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第9話
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その後、廊下で待ち構えていた生徒にもみくちゃにされ、どうにか教室に戻ってからも新聞部がやってきて質問責めにされたりした。辰子が宥めてくれたけれど、横でインタビューの回答を聞いていた宇野さんが僕を窓から投げ捨てようとした時は死ぬかと思った。
職員室でおきた騒ぎだったので授業中も先生方からの生温かい目で見られ、疲労困憊となってしまった僕は、また誰かに絡まれない内に逃げようと急いで学校を出たのだが......。
「なんでいるのさ?」
「企業秘密だ」
何故か隣に倉田くんがいた。おかしいな、僕が教室を出た時にはまだ教室に居たはずなんだけど。
「まぁ、気にするな。それより竜宮はどこだ?いつも一緒に登下校してるだろう」
「今日はいないよ、宇野さんと遊びに行くんだって」
僕の疑問に答えることはせず、空を見上げながら逆に質問をして来る倉田におとなしく答える。今日1日で質問にすぐ答える癖がついてしまったような気がする。
「それよりさ、倉田くんの帰る方向ってこっちだっけ?朝とかみたことないけど」
「いいや、全くの逆方向だ。今日は鈴木と竜宮に聞きたいことがあったんだがな」
「それ急ぎ?」
「急いでなかったらわざわざ追いかけてはこない、竜宮に連絡はつくか?」
どうやらさっさと帰ろうとした僕を見つけて慌てて追いかけてきたらしい。走った様子もなく先回りされていたのは不可解だが......。
「いやまぁ、そりゃ勿論電話番号ぐらいなら知ってるけどさ」
「......竜宮が携帯を持っているとは思っていなかったな、どう操作するんだ」
「ガラケーだよ、スマホだと爪の先じゃ使えないからね。今電話かけるから少し待っててくれる?」
僕はそう言ってズボンのポケットからスマホを取り出す。歩きスマホはマナー云々の前に危ないので、今朝の事で少し過敏になっている僕は道の端によって操作を始めたが、倉田くんに止められる。
「待て待て、そこまで急ぎの用件じゃない。文化祭のクラス企画を覚えているだろう?」
「えっと、異世界カフェだっけ?」
僕らのクラスの出し物は、魔術世界伝統のお菓子を何種類か用意して日本の緑茶と一緒に楽しんで貰うという趣旨の企画だ。お茶はペットボトルからコップに注いで出すことになってしまったけれど、お菓子の方は日持ちのするものを選んで事前に作り置きしておくことになったはずだ。
「それがどうしたのさ?」
「他の奴らには朝の内にプリントを配って、良さげな物を探してレシピを調べて来てもらうよう頼んだんだが、お前らには何も言ってなかったのを忘れててな。鈴木から伝えておいてくれ」
「あれ?クラス全体で調べて決めないんだ」
学級会でこの企画を出し物に決めたときはそういう案がでていたので、そこについて尋ねると種族ごとの文化の違いもあるので、親やその上の世代などから各自が聞いてきた方がいいと判断したと倉田くんは答えた。
「わかった、辰子に伝えておく。でもなんで僕にも伝えないといけなかったのさ。僕はこっち産まれこっち育ちの規定生だよ?」
「鈴木に異種族の知人がいることが昼休みに判明したからだな、実母か?」
昼休みの一件は既にクラス中に広まっている。新聞部が記事にするとも言っていたので、明日には学校全体に知れ渡っているだろう。当然倉田くんも知っているので誤解しているのも無理はない。
「いいや、養母だよ。色々と複雑な事情があってね、父親もーー」
僕が自分の家族の事を説明しようとしたその時、僕らの背後でクラクションが鳴らされた。別に広がって歩いている訳でもないと思うが、邪魔になっていたのだろうか?とにかく迷惑にならないように倉田くんが道の端に寄る。すると車は僕らの横にピッタリと付けてもう一度クラクションを鳴らした。
職員室でおきた騒ぎだったので授業中も先生方からの生温かい目で見られ、疲労困憊となってしまった僕は、また誰かに絡まれない内に逃げようと急いで学校を出たのだが......。
「なんでいるのさ?」
「企業秘密だ」
何故か隣に倉田くんがいた。おかしいな、僕が教室を出た時にはまだ教室に居たはずなんだけど。
「まぁ、気にするな。それより竜宮はどこだ?いつも一緒に登下校してるだろう」
「今日はいないよ、宇野さんと遊びに行くんだって」
僕の疑問に答えることはせず、空を見上げながら逆に質問をして来る倉田におとなしく答える。今日1日で質問にすぐ答える癖がついてしまったような気がする。
「それよりさ、倉田くんの帰る方向ってこっちだっけ?朝とかみたことないけど」
「いいや、全くの逆方向だ。今日は鈴木と竜宮に聞きたいことがあったんだがな」
「それ急ぎ?」
「急いでなかったらわざわざ追いかけてはこない、竜宮に連絡はつくか?」
どうやらさっさと帰ろうとした僕を見つけて慌てて追いかけてきたらしい。走った様子もなく先回りされていたのは不可解だが......。
「いやまぁ、そりゃ勿論電話番号ぐらいなら知ってるけどさ」
「......竜宮が携帯を持っているとは思っていなかったな、どう操作するんだ」
「ガラケーだよ、スマホだと爪の先じゃ使えないからね。今電話かけるから少し待っててくれる?」
僕はそう言ってズボンのポケットからスマホを取り出す。歩きスマホはマナー云々の前に危ないので、今朝の事で少し過敏になっている僕は道の端によって操作を始めたが、倉田くんに止められる。
「待て待て、そこまで急ぎの用件じゃない。文化祭のクラス企画を覚えているだろう?」
「えっと、異世界カフェだっけ?」
僕らのクラスの出し物は、魔術世界伝統のお菓子を何種類か用意して日本の緑茶と一緒に楽しんで貰うという趣旨の企画だ。お茶はペットボトルからコップに注いで出すことになってしまったけれど、お菓子の方は日持ちのするものを選んで事前に作り置きしておくことになったはずだ。
「それがどうしたのさ?」
「他の奴らには朝の内にプリントを配って、良さげな物を探してレシピを調べて来てもらうよう頼んだんだが、お前らには何も言ってなかったのを忘れててな。鈴木から伝えておいてくれ」
「あれ?クラス全体で調べて決めないんだ」
学級会でこの企画を出し物に決めたときはそういう案がでていたので、そこについて尋ねると種族ごとの文化の違いもあるので、親やその上の世代などから各自が聞いてきた方がいいと判断したと倉田くんは答えた。
「わかった、辰子に伝えておく。でもなんで僕にも伝えないといけなかったのさ。僕はこっち産まれこっち育ちの規定生だよ?」
「鈴木に異種族の知人がいることが昼休みに判明したからだな、実母か?」
昼休みの一件は既にクラス中に広まっている。新聞部が記事にするとも言っていたので、明日には学校全体に知れ渡っているだろう。当然倉田くんも知っているので誤解しているのも無理はない。
「いいや、養母だよ。色々と複雑な事情があってね、父親もーー」
僕が自分の家族の事を説明しようとしたその時、僕らの背後でクラクションが鳴らされた。別に広がって歩いている訳でもないと思うが、邪魔になっていたのだろうか?とにかく迷惑にならないように倉田くんが道の端に寄る。すると車は僕らの横にピッタリと付けてもう一度クラクションを鳴らした。
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