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第10話
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自動車の不可解な行動に僕と倉田くんが不審に思っていると、車の窓が開けられて中から運転手が顔を出した。
「あれ、父さん?どうしたのこんな時間に」
運転席に座っていたのは僕の父親、鈴木種彦その人だった。
魔術世界出身で、今はこちらの世界の役所で異文化交流の手助けや魔術絡みの事件への対処など、向こうの世界の知識が必要な案件を担当する部署で働いている。
公務員とはいえ仕事が終わるにはまだ早いはずだ。
「......母さんが保護されたと、警察から職場に電話があってな」
「あぁ......」
どうやらこの国の警察も怠けている訳ではないらしい。治安維持機構はしっかりと稼働しているようだ。保護された母さんが身元引き受け人として父さんの名前と連絡先を伝えたのだろう。
「そちらは学校の友人か」
「うん、クラスの学級委員の倉田くんだよ、この人は僕の父親の鈴木種彦」
「どうも......あの、」
僕に紹介されて挨拶する倉田くんから疑問の気配を感じたのだろう、父さんは厳めしい顔を動かして倉田くんに牙を見せつけながら僕の紹介に補足を入れる。
「初めまして、鈴木種彦だ。見ての通りオークで、俊也との血縁はない。育ての親という奴だ」
「ヒッ......」
「父さん、顔怖いって......」
僕の父さんはオーク、人と豚を足したみたいな種族なのだが、豚という語から想像されるような可愛らしい外見ではない。むしろオークという種族は全体としてガタイが良い部類にはいる。
中でも父さんは特に鍛えている訳でもないのに筋骨隆々の偉丈夫で、威圧的な体格に加えて顔つきも牙が口端から覗く恐ろしげなものなのである。そのせいで本人は笑っているつもりでも獰猛な野獣が牙を剥いて威嚇しているようにしか見えない。
「やはり、そう見えてしまうか......」
その外見とは真逆にナイーブで傷つきやすいのでストレス性の胃潰瘍にもなったことのある父さんだが、初対面だと真面目で打たれ弱い内面はまず伝わらない。
「ひとまず乗ってくれ。俊也がいた方が話が進みやすい」
相変わらず言葉足らずでわかりにくいが、これから警察署に母さんを迎えに行くから一緒に来て欲しいと言ってるのだろう。この通り口下手な人なので1人で行くと話が拗れる可能性が高い。
「わかった。えぇと倉田くん、悪いんだけどそういうことだから......」
父さんに同行することを決めた僕は倉田くんに申し訳なく思いながらその旨を伝える。
「気にするな、竜宮に連絡を入れるのを忘れなければそれでいい」
「ありがとう、じゃあまた明日学校で」
「あぁ、またな」
倉田くんとの別れの挨拶を済ませた僕は車の後部座席に乗り込んでシートベルトを締めた。父さんはすぐには発進せず倉田くんに向けて再度口を開く。
「邪魔をしてしまって申し訳ない。だが、今後とも息子と仲良くしてやってくれ。時々無茶をしようとする奴だ、迷惑なことも多いだろうが頼む」
「と、父さん、余計なこと言わないでよ!」
そんな僕らのやりとりを見てなのか、何故か寂しそうに笑った倉田くんは父さんのお節介な言葉にもしっかり頷いてくれた。
「......ありがとう」
父さんは頼みを承諾してくれた倉田くんにお礼の言葉を告げ、開けていた窓を閉めて今度こそ車を発進させた。
「あれ、父さん?どうしたのこんな時間に」
運転席に座っていたのは僕の父親、鈴木種彦その人だった。
魔術世界出身で、今はこちらの世界の役所で異文化交流の手助けや魔術絡みの事件への対処など、向こうの世界の知識が必要な案件を担当する部署で働いている。
公務員とはいえ仕事が終わるにはまだ早いはずだ。
「......母さんが保護されたと、警察から職場に電話があってな」
「あぁ......」
どうやらこの国の警察も怠けている訳ではないらしい。治安維持機構はしっかりと稼働しているようだ。保護された母さんが身元引き受け人として父さんの名前と連絡先を伝えたのだろう。
「そちらは学校の友人か」
「うん、クラスの学級委員の倉田くんだよ、この人は僕の父親の鈴木種彦」
「どうも......あの、」
僕に紹介されて挨拶する倉田くんから疑問の気配を感じたのだろう、父さんは厳めしい顔を動かして倉田くんに牙を見せつけながら僕の紹介に補足を入れる。
「初めまして、鈴木種彦だ。見ての通りオークで、俊也との血縁はない。育ての親という奴だ」
「ヒッ......」
「父さん、顔怖いって......」
僕の父さんはオーク、人と豚を足したみたいな種族なのだが、豚という語から想像されるような可愛らしい外見ではない。むしろオークという種族は全体としてガタイが良い部類にはいる。
中でも父さんは特に鍛えている訳でもないのに筋骨隆々の偉丈夫で、威圧的な体格に加えて顔つきも牙が口端から覗く恐ろしげなものなのである。そのせいで本人は笑っているつもりでも獰猛な野獣が牙を剥いて威嚇しているようにしか見えない。
「やはり、そう見えてしまうか......」
その外見とは真逆にナイーブで傷つきやすいのでストレス性の胃潰瘍にもなったことのある父さんだが、初対面だと真面目で打たれ弱い内面はまず伝わらない。
「ひとまず乗ってくれ。俊也がいた方が話が進みやすい」
相変わらず言葉足らずでわかりにくいが、これから警察署に母さんを迎えに行くから一緒に来て欲しいと言ってるのだろう。この通り口下手な人なので1人で行くと話が拗れる可能性が高い。
「わかった。えぇと倉田くん、悪いんだけどそういうことだから......」
父さんに同行することを決めた僕は倉田くんに申し訳なく思いながらその旨を伝える。
「気にするな、竜宮に連絡を入れるのを忘れなければそれでいい」
「ありがとう、じゃあまた明日学校で」
「あぁ、またな」
倉田くんとの別れの挨拶を済ませた僕は車の後部座席に乗り込んでシートベルトを締めた。父さんはすぐには発進せず倉田くんに向けて再度口を開く。
「邪魔をしてしまって申し訳ない。だが、今後とも息子と仲良くしてやってくれ。時々無茶をしようとする奴だ、迷惑なことも多いだろうが頼む」
「と、父さん、余計なこと言わないでよ!」
そんな僕らのやりとりを見てなのか、何故か寂しそうに笑った倉田くんは父さんのお節介な言葉にもしっかり頷いてくれた。
「......ありがとう」
父さんは頼みを承諾してくれた倉田くんにお礼の言葉を告げ、開けていた窓を閉めて今度こそ車を発進させた。
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