194 / 205
第194話 アロンの墓で大喧嘩
しおりを挟む
フランスのとなりで、イギリスがぶつぶつ文句を言いながらも、丁寧にウリムとトンミムをさがしている。
よっぽど、ヴラドに気持ちよくされたのが、嫌だったらしい。
フランスとイギリスは、あちこちに置いてある物をどけたり、蓋を開けてみたり、裏をのぞいてみたりして、ウリムとトンミムをさがしまわった。
だが、それっぽい石は見つからない。
フランスは、足元に転がっている、いかにも普通の石ころを持ち上げて、言った。
「まさか、こんな感じじゃないわよね。こんな感じだったら、絶望的よ」
「さすがに、もっと磨いてあったりするんじゃないか?」
「う~ん、そうよね。こんな普通の石っぽかったら、ここらじゃ無限回収できちゃうわよ」
フランスが石をぽいっとやった瞬間、目の前があやしく溶けるようになった。
何度かまばたきをする。
女の手が目の前にある。姿がもとに戻った。
「もう、正午なのね」
「地下だから、すっかり分からないな」
「こんな調子じゃ、急がないとすぐ夕暮れになっちゃいそう。わたし、となりの部屋を見て来るわ」
イギリスが、大丈夫か、みたいな顔をした。
「何かあったら叫ぶし、そこからすぐのぞける場所よ」
となりの部屋は、みじかい横穴でつながっている。
イギリスがうなずいたのを見届けて、フランスは横にのびている道を進んだ。
すぐそこに簡単な扉のようなものが取り付けてある。
フランスは、その扉をあけて、中を見た。
中を見た瞬間、思わずその中に飛び込んだ。
いやーっ!
金ぴかすぎるっ‼
最高‼
そこにあったのは、金銀財宝の山だった。
足元を見ると、大きな金貨や、大きな宝石がゴロゴロ転がっている。
フランスは、金色のゴブレットをひとつ持ち上げてみた。
重い!
うわあ、素敵、素敵、素敵~。
ここに、住みたい。
ヴラドの、あの貴族らしい服装や、いかにも高級な家具の類は、どうやって集めているのかと思っていたが、とんでもない財産持ちだったのね。
お金持ちだわ。
金ぴかの、お金持ち。
すると、耳元で急に声がした。
「気に入ったか? フランス」
おどろいて振り向くと、ヴラドがにやにやしながら立っていた。
「びっくりしたわ。いつのまに」
足音も聞こえなかった。
そういえば、階段を降りて来た時も、急にうしろにいたわね。
どうやって?
もしや、イギリスと同じように、人以外に姿を変えられるのかしら。
フランスは、ふと不思議に思って言った。
「あら、なぜ、フランスだと?」
「正午をすぎただろ」
あ、そっか。
そこも説明していたっけ。
ヴラドがからかうように言う。
「ウリムとトンミムをさがしに来たと言いながら、本当は、小竜公の財宝目当てか?」
「いいえ、そんな。あなたの財宝を奪おうなんて考えてないわ。……あ、でも、ちょっとだけしてみたいことが……」
ヴラドがどうぞ、という仕草をしたので、フランスは金銀財宝の山になっているところに、寝ころんでみた。
「そんなことして、楽しいか?」
「金銀財宝と一緒に眠るのって、どんな気分かなと思って」
「だいぶ、変わっているな」
聞かなかったことにする。
フランスは、耳元で金貨をちゃりちゃりやりながら言った。
「寝心地は悪いけれど、気分はすこぶるいいかもしれない」
「金貨を、まぶたの上にのせて眠ると、金銀財宝の夢が見られるぞ」
えっ。
フランスは、そこらにある、金貨をふたつとってまぶたに乗せた。
「……」
ヴラドがおかしそうに笑っている声が聞こえる。
「ぜったい、うそついたでしょ、今の」
そこまで言って、フランスは首をふってまぶたの金貨を落とした。
すぐ目の前に、ヴラドの顔がある。
「ヴラド、どいて」
「いやだ」
