蜜を吸われて嬉しくなるツンデレな精霊の話

白木 白亜

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前編 少年と精霊

8,別に普通です

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「いっいやっ見ないで!!」

 急いで石台の上に足を乗せアーロルに背を向けるライア。

「いや、別に何も変なことではないと思いますけど?」

「え……?」

「したくなったときに自分でするのは普通のことですよ。」

「あ、そ、そうなの?」

「ええ。むしろ我慢する方が健康に悪いですよ。」

「ふ、ふ~ん。」

「でも、不思議ですね、ライアは気持ちよくもないのに一人であんなことしてたんですか?」

「誰のためだと思ってんのよ! あたしはアンタのためにわざわざ先に蜜を採ってあげたのよ!」

「ええ? そうなんですかぁ。いや~嬉しいな~~! そんなに蜜を一人で出せるなら、もう僕がライアさんに触れなくてもこれから一人で出していただければそれだけで住みそうですね。」

「あっいやっそれは……」

 どうしてもアーロルにしてほしいと言い出せないライア。

 アーロルも当然その状況を分かってからかっているのだが。

「ひとまず、そのコップ、頂けますか?」

「はい、どうぞ!! 感謝しなさいよ?」

「ありがとうございます、ありがとうございます」

「なんか棒読みね。気持ちが伝わってこないわ。もっと気持ちを込めてちゃんと言いなさいよ!」

「ライアはいつも本当に可愛いよ。ああ、この顔を見られるだけで僕は幸せ者だなぁ~。出会えて本当によかった。」

「気持ちを込めろってそういうことじゃないのよ!!」

 再び顔を真っ赤に染めるライア。そのまま両手で顔を覆ってしまった。

 その隙にコップの中の蜜を舐めるアーロル。

「うーん、これも素敵なんですけど、やっぱりとれたて……というか、出ているところを直接舐めたほうがいい味しますねー。」

「ぅっ………」

 自分の出す蜜の味を解説されてただただ恥ずかしいライア。

「さて、そろそろ夜になりますし、雨、降らせますね。」

「あ、ありがとう。助かるわ。」

 3泊するが、日中に太陽が出ていないのも気分が落ち込むためアーロルは毎晩雨を降らせることにしたのだ。

長い呪文を唱えてしばらくすると、ぽつぽつと雨が降り出す。

そのうちサーサーという音に変わってきた。

「ん~、やっぱりいい雨―。」

「あれ? ライア前回『思ったより弱いわよ!?』とか言っていませんでしたっけ? これ前回と同じ強さのなんですけど……」

「あっいやっそれはその……最近雨降ってなかったから嬉しいだけよ! こんなんじゃ全然足りていないんだから!」

 思わず手放しに喜んでしまって後悔するライア。

 それでもしとしとと降る雨に喜ばずにはいられない。

「ねえ、アーロル、明日は何をするの?」

「何されたいですか?」

「蜜を……って、なんでアタシが何かされなくちゃいけないのよ! アタシは明日森の手入れをしようとしてたの!」

「ははは、そうですか。ではそれ俺も手伝いましょうか?」

「そうしてくれると助かるわ。」

「じゃあ、それで決まりですね。」


 その後二人は少し話した後、寝ることにした。

「ちょっと、今夜は蜜採るの禁止よ。明日のために体力とっておかなきゃいけないんだから。」

「分かりました。では最後に……口の蜜も少し頂いていいですか?」

 そういってアーロルはゆっくり口をライアに近づけた。
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