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第175話 アミアンの行方
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フランスのとなりで、イギリスが冷静な声で言った。
「即刻捜索を中止しろ」
帝国騎士団の騎士たちが返事をして、きびきびと、すぐさままわりに指示をとばす。
ここで帝国の騎士団が動けば、よけいにややこしいことになるわ。
しょうがないことだけれど……。
アミアン……。
教皇直属の騎士が、フランスに向かって言った。
「聖女フランス様、われわれがお守りいたします。どうか、お部屋にてお待ちください。侍女殿の捜索も、どうか、われわれにおまかせを」
フランスがイギリスに視線をやると、イギリスがうなずく。
そうね。
今、ここで、わたしが出ていって、どうにかなるわけでもないわ。
アミアンを捜しに行きたい。
けれど、そうすることで、各方面に迷惑をかけるのは、目に見えている。
フランスは、教皇直属の騎士にうながされて、ひとり部屋に入った。
扉をしめて、ひとりになると、部屋中の闇がフランスに不安を囁きかけるようだった。
アミアン。
フランスは、部屋の中で立ち尽くした。
ここで、動かないのが、正解よ。
動いちゃ、ダメ。
余計に、大変なことになるかもしれない。
アミアンの笑顔がよぎる。
アミアンが、お嬢様、と呼ぶ声が聞こえるようだった。
フランスはテラスに出て、外を見た。暗やみの中に、騎士たちが走り回っているだろう、音や声が聞こえてくる。
今すぐ、ここから飛んで、アミアンの元へ行きたい。
ここから、降りられるかしら。
フランスは手すり越しに下をのぞきこんだ。
夜の闇がある。
うっかり骨とか折りそうだけど。
行くか。
「にゃあ」
フランスはうしろから聞こえたネコの声にふりむいた。屋根の上からネコがこちらを見下ろしている。
「イギリス」
ネコが軽々とテラスにとびおりて、姿を人にかえる。
「フランス、あぶないから外に出るな。テラスにも」
「……ええ、そうね」
フランスは、背をおされて部屋に戻った。
イギリスが、フランスの正面に立って言う。
「アミアンを捜してくる」
「え、でも……」
「帝国の騎士団は捜索をやめるよう頼まれたが、皇帝が動くなとは言われていないからな」
フランスは、思わずイギリスに抱きついた。
「アミアンをお願い、イギリス」
イギリスがフランスの背をなでる。
「心配だろうが、ここから出るな。……出ようと思っていただろ」
「……ちょっとだけ」
「出るな」
釘をさされる。
フランスは、しぶしぶうなずいた。
イギリスが、テラスから出ていこうとしたとき、扉をたたく音がした。
「聖女フランス様、侍女殿が戻りました」
フランスはイギリスと目を見合わせた。
イギリスがネコの姿に変わる。
フランスは急いで部屋の扉をあけた。
「アミアン!」
目の前に、けろっとした顔をしているアミアンがいる。
フランスは抱きつこうと思ったが、アミアンが何か抱えているせいで、そうできなかった。
ん?