フランスは両腕に力をこめて身体をひねろうとしたが、びくともしなかった。ヴラドがフランスの両腕をしっかりと掴んで、覆いかぶさるようにしているせいだ。
ヴラドが、フランスの首筋に顔をうずめるようにして、深く息を吸った。
ひぃぃ。
「ああ、ほんといい匂いだな。処女の乙女ってだけじゃない、もっと格別な香りがする」
聖女だからかしら。
全然、うれしくない。
ヴラドが、フランスの目をのぞき込むみたいにして言った。
「なあ、もうすこし、血をくれないか?」
「……」
フランスはちょっと考えてから言った。
「あの、気持ち良くなる、という状態にならずに、あなたに血をあげることはできないの?」
「……できない」
今の間はあやしい。
「ヴラド、あるんでしょ?」
ヴラドが、面白くなさそうな顔をして言った。
「まあ、ある」
「それは、どうやって?」
「それは」
そこまで言った後、ヴラドが横ざまに吹っ飛んでいった。
びっくりして見ると、イギリスが怒りの形相で立っていた。
ヴラドは、イギリスに容赦なく蹴り上げられたのか、悪態をつきながらわき腹をおさえている。
さらにイギリスが、ヴラドに向かって行こうとしたので、フランスはあわててイギリスを止めた。
「まって、イギリス。乱暴しないで!」
「なぜ、かばうんだ。まさか、喜んで、あんな状態になっていたんじゃないだろうな」
「失礼ね、そんなはずないで……あ、ちょっと!」
イギリスは、フランスが止める間もなく、ヴラドに向かっていって、もう一度思いきり蹴りつけるみたいにした。
ヴラドも怒ったのか、イギリスにつかみかかった。
いやぁぁ、喧嘩。
金銀財宝を壊さないでよ!
よっぽど、ヴラドに気持ちよくされたのが、嫌だったらしい。
フランスとイギリスは、あちこちに置いてある物をどけたり、蓋を開けてみたり、裏をのぞいてみたりして、ウリムとトンミムをさがしまわった。
だが、それっぽい石は見つからない。
フランスは、足元に転がっている、いかにも普通の石ころを持ち上げて、言った。
「まさか、こんな感じじゃないわよね。こんな感じだったら、絶望的よ」
「さすがに、もっと磨いてあったりするんじゃないか?」
「う~ん、そうよね。こんな普通の石っぽかったら、ここらじゃ無限回収できちゃうわよ」
フランスが石をぽいっとやった瞬間、目の前があやしく溶けるようになった。
何度かまばたきをする。
女の手が目の前にある。姿がもとに戻った。
「もう、正午なのね」
「地下だから、すっかり分からないな」
「こんな調子じゃ、急がないとすぐ夕暮れになっちゃいそう。わたし、となりの部屋を見て来るわ」
イギリスが、大丈夫か、みたいな顔をした。
「何かあったら叫ぶし、そこからすぐのぞける場所よ」
となりの部屋は、みじかい横穴でつながっている。
イギリスがうなずいたのを見届けて、フランスは横にのびている道を進んだ。
すぐそこに簡単な扉のようなものが取り付けてある。
フランスは、その扉をあけて、中を見た。
中を見た瞬間、思わずその中に飛び込んだ。
いやーっ!
金ぴかすぎるっ‼
最高‼
そこにあったのは、金銀財宝の山だった。
足元を見ると、大きな金貨や、大きな宝石がゴロゴロ転がっている。
フランスは、金色のゴブレットをひとつ持ち上げてみた。
重い!
うわあ、素敵、素敵、素敵~。
ここに、住みたい。
ヴラドの、あの貴族らしい服装や、いかにも高級な家具の類は、どうやって集めているのかと思っていたが、とんでもない財産持ちだったのね。
お金持ちだわ。
金ぴかの、お金持ち。
すると、耳元で急に声がした。
「気に入ったか? フランス」
おどろいて振り向くと、ヴラドがにやにやしながら立っていた。
「びっくりしたわ。いつのまに」
足音も聞こえなかった。
そういえば、階段を降りて来た時も、急にうしろにいたわね。
どうやって?
