サプレッサー

霜月麗華

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新都市編

第壱話 誘拐

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            ◾️

 空は黒かった。日本とは、違った。石像が、剥げていっていた。
「酸性雨か?」
「初めてね、酸性雨は」
酸性雨は地に溜まっていく。俺達は店で雨宿りした。

            ◾️

 今日は大雨だった。だが学校は休みにならない。
「おっはよー」
「おう」
俺は、幼馴染みの大咲遥の横に立ち、学校に向かって歩いた。
 ──俺の名前は松原鉄次まつばらてつじ、中三だ。中肉中背で、後は脚が速い。以上。特徴を挙げるのが難しい。俺は今、金が欲しい。
 大咲遥おおさきはるは俺と大体同じ背だ。最近運動を始めたそうだ。

 学校は、退屈だ。勉強をしただけして、テストして、終わり。いつもそんな感じだ。登下校は遥と一緒だ。今日は彼女が居なかった。仕方なく俺はやる事が無い為、喫茶店で夜までコーヒーを飲んで、商店街をふらついていた。
「はぁ、閉まってる…」
店は閉まっている。その時、後ろから誰かが俺の口を手で塞ぎ、路地裏に連れ込んだ。
「ゴホッゴホッ、誰だ…よ?」
其れは遥だった。遥は俺を見下している様な目で、此方を見た。
「は、遥?」
「黙って」
朝の時とは、まるで違った。暗かった。
「鉄次にお願いがある」
「は?何だよ?」
「来て」
「はぁ?!」
俺は立ち上がって、
「何云ってんだよ?分からねーよ」
「分かんなくていい!とにかく速く来て!」
遥はそう云い、俺の腕を引っ張って変なちっさい雑居ビルに連れ込まれた。雑居ビルの三階の部屋に入って、椅子に座った。
「何、此処?」
「後でわかる」
「へぇ、」
俺はそう云い、辺りを見渡す。ポスターの様な物が壁に張り付いていた。

『金を巻き上げろ』『詐欺師詐欺師詐欺師詐欺師詐欺師詐欺師詐欺師』『暴力解決万歳!』

物騒過ぎんだろ!数分もしない内に部屋の奥から、見知らぬ男性が現れた。
「ようこそ、『World of scammers』へ」
「は?アンタの名前は?てか、今の何?何かの団体名?」
すると遥が口を開き、
「世界各地に広がる詐欺師団体の名前。私も団体に入ってる」
「は?え?呑み込めないんだけど…」
「あ、申し遅れた。僕の名前はリカルド、よろしく頼むよ」男が云った。
 俺はテンパって、
「詐欺師団体?何だよそれ…遥も入ってる?」
「落ち着いて…」
「落ち着いてられっかよ…」
遥は俺の横に座って、
「鉄次に来てもらった理由、云うね」
遥は間髪入れずに云った。
「詐欺師になって欲しいの。お金欲しいって云ってたでしょ?後は団体の本部が私に入団させろって云ったから」
「なんで?」
するとリカルドが答えた。
「一人でも詐欺師を増やしたんだとよ」
「クソ理由じゃねーか…」
「仕方ないの…」遥が云った。
「派遣だから…」
「派遣?」
またリカルドが答えた。
「我々の団体には派遣部と云う物がある。派遣部は世界各地を転々として、詐欺をしていく部だ」
「すげー話だな」俺は云った。
「どうする?」遥が聞いてきた。
「派遣の仕事引き受けるかって?」
俺は深く黙り込んで、
「金が欲しい。受けてやる」
「…詐欺出来るかな…?」
「騙せばいいんだろう?」
リカルドが答えた。
「その通りだよ、鉄次君」
「名前知ってたのか?」
「その通り、君の情報は既に脳にインプットしてある」
俺は頷き、遥に聞いた。
「派遣って、まずは何処に行くんだ?」
「パリだよ」
彼女は簡単に答えた。
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