ドラゴンな幼なじみがお節介やきで困っています

生コン樽

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第3話

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「一学期が始まってから1ヶ月、新生活の疲れが出始める頃ではあるが......どうせ寝坊でもしたんだろう」
 廊下を少し進んだ先、人気が少ない踊り場で呆れた表情の守屋先生と向き合う。遅刻をする事自体は初めてだが、こうした小さな校則違反は初めてではない。
「倉田の爪の垢でも煎じて飲んだらどうだ?規範提示生徒としての自覚が足りてないんじゃないか?」
「......すいません」
 先生の厳しい言葉に僕は思わず下を向いてしまう。柏木高等学校は留学生を積極的に受け入れた結果、生徒数が増えすぎた為、留学生を多く集めた二つ目の校舎、つまりこの第二柏木高等学校が出来たという背景がある。人間の数が少ないから、こっちに通うのは全員規定生に登録されている。実際、31人で構成された僕のクラスには規定生が3人いるだけだ。
「反省しているなら構わん、以後気をつけろ。新しい環境に慣れて余裕が出て、逆に油断して無茶をする奴も出てくる。正直な所、遅刻ぐらいのことならそこまで目くじらを立てて叱ることじゃないんだが......」
 異種族が多く通うこの学校では些細な校則違反でも危ない事になる可能性が高い。普通の人間よりも力の強い生徒や、特殊な能力を持つ生徒も多い。そうした面で他の学校よりも規定生という肩書きの持つ責任はずっと大きい。
「それと、だ。竜宮と一緒に空を飛んで登校してくるんじゃない。真似する奴がでるかも知れんし、何より危険だ。落下したりすれば一発で人生終了になるぞ。」
「はい、わかりました。もうしません」
 別に僕も望んでやった訳ではないのだがそれはそれ。辰子はただ親切でしてくれただけなので責めるのもお門違いだ。空を飛んでの登校が危険な行為であることも身を持って体験したので、素直に頷き二度とやるまいと心に誓う。
「この注意は竜宮にも伝えておけ、お前に限らず人を乗せて飛行させるな。新試生にはこういう部分の注意事項もリストにして渡すべきだ、ということか......」
 先生の言葉の後半は独り言のようだった。今まで留学生受け入れは人型の種族に限られていた。人型でないと人間規格で作られた施設が使用できない場合があるからだ。しかし今年から人型でない種族ーー例えばドラゴンーーも受け入れられるようにするために、政府は新しい制度の施行に向けて動き出した。新試生、新制度試運用生徒の入学はその一環というわけだ。新しい校舎を建てる際、そういった生徒の入学も想定してこの第二柏木高等学校は作られたらしい。
「1クラス2人ずつの規定生がウチに3人配置されてんのは竜宮がいるからだ。学校生活の指導を任されている教育係としてしっかりやってくれ」
 辰子と幼なじみである、という縁で僕はここに入学した。気心のしれた者同士ならそういった注意もしやすいという配慮からだ。まぁこの辺りはちょっと特別な事情も絡んでいるんだけれど。
「わかりました、伝えておきます。それで、その~、もう1時間目始まっちゃうのでそろそろ......」
「もうそんな時間か、長々話して悪かったな。もういいぞ、竜宮のおかげで大して遅れずに済んだんだ。居眠りとかすんじゃねーぞ」
 そう言って僕に背を向けた守屋先生に軽く一礼してから、僕は自分の教室に急いで戻った。
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