もしや、イギリスと同じように、人以外に姿を変えられるのかしら。
フランスは、ふと不思議に思って言った。
「あら、なぜ、フランスだと?」
「正午をすぎただろ」
あ、そっか。
そこも説明していたっけ。
ヴラドがからかうように言う。
「ウリムとトンミムをさがしに来たと言いながら、本当は、小竜公の財宝目当てか?」
「いいえ、そんな。あなたの財宝を奪おうなんて考えてないわ。……あ、でも、ちょっとだけしてみたいことが……」
ヴラドがどうぞ、という仕草をしたので、フランスは金銀財宝の山になっているところに、寝ころんでみた。
「そんなことして、楽しいか?」
「金銀財宝と一緒に眠るのって、どんな気分かなと思って」
「だいぶ、変わっているな」
聞かなかったことにする。
フランスは、耳元で金貨をちゃりちゃりやりながら言った。
「寝心地は悪いけれど、気分はすこぶるいいかもしれない」
「金貨を、まぶたの上にのせて眠ると、金銀財宝の夢が見られるぞ」
えっ。
フランスは、そこらにある、金貨をふたつとってまぶたに乗せた。
「……」
ヴラドがおかしそうに笑っている声が聞こえる。
「ぜったい、うそついたでしょ、今の」
そこまで言って、フランスは首をふってまぶたの金貨を落とした。
すぐ目の前に、ヴラドの顔がある。
「ヴラド、どいて」
「いやだ」
フランスは両腕に力をこめて身体をひねろうとしたが、びくともしなかった。ヴラドがフランスの両腕をしっかりと掴んで、覆いかぶさるようにしているせいだ。
ヴラドが、フランスの首筋に顔をうずめるようにして、深く息を吸った。
ひぃぃ。
「ああ、ほんといい匂いだな。処女の乙女ってだけじゃない、もっと格別な香りがする」
聖女だからかしら。
全然、うれしくない。
ヴラドが、フランスの目をのぞき込むみたいにして言った。
「なあ、もうすこし、血をくれないか?」
「……」
フランスはちょっと考えてから言った。
「あの、気持ち良くなる、という状態にならずに、あなたに血をあげることはできないの?」
「……できない」
今の間はあやしい。
「ヴラド、あるんでしょ?」
ヴラドが、面白くなさそうな顔をして言った。
「まあ、ある」
「それは、どうやって?」
「それは」
そこまで言った後、ヴラドが横ざまに吹っ飛んでいった。
びっくりして見ると、イギリスが怒りの形相で立っていた。
ヴラドは、イギリスに容赦なく蹴り上げられたのか、悪態をつきながらわき腹をおさえている。
さらにイギリスが、ヴラドに向かって行こうとしたので、フランスはあわててイギリスを止めた。
「まって、イギリス。乱暴しないで!」
「なぜ、かばうんだ。まさか、喜んで、あんな状態になっていたんじゃないだろうな」
「失礼ね、そんなはずないで……あ、ちょっと!」
イギリスは、フランスが止める間もなく、ヴラドに向かっていって、もう一度思いきり蹴りつけるみたいにした。
ヴラドも怒ったのか、イギリスにつかみかかった。
いやぁぁ、喧嘩。
金銀財宝を壊さないでよ!
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜
鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。
秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。
一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。
◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。
引きこもり聖女は祈らない
鷹 綾
恋愛
内容紹介
聖女ポーラ・スターは、引きこもっていた。
人と話すことができず、部屋から出ることもできず、
彼女の意思表示は、扉に貼られる小さなメモだけだった。
「西の街道でがけ崩れが起きます」
「今日は、クラムチャウダーが食べたいです」
祈らず、姿も見せず、奇跡を誇示することもない聖女。
その存在は次第に「役立たず」と見なされ、
王太子リチャードから一方的に婚約を破棄され、聖女の地位も解かれる。
──だが、その日を境に、王国は壊れ始めた。
天候不順、嵐、洪水、冷害。
新たに任命された聖女は奇跡を演じるが、世界は救われない。
誰もが気づかぬまま、
「何もしない聖女」が、実はすべてを支えていた事実だけが残されていた。
扉の向こうで静かに生きる少女と、
毎日声をかけ続ける精神科医フォージャー。
失われていく王国と、取り戻されていく一人の人生。
これは、
祈らない聖女が選んだ、
誰にも支配されない静かな結末の物語。
『引きこもり聖女は祈らない』
ざまぁは声高でなく、
救いは奇跡ではなく、
その扉の向こうに、確かにあった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる