サプレッサー

霜月麗華

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新都市編

第弐話 詐欺開始

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 いつの間にか、かなりの時間が過ぎた。ボーッとしながら遥達の後ろをついて行きながら、新しい土地の空気を吸った。やはり、何処に行っても空気は美味しい。
「パリでの詐欺、久しぶりだなー」
遥が日本語で云った。
「二回目なのか?」
「そう、二回目。一回目の時は三百万騙し取ったよ」
「へぇー」
俺は空港のターミナルに停められていたバンに乗り込んだ。俺は運転席の後ろ、遥は俺の隣、リカルドは助手席に座った。運転席には、女性が座って居た。
「行こう」
リカルドが女性に云った。女性はバンを発進させた。
「新入り君は?」
女性が云った。
「君の後ろに座ってるよ」
「え?」
女性はバンを停めて、後ろに座っている俺を見た。
「可愛いじゃないか?」
「はぇ?」
俺は首を傾げた。
「よろしく新入り君、名前は?」
「松原鉄次、アンタは?」
「私はチェリー、よろしくね?鉄次君」
「君付けやめて下さい」
「済まないね」
チェリーは再度バンを発進させた。
「ねぇチェリー、アレは?」
「あっ、リカルド。其処開けて」
リカルドは頷き、助手席の棚を開けた。そして、中からイヤホン型通信機を取り出し、俺に渡した。
「此れは?」
「イヤホンだと思え」
俺は通信機を耳に付けた。
「通信機か?」
リカルドは頷いた。
「鉄次、スマホ貸して」
遥が云った。俺は仕方なく、遥に渡した。すると遥はスマホに変なアプリをダウンロードした。
「何してんの?」
「ターゲットの情報が、いち早くわかるようになるアプリ入れてるだけ」
「えーー」
そして、スマホが返ってきた。ホーム画面には、『詐欺』と云う名のアプリがあった。俺はアプリを開いた。其処には誰かの名前と色々な情報が出ていた。
「今回のターゲット、『ルーリー』だよ」
チェリーが説明しだした。
「其奴は鉄道会社の社長で、色々なちっせぇ会社を買収して、買収した会社の社員をこき使いまくる、阿保だよ。そして社員の扱いはクソ」
「ふーん」
遥がスマホを見て、云った。チェリーは続けた。
「ルーリーの別名、『鉄道のヒトラー』、会社内ではそう云われてる。因みに此奴は金を巻き上げる、とかほざいてるらしいよ。此奴の資産は、約五億、とからしい」
「五億…全ての金を騙し取る事は出来るのか?!」
俺は聞いた。
「作戦次第だね」
リカルドが答えた。
「作戦は?!」
「何云ってるんだい。今から練るんだろう?」
俺はアプリを閉じ、ポケットにスマホを入れた。
「落ち着いて」
遥が云った。
「落ち着いてられっかよ…五億だぞ?五億!」
「鉄次!」
遥は俺の左手を、両手で触った。
「落ち着いて…」
「遥…」
俺は冷静になって、
「ごめん」
「…」
遥は俺の左手から両手を離した。さっきの遥は、何故か可愛い、そう感じた。俺は窓を開けて、エッフェル塔を見た。
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