時に屈強な覆面男が乗り込んできて、さらにレンを人質に取っている。
「藍月の倅!別荘で静養させているって情報はマジだったんだな!よーく聞け!俺の指示に従わねーと、この生意気なガキを殺すぞ!?」
銃口を突きつけられたレンは相当抵抗したらしく傷だらけだ。
状況からして、マフィア組織『藍珠幇』のボス藍月の息子とされている茉莉が別荘に隠されていると敵組織に情報が漏れて、強襲されレンが茉莉を守ろうと応戦して人質にされている。
気鬱状態の茉莉でもこのくらいの察しは容易についたのでマッチョな覆面男に向かって静かに云い放った。
「レン君は助けてあげて。僕を撃ちたいなら撃ってもいい。主よ、永遠の休息を与えてくれてありがとうございます」
この茉莉の銃殺待ちの様子に覆面男はレンの頭に銃口を向けると再度怒鳴ってきた。
「できねーな!お前さんは藍月を脅すための人質だ!ガキは始末してうちのアジトに来てもらうぜ!」
「茉莉様、逃げろ!こいつは敵対組織の殺し屋だ!殺されるぞ!?」
「レン君を殺さずに解放するなら僕は貴方の要求に従う。この場で殺してくれてかまわない。アジトに連れ去りたいならそれに従う」
茉莉はもう生きることが面倒になるほど絶望していたので、覆面男の要求に素直に応じる覚悟だった。
しかし、考えてみると茉莉をみすみす敵組織に奪われた罪でレンは責任追及されてどっちにしろ藍月の手で殺される可能性が出てくる。
レンはまだ少年なのに甲斐甲斐しく茉莉の世話をして励ましてくれた。たとえそれが兄のユンや茉莉の父と名乗る藍月の命令でも、茉莉が塞ぎ込んでいる姿を本気で案じてくれたのは事実だ。
「待って。覆面男さん、貴方の指定するアジトに行くけど条件としてレン君も生きたまま一緒に連れていって。僕が別荘から拐われたらレン君の責任にされる」
その要望をのむならば喜んで人質になると茉莉が告げると覆面男はレンに突きつけていた銃口を離した。
「このガキの命を心配して、自分は進んで人質になるのか~?」
覆面男はレンを解放して無言で茉莉をじっと見ていたが、突如大笑いし始めた。
「なんだよ!あの藍月の息子にしちゃ優しい、良い子じゃねーか!?しかも!度胸がある!」
ご機嫌な覆面男を前に茉莉が困惑していると、レンが笑い転げる覆面男の頭をどついた。
「お前な!演技下手すぎ!本当なら俺を空砲で撃つまでが流れだったろ!?」
「悪い悪い!藍月の息子って聞いたから、レンなんか見捨てて、隠してたチャカで撃ってくると想定してたが、自分はそっちのけでレンの心配ばっかしてるからよ~!」
銃声とともに乗り込んできた覆面男はどうやら敵の刺客ではなくて、レンの茶番に付き合わされていただけらしい。
生きる気力を失っていた茉莉をレンがショック療法で元気にさせようと企てたのは理解できるが、この覆面の男性は果たして何者なのか?
