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1章 最弱のドラゴン
大森林
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大森林に入ってからというもの、ミニドラの反応が鈍い。おそらく、ここに住まう猛獣たちを怖がっているのだろうとは思う。しかしこの程度の者たちなら私が軽く威圧しただけで逃げていくだろうし、本気で隠密すれば全く察知されずに通り抜けることだって可能だろう。
そうしないのは、つかず離れず私を追う影がいるからだ。
(先回りされたか…。しかし森に入って早々見つかるとは運がない。国境まではまだかなりある。振り切って逃げこむことはできそうにないか…。)
幸い相手は一人らしいのでいざとなったら無力化し逃げればよさそうだ。そう思うのになぜか漠然とした不安がある。相手を見くびるわけではないが、ここまで正確に私の逃走ルートを読み、待ち伏せすることなど彼らにできただろうか…?道中偽の情報や囮の痕跡をばらまいてきたにもかかわらずだ。
相手は一人ということもある。いくつか可能性の高い場所に人員を割り振って待ち伏せした可能性もあるが…。
「お前、魔法耐性は無いよな? 」
――あるわけない。わたしたちはレベルもあがらないしそういう能力は得られない ――
「ほんとうに、変な生態だな。 」
――むしろ、あなたたちがおかしいの――
「どういうことか聞きたいが、少し余裕がない。私の魔法で隠蔽するから抵抗せずにいてくれ。まぁ耐性がないなら無用の心配だとは思うが。 」
――あなた、魔法までつかえるのか。 ――
「まぁな、補助だけだが。」
言いながら彼の手から黒いもやが広がりミニドラと男をつつむ。魔法とは大きく分けて攻撃魔法、回復魔法、補助魔法の三種があり、適正により扱いやすい魔法、扱いにくい魔法がある。もちろん魔法自体に全く適性のないものも大勢いて、むしろ初歩の初歩でも使えるものは非常に少ない。
その点男は補助魔法のみの適正とはいえ魔法を扱えること、その扱いがかなりスムーズなことから相当の腕前であることがわかる。もちろんミニドラには適正はない。
そして耐性とは、存在値が上がるにつれて自然に備わっていくもので魔法耐性のほかに気絶耐性、毒物耐性などがあり、食らったことのある攻撃に関連するものが上がりやすいと言われている。しかし全く魔法を受けたことのないものが魔法耐性を持っているなど、こちらも体質や各々の才能によるものが大きいと考えられているものだ。
当然ミニドラには耐性などない。
余談だが、耐性もちの魔物はだいたい強大な力をもつのでなるべく早い討伐が望まれる。自らも炎を操り、炎に対する高い耐性を持つサラマンダー、毒の霧を身にまとい、しかし自身はそれに侵されぬ毒物耐性を持つファントムなどいまだ人族を脅かすものは多い。
――…この魔法は? ――
「隠蔽を手助けするものだ。自分の気配を環境になじませごまかすもの。私一人なら必要ないがお前もいるからな。念のためだ。」
――必要ないんだ。――
「あの追っ手のことはよく知っている。性格も実力もな。才能がないわけじゃないがまだ私を相手にするには足りないだろう。気配の消し方もあまり進歩はないようだ。」
――あまり油断しないで。…いやなかんじがする。 ――
「どういうことだ?」
――なんかちぐはぐなの。気配とか。 ――
「ちぐはぐ……もう少し具体的にわからないか? 」
――…うまく表現できない。でももっと警戒したほうがいい。――
「いや、大丈夫だ、わかった。なるべく急いで移動する。」
そして男は胸に手を当て何かをつぶやくと男の体が淡く発光した。光はすぐに消えたが、魔法の効果が消えたわけではない。そして男は姿勢を低くし、木々の間をすり抜けるようにして駆けだした。驚くことに、走っているにもかかわらず音はまったく立てていない。当然おこるはずの風もない。まるで男がそこにいないかのように世界は男の行動の影響を受けない。
男が使ったのは補助魔法の中でも特に難しいと言われている隠密系統の最高峰、「ディサリアルリフレクト」である。魔法のかかったものの起こした影響を世界に反映させない、つまり男が走ったことによっておこる音、風、痕跡はすべてなかったことになったのだ。
