蜜を吸われて嬉しくなるツンデレな精霊の話

白木 白亜

文字の大きさ
32 / 36
後編 青年と大精霊

32,ライアはさみしい

しおりを挟む
「ほら、口開けて? あーん」

「別に一人でも食べられるわよ!」

 アーロルが人間のお菓子をライアに持ってきた。

 アーロルは自分の食料はライアの森からもらうか、偶に町から買っている。

 ライアは別に何も食べなくても余裕で生きていけるが、少し人間界のお菓子に興味を持ったのだ。

 今アーロルが彼女の口の中に落とそうとしているのは金平糖だ。

「あれ? これ美味しいかも?」

「お、そうか、そうかそうか」

「ちょっと、だからって大量に買ってこなくてもいいのよ? こないだだって飴美味しいって言ったらあの後大量に……」

「アハハハハ、いやあ、ついライアが食べているところ見るのが楽しくて……」

「私の食べているところばかり見ていないでアンタも食べなさいよ!」

 そういいながらライアも金平糖をつまみ上げ、アーロルの口の中に放り込む。


 彼らはまだ朝起きたばかりだ。


 最近アーロルは彼女にいろんなお菓子を食べさせるのにハマっている。

 要は彼女の可愛いところが見られれば何でもいいわけだが。


「それじゃあ、悪いけど4日間ここを離れるからな。寂しくて泣くなよ?」

「泣かないわよそんなので。これでもアーロルが来る前までは一人で元気にやってたんだから。」

「そうだったそうだった。じゃあな。」

「ちゃんと帰って来なさいよ~。」

「ああ!」

 ギュッっとライアを抱きしめた後アーロルはその場を後にした。


 服を買ったりだとか、どうしても人間の街に言ってやらなければならないことはある。いつもはライアの森から一番近い町で買い物をしていたからぎりぎり日帰りで行けたが、今回は彼らが結ばれて初めて数日間彼がいなくなるのだ。

 アーロルが外に行っている間ライアはとても暇そうにしている。


 その日の夜。

「うっ……ぐすん。うぅっうぅっう~~~~」

 ライアは泣き出した。あっけなかった。


(アーロルがいない夜なんて来なければいいのに)

 かつて火の魔物に襲われて以来泣き虫になってしまったライア。

「アーロルのバカァァーーーーー!」

 しかし叫んでも彼が帰ってくるわけではない。

 ライアはしばらく前に買った人間の作ったふかふかの布団にくるまって寝ようとした。

 しかし、いつも存在するあたたかなぬくもりが今日はない。

「うっうっ……」

 必死に布団の中にあるアーロルのにおいを探した。

「アーロル……アーロル……」

 前日まで彼はずっとこの布団にいたから、それなりに匂いは残っていた。

 深呼吸するように、それを大きく吸い込む。

 それだけで落ち着くことが出来た。

 だが、しばらくして落ち着いたからと言って寝られるわけではなかった。

 いつも夜にされていることのせいで、ライアは劣情を催した。

「あっ…………アーロルがいないと、蜜垂れ流しじゃないの!!」

 そういいながら彼女は自分の丘と花弁を撫で始めた。 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

処理中です...