「失礼ですが、覆面の方。貴方はどなたです?藍月という自称僕の父の仲間ですか?」
茉莉の問いかけに覆面の逞しい男はまたしても笑いながら、レンを小突いた。
「ブハハ!藍月は自称親父かよ!うける~!茉莉に全然信用されてねーじゃん!まあ!32歳で21歳の若僧を愛玩してる親父なんざ認めたくねーわな!」
「あの、自称僕の父がユンさんを愛玩していても別に構わないのですが、貴方は何者ですか?レン君に怪我を負わせたなら謝ってください」
一貫して藍月を自称父と呼び続ける茉莉に対してレンも面白くなったのかケラケラ笑いだした。
「あはは!茉莉様、心配しなくてもこれは特殊メイクだよ!俺がこんな覆面のオッサンにボコられる訳ないじゃん!」
「予想以上に面白い子だな!?藍月の倅は!茉莉、俺は橄欖(カンラン)だ!藍月の実の兄貴でお前の伯父さん!年齢は40歳!」
ここに来てまさかの自称伯父さんの登場に茉莉は生きる気力を失ったことも忘れて、ポカーンとした。
橄欖という男は茉莉に名乗ると豪快に笑って説明を始めた。
「なんで弟の藍月がマフィアのボスをしているか疑問か?実は俺さ~覆面がないと、こんな感じに豪快に振る舞えない超シャイガイでな!こんなんじゃボスは無理だから弟の藍月に譲った!ちなみに女も苦手で40歳なのに童貞なんだよ!でも!男色の趣味もねーぞ!」
「はぁ……。大変ですね」
もう茉莉には素直に話を聞くことしかできないが、橄欖はそんな茉莉に今度は説教を始めた。
覆面しないと豪快に振る舞えない40歳童貞の癖に妙に饒舌である。
「茉莉!お前は今まで平和に暮らしてたから今の状態に絶望するのは分かる。でもな!藍月はそんなお前を気にかけてユンとだって1日に2回しかセックスしてない!そんくらい、息子のお前を心配してんだよ!そこは汲んでやれ!」
「……24時間に2回もセックスしているって結構、精力旺盛では?付き合わされるユンさんが大変ですね」
「ユンは藍月の為ならセックスだろうが、縛るプレイだろうが喜んでやるタイプだからいいんだよ!この前なんて、藍月に大人の玩具を突っ込まれた状態で敵組織を壊滅させてたからな!」
「すみません。レン君がいる場でユンさんが危ないプレイの玩具にされてるなんて大声で教えないでください」
美しい兄ユンがマフィアのボスの愛人とはいえ玩具にされているなんて13歳の弟レンに聞かせるのは可哀想だと茉莉は気遣ったが当のレンは平然としている。
「茉莉様、兄ちゃんはボスに尿道プラグをされた状態でも2丁拳銃が出来るから安心していいよ」
「尿道プラグ……?なにそれ?」
16歳の穢れを知らない青少年の茉莉には未知なアイテムの名が出てきたが、とにかくレンの兄ユンは藍月の性癖に付き合いつつも仕事は有能らしい。
茉莉への説教から藍月とユンのプレイまで話が発展したところで橄欖は咳払いするとレンを見て告げた。
「レンだって茉莉が元気がなくて心配しながら世話を続けてるんだぞ?自分の殻に閉じこもるのは勝手だがレンの苦労も考えてやれ」
ずっと茉莉の生気が戻らないからレンは橄欖に連絡して、こんな芝居をする羽目になったのだ。
「茉莉、理不尽だとお前が絶望するのは最もだが、自棄になるな。なにかあればレンに話せ。もちろん、俺だって相談に乗る。伯父さんだからな!」
もう、ここでしか生きていく道がないのだから腹をくくれと橄欖に励まされて、茉莉は素直にコクンと頷いた。
「橄欖さんと話せて少し心が軽くなりました。ありがとうございます」
茉莉は丁寧に頭を下げると今度は黙っていたレンに顔を向けた。
「ずっと一生懸命に僕の世話をしてくれていたのに無視をしていてごめん。レン君、ありがとう」
異国に連れてこられてから、初めて笑みを見せた茉莉にレンはホッとしたのか遠慮ない口調で釘を刺した。
「もう!あの、主よ、憐れみたまえ、の歌はやめろよ!主に縋るくらいなら俺に不満なり不安なりぶつけてくれていい!」