しかし弱点もある。この魔法はあくまでも世界へ影響を反映させないだけであって、生命には適応されない。つまり。
―――すでに補足されているものが使ってもその効果はあまり意味がない。
そうしないのは、つかず離れず私を追う影がいるからだ。
(先回りされたか…。しかし森に入って早々見つかるとは運がない。国境まではまだかなりある。振り切って逃げこむことはできそうにないか…。)
幸い相手は一人らしいのでいざとなったら無力化し逃げればよさそうだ。そう思うのになぜか漠然とした不安がある。相手を見くびるわけではないが、ここまで正確に私の逃走ルートを読み、待ち伏せすることなど彼らにできただろうか…?道中偽の情報や囮の痕跡をばらまいてきたにもかかわらずだ。
相手は一人ということもある。いくつか可能性の高い場所に人員を割り振って待ち伏せした可能性もあるが…。
「お前、魔法耐性は無いよな? 」
――あるわけない。わたしたちはレベルもあがらないしそういう能力は得られない ――
「ほんとうに、変な生態だな。 」
――むしろ、あなたたちがおかしいの――
「どういうことか聞きたいが、少し余裕がない。私の魔法で隠蔽するから抵抗せずにいてくれ。まぁ耐性がないなら無用の心配だとは思うが。 」
――あなた、魔法までつかえるのか。 ――
「まぁな、補助だけだが。」
言いながら彼の手から黒いもやが広がりミニドラと男をつつむ。魔法とは大きく分けて攻撃魔法、回復魔法、補助魔法の三種があり、適正により扱いやすい魔法、扱いにくい魔法がある。もちろん魔法自体に全く適性のないものも大勢いて、むしろ初歩の初歩でも使えるものは非常に少ない。
その点男は補助魔法のみの適正とはいえ魔法を扱えること、その扱いがかなりスムーズなことから相当の腕前であることがわかる。もちろんミニドラには適正はない。
そして耐性とは、存在値が上がるにつれて自然に備わっていくもので魔法耐性のほかに気絶耐性、毒物耐性などがあり、食らったことのある攻撃に関連するものが上がりやすいと言われている。しかし全く魔法を受けたことのないものが魔法耐性を持っているなど、こちらも体質や各々の才能によるものが大きいと考えられているものだ。
当然ミニドラには耐性などない。
余談だが、耐性もちの魔物はだいたい強大な力をもつのでなるべく早い討伐が望まれる。自らも炎を操り、炎に対する高い耐性を持つサラマンダー、毒の霧を身にまとい、しかし自身はそれに侵されぬ毒物耐性を持つファントムなどいまだ人族を脅かすものは多い。
――…この魔法は? ――
「隠蔽を手助けするものだ。自分の気配を環境になじませごまかすもの。私一人なら必要ないがお前もいるからな。念のためだ。」
――必要ないんだ。――
「あの追っ手のことはよく知っている。性格も実力もな。才能がないわけじゃないがまだ私を相手にするには足りないだろう。気配の消し方もあまり進歩はないようだ。」
――あまり油断しないで。…いやなかんじがする。 ――
「どういうことだ?」
――なんかちぐはぐなの。気配とか。 ――
「ちぐはぐ……もう少し具体的にわからないか? 」
――…うまく表現できない。でももっと警戒したほうがいい。――
「いや、大丈夫だ、わかった。なるべく急いで移動する。」
そして男は胸に手を当て何かをつぶやくと男の体が淡く発光した。光はすぐに消えたが、魔法の効果が消えたわけではない。そして男は姿勢を低くし、木々の間をすり抜けるようにして駆けだした。驚くことに、走っているにもかかわらず音はまったく立てていない。当然おこるはずの風もない。まるで男がそこにいないかのように世界は男の行動の影響を受けない。
男が使ったのは補助魔法の中でも特に難しいと言われている隠密系統の最高峰、「ディサリアルリフレクト」である。魔法のかかったものの起こした影響を世界に反映させない、つまり男が走ったことによっておこる音、風、痕跡はすべてなかったことになったのだ。
しかし弱点もある。この魔法はあくまでも世界へ影響を反映させないだけであって、生命には適応されない。つまり。
―――すでに補足されているものが使ってもその効果はあまり意味がない。
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