「アミアン? なにそれ?」
アミアンが肩にかついでいる。
何か大きなものを。
アミアンがにっこりして言った。
「捕まえてきました! 襲ってきた男のうちのひとりです」
「えっ⁉」
フランスも驚いたが、まわりの騎士たちも目をまるくしていた。
アミアンがかついでいる男は、ぐったりとしていて、ぴくりとも動く様子がない。
フランスは、不安になって訊いた。
「え……、それ、生きてるの?」
アミアンが、なんだかちょっと獰猛な顔つきで答える。
「うしろから思いっきり殴って気絶させたんですが……。まだ冷えていないので、多分、生きてます」
ひえっ。
アミアンが、フランスの部屋の扉の横に、男をおろした。壁にもたれかけさせて、座るような形で男が置かれる。
「修道士……?」
降ろされた男は、修道服を着ていた。
だから、簡単に侵入できたのね。
この城は、今日に限っては聖職者だらけだもの。
だが、本当に、この男が修道士かはうたがわしい。
教皇直属の騎士が、フランスとアミアンに向かって言った。
「この男は、こちらで拘束いたします」
「ええ、お願いします」
置いとかれても困るもの。
フランスとアミアンは、騎士団に捕らえた男をあずけて、部屋に入った。
扉をしめると、イギリスがネコから人の姿にもどる。
フランスは、アミアンを思いっきり抱きしめた。
「アミアン! 心配したわ! ほんと、無事でよかった」
「お嬢様、心配かけてごめんなさい。もっと早くに捕まえて帰ってこようと思ったのに、逃げ足が早くて」
アミアンが、イギリスの姿を見てにっこりして言った。
「陛下が、ずっと、お嬢様についていて下さったんですね」
フランスも、にっこりして答える。
「ええ、あなたのこと捜しに行こうとしてくれたのよ」
「皇帝陛下に捜されるなんて、すごいです」
「ほんとね」
フランスは、イギリスとアミアンを交互に見て、言った。
「ねえ……」
アミアンがにっこりといつものように首をかしげ、イギリスが、なんだ、という顔をする。
フランスは、ゆっくり刻むみたいにして言った。
「今日は、こわかったから、三人で、寝ましょ」
「え」
「え」
イギリスとアミアンの声がかぶる。
フランスは、もう一度、ゆっくり刻むみたいにして言った。
「三人で、寝るのよ。こわいから」
イギリスが困った顔をして、アミアンが苦笑するみたいにした。
「お嬢様、こわいの苦手ですもんね」
フランスは食い下がるようにして言った。
「イギリスがネコの姿なら、あのベッドに三人で横になれるわ」
フランスが必死にすると、イギリスはアミアンの表情をうかがうようにした。アミアンが苦笑したまま言う。
「よっぽど、こわかったんですね。陛下、おねがいします」
イギリスがうなずいてネコの姿になる。
よし!
これで、なんとか眠れるわ。
フランスはつやつやネコちゃんとアミアンにはさんでもらうようにして、寝た。
「即刻捜索を中止しろ」
帝国騎士団の騎士たちが返事をして、きびきびと、すぐさままわりに指示をとばす。
ここで帝国の騎士団が動けば、よけいにややこしいことになるわ。
しょうがないことだけれど……。
アミアン……。
教皇直属の騎士が、フランスに向かって言った。
「聖女フランス様、われわれがお守りいたします。どうか、お部屋にてお待ちください。侍女殿の捜索も、どうか、われわれにおまかせを」
フランスがイギリスに視線をやると、イギリスがうなずく。
そうね。
今、ここで、わたしが出ていって、どうにかなるわけでもないわ。
アミアンを捜しに行きたい。
けれど、そうすることで、各方面に迷惑をかけるのは、目に見えている。
フランスは、教皇直属の騎士にうながされて、ひとり部屋に入った。
扉をしめて、ひとりになると、部屋中の闇がフランスに不安を囁きかけるようだった。
アミアン。
フランスは、部屋の中で立ち尽くした。
ここで、動かないのが、正解よ。
動いちゃ、ダメ。
余計に、大変なことになるかもしれない。
アミアンの笑顔がよぎる。
アミアンが、お嬢様、と呼ぶ声が聞こえるようだった。
フランスはテラスに出て、外を見た。暗やみの中に、騎士たちが走り回っているだろう、音や声が聞こえてくる。
今すぐ、ここから飛んで、アミアンの元へ行きたい。
ここから、降りられるかしら。
フランスは手すり越しに下をのぞきこんだ。
夜の闇がある。
うっかり骨とか折りそうだけど。
行くか。
「にゃあ」
フランスはうしろから聞こえたネコの声にふりむいた。屋根の上からネコがこちらを見下ろしている。
「イギリス」
ネコが軽々とテラスにとびおりて、姿を人にかえる。
「フランス、あぶないから外に出るな。テラスにも」
「……ええ、そうね」
フランスは、背をおされて部屋に戻った。
イギリスが、フランスの正面に立って言う。
「アミアンを捜してくる」
「え、でも……」
「帝国の騎士団は捜索をやめるよう頼まれたが、皇帝が動くなとは言われていないからな」
フランスは、思わずイギリスに抱きついた。
「アミアンをお願い、イギリス」
イギリスがフランスの背をなでる。
「心配だろうが、ここから出るな。……出ようと思っていただろ」
「……ちょっとだけ」
「出るな」
釘をさされる。
フランスは、しぶしぶうなずいた。
イギリスが、テラスから出ていこうとしたとき、扉をたたく音がした。
「聖女フランス様、侍女殿が戻りました」
フランスはイギリスと目を見合わせた。
イギリスがネコの姿に変わる。
フランスは急いで部屋の扉をあけた。
「アミアン!」
目の前に、けろっとした顔をしているアミアンがいる。
フランスは抱きつこうと思ったが、アミアンが何か抱えているせいで、そうできなかった。
ん?
「アミアン? なにそれ?」
アミアンが肩にかついでいる。
何か大きなものを。
アミアンがにっこりして言った。
「捕まえてきました! 襲ってきた男のうちのひとりです」
「えっ⁉」
フランスも驚いたが、まわりの騎士たちも目をまるくしていた。
アミアンがかついでいる男は、ぐったりとしていて、ぴくりとも動く様子がない。
フランスは、不安になって訊いた。
「え……、それ、生きてるの?」
アミアンが、なんだかちょっと獰猛な顔つきで答える。
「うしろから思いっきり殴って気絶させたんですが……。まだ冷えていないので、多分、生きてます」
ひえっ。
アミアンが、フランスの部屋の扉の横に、男をおろした。壁にもたれかけさせて、座るような形で男が置かれる。
「修道士……?」
降ろされた男は、修道服を着ていた。
だから、簡単に侵入できたのね。
この城は、今日に限っては聖職者だらけだもの。
だが、本当に、この男が修道士かはうたがわしい。
教皇直属の騎士が、フランスとアミアンに向かって言った。
「この男は、こちらで拘束いたします」
「ええ、お願いします」
置いとかれても困るもの。
フランスとアミアンは、騎士団に捕らえた男をあずけて、部屋に入った。
扉をしめると、イギリスがネコから人の姿にもどる。
フランスは、アミアンを思いっきり抱きしめた。
「アミアン! 心配したわ! ほんと、無事でよかった」
「お嬢様、心配かけてごめんなさい。もっと早くに捕まえて帰ってこようと思ったのに、逃げ足が早くて」
アミアンが、イギリスの姿を見てにっこりして言った。
「陛下が、ずっと、お嬢様についていて下さったんですね」
フランスも、にっこりして答える。
「ええ、あなたのこと捜しに行こうとしてくれたのよ」
「皇帝陛下に捜されるなんて、すごいです」
「ほんとね」
フランスは、イギリスとアミアンを交互に見て、言った。
「ねえ……」
アミアンがにっこりといつものように首をかしげ、イギリスが、なんだ、という顔をする。
フランスは、ゆっくり刻むみたいにして言った。
「今日は、こわかったから、三人で、寝ましょ」
「え」
「え」
イギリスとアミアンの声がかぶる。
フランスは、もう一度、ゆっくり刻むみたいにして言った。
「三人で、寝るのよ。こわいから」
イギリスが困った顔をして、アミアンが苦笑するみたいにした。
「お嬢様、こわいの苦手ですもんね」
フランスは食い下がるようにして言った。
「イギリスがネコの姿なら、あのベッドに三人で横になれるわ」
フランスが必死にすると、イギリスはアミアンの表情をうかがうようにした。アミアンが苦笑したまま言う。
「よっぽど、こわかったんですね。陛下、おねがいします」
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よし!
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