ドラゴンな幼なじみがお節介やきで困っています

生コン樽

文字の大きさ
21 / 27

第19話

しおりを挟む
 と、言ってもだ。最近の辰子は僕と居るより宇野さんと話している時間の方が長くなっている。
 辰子は種族の壁や引っ込み思案な性格のせいで、周囲と距離をとっている節があるので、仲のよい友人ができたことは幼なじみとしては嬉しい変化何だけど......宇野さんが人間に近い種族である事を考えれば、彼女の意見は十分信用できる部類だ、問題ないというなら本当にないのだろう。
「じゃあ対策を考えるのは身体能力についての問題だけでいいのかな?」
「否定、不足大量。検討再度」
「あっつ!」
 話を先へ進めようとした時、僕の首筋に何か熱い物が押し当てられた。
 身の危険を感じて反射的に立ち上がろうとして失敗し、僕は椅子から転げ落ちてしまう。
 焦げ臭いなと思って後頭部に手を当ててみると、小さいものではあるが火傷していた。
「む、火野さんですか。私は一向に構いませんが、貴方が素手で触るとソレが炭になりますよ」
「心配無用、故意」
「焼かれた身の僕は心配しかないよ火野さん!?わざとやってるなら余計に質が悪い!?もう少し僕の体を丁寧に扱ってくれる?」
「承認。汝、全身完全燃焼希望?手際良好保証、委任要求」
「もしかして全身燃やすって言ってる?丁寧っていうのは中までしっかり火を通せって意味じゃないから!」
 僕の背後にいつの間にか忍び寄っていたのは、このクラスのもう一人の学級委員、火野霊華さんだった。
 彼女の種族は、えっと......精霊という系統なのはわかるのだが......。
 この精霊という単語、実は哺乳類とかの分類と同じぐらい大雑把な範囲を示す単語で、種族としての名称は他にあるのだけど、司る属性と保有する魔力の規模でとても細かく分けられているせいで覚え切れていない。
 火野さんの場合は常に炎を吹き出している体を耐火・断熱素材の服で覆っているので、とりあえず司る属性が火だという事はわかるんだけど、逆にそれしかわからない。
 現在、魔術世界を探索する学者たちのあいだでも分類方に大論争を巻き起こしている摩訶不思議な種族、それが精霊である。
「冗談」
「例え冗談だとしてもやられる側にはシャレにならないんだって......」
「......理解、謝罪提示。」
 そういってフードを被った頭を下げてくれる火野さん。どうやら謝っているようだ。
 彼女は何故か単語だけで喋るので、なんと言いたいのかわかりづらい時があり、何をしたいのかわからない行動をする事もよくある。
 今のも手袋を外した指先で僕の首に触れようとしただけのようだけど、何を思ってそんな事をしたのか......精霊である事を差し引いても不思議な人である。
「火野ちゃん、学級委員なのにクラスの企画手伝ってこなくていいの?」
「無問題。倉田、一人、十分。我、暇」
「倉田さんが優秀だから任せきりにしても平気ってことですか?平然と酷いことを言いますね貴方......」
 他の皆の動きを確認してみても、特に混乱もなく進行しているようなので本当に大丈夫では有るんだろうけど......まぁいいか。
 あの変態はとにかく優秀なので大概の事はどうにかするだろう。
「大丈夫なら別にいいんだけど......私の事は別に気にしなくていいんだよ?」
「否定、級友放置、悪手。全員参加、理想」
 やはりどこか自分を蔑ろにした発言をする辰子に火野さんがキッパリと言い返す。
 クラスメイトを放っておけない、文化祭に全員で参加する事が理想だ、彼女が言いたいのはこんなところだろう。
 全く、火野さんも倉田に負けず劣らずの頼もしい学級委員である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

処理中です...