「ありがとう。レン君」
「その!レン君ってやめろ!レンでいい!」
茉莉にお礼を言われて照れたのか、赤面して顔を背けるレンを橄欖はチョイチョイと小突いた。
「おやおや~?レンは茉莉みたいなタイプが好きなのか?ユンといいやっぱ兄弟だね~!」
橄欖に茶化されてレンは真っ赤になって唇を尖らせたが、茉莉は年相応に拗ねたり、照れたりするレンの表情が可愛くて、前より親しみがわいてきた。
「絶えることのない光が、彼らを照らすように、神よ、あなたを称える歌は……」
思わず賛美歌が茉莉の口から漏れるとレンがすかさず文句を言ってきた。
「茉莉様!もう賛美歌禁止!つか、どんだけ主を称えてんだよ!?」
「ごめん。でも、これは主に憐れみを求める歌ではなくて、希望の光を称える歌だよ」
まだ希望の光なんて微々たるものだけれど、こうしてレンや橄欖と話せるようになって茉莉の気持ちは前より落ち着いてきた。
その様子を見ていた橄欖が「茉莉が元気になるよう、ご馳走をデリバリーしてきたぞ!」と告げたので茉莉は異国に来てからようやくまともに食事をした。
豪華な料理を食べながら茉莉は黙々と七面鳥の丸焼きを口に運んでいるレンにお願いしてみた。
「レン君、いや……!レン、僕のことも茉莉って呼び捨てで呼んでくれないかな?差し支えないなら?」
茉莉の申し出にレンは食べるのを忘れてキョトンとしたが橄欖の顔を伺った。
橄欖はニヤニヤしながらレンと茉莉の顔を見比べている。
「仕方ねーな!茉莉様の命令なら!茉莉、もう自殺とか考えるなよ?」
「うん。ずっと心配かけてごめん。でも、レンがいてくれて救われてた。お友達ができたみたいで!」
笑顔で感謝されて、レンは再び真っ赤になったがすぐに口調を鋭くして茉莉を叱った。
「俺は茉莉の友達じゃねーよ!ボスと兄ちゃんの命令で世話してるだけだからな!」
勝手に友達にするなと切り捨てるレンの態度は照れているようで、茉莉には可愛く感じたが、橄欖はゲラゲラ笑いながらレンの背中を叩いた。
「そりゃ!惚れた相手に友達認定されたくはねーよな!?」
「うるさい!覆面童貞40歳が!」
覆面童貞で40歳でも橄欖は自称父親の藍月よりかは信用できそうで茉莉は少し安心していた。
そして、レンともせっかく出逢えたのだから良い友達になれたらと茉莉の心にわずかな希望の光が灯ってきた。
主よ、与えたまえ、主よ、異国の地で生きる、我に希望を……
聖書にはない祈りを茉莉は心で神に捧げていた。
ちなみに茉莉のことをレンと実兄の橄欖に丸投げして藍月は恋人のユンと日に3回は情事をしていたが、その情事の内容は茉莉には預かり知らぬことであり、自称父親が風邪薬の如く美青年の愛人と寝ているなんて、流石の橄欖も告げられず、茉莉には1日2回と少し話をライトにした。
それでも鼻炎の処方薬レベルには情事に耽っている計算になる。
ユンに骨抜きにされている藍月に代わって、当のユンが危ない大人の玩具を挿入されながら、今日も敵組織の武器庫を襲撃して敵勢力を皆殺しにしている。
「茉莉様がお元気になられたら、まずはチャカと手榴弾とサブマシンガンの基礎を教えなくては。レンにそろそろ茉莉様に敵の頸動脈を掻ききる方法を教えろと連絡しよう」
茉莉のママ代わりとなったユンは敵の武器庫を襲撃したり多忙だが、キチンと茉莉を気にかける、気は優しくて人殺しな21歳の美青年であった。
別荘では茉莉はレンと少しづつ打ち解けて、故郷を恋しがり泣くことは少なくなった。
これはボスや兄ユンの命令に応えられて、レンとしては嬉しいことなのだが、泣いている茉莉の高貴なのに弱々しい表情だって決してレンは嫌いではなかったのである。
End
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