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獅子騎士の恋編(1)
17.
しおりを挟むクランはハラン館長を前にして立ち上がるとお願いをした。
「資料の準備は手伝わせてください。私が行くのを諦める代わりに…ヤイバさんにお願いがあります!」
ハラン館長は不思議そうに首をかしげた。
「ヤイバに頼むこととはなんですか?」
クランは顔を紅くし…もじもじと…恥ずかしそうに答えた。
「ラパス様に…私からだと…渡してほしい物があって…当日ヤイバさんにお願いしたいのです…が。」
ヤイバ・スーリアは退屈そうに答えた。
「そんなことでよければ預かりますよ。ああ、ラパス王子のお誕生日でしたっけ?直接渡したいんじゃないですか?いいんですかあ~?」
館長はヤイバを睨み、目でクランを煽らないよう訴え、クランは行きたい思いを抑え、虚勢を張るように言葉を発した。
「ええ…行きたいですでも…皆さんに迷惑をかけるのはわかっていますから…無理は言いません。」
耐える姿はいじらしく、ハラン館長は心配そうにクランに問いかけた。
「クラン様それはどんなもので?」
ハラン館長のといに、クランはハッとし冷静さを取り戻し…自信満々に即答した。
「ラパス様へのお守りです。きっと役に立ちます。」
クランは、ぱあっと満面の笑みを称え、ハラン館長は優しくほほ笑み返して答えた。
「わかりました。許可いたします。女王にも一応報告しておきます。ヤイバ、当日忘れずにお預かりして必ずラパス王子に渡すよう。」
「はーい。わっかりました!」
ヤイバの軽い返事にハラン館長は睨み、無言の圧力をかけ…(絶対守れよ!)と目で訴え、ヤイバは苦笑いしてやや変な汗をかき…コクコクと頷いた。その日の会議は終わり、資料を届ける日を迎えた。
クランは当日の朝、資料となる本を馬車に積むのを手伝い…ヤイバに小さな袋を手渡した。それは青色の袋でピンクのリボンがかけてあり、クランの名が刺繍してあった。
「プレゼントっぽいですね、ふふ~ん。」
ヤイバは苦笑いし受けとり、クランは身をのりだし背伸びしヤイバに指摘した。
「ちゃんとお渡しくださいね!ヤイバさん!」
「はいはい。かしこまりました、お姫さま。」
ヤイバは悪戯っぽくクランの髪の束を顔に寄せチュッとキスをし、プレゼントをポケットにしまった。
「よろしくお願いいたします。」
クランは髪へのキスを気にすることなく、スッと後ろに下がり深々と礼をした。
ヤイバは馬車に乗り込み、御者は馬車を走らせだし、迎えに来た数名の騎士団員が誘導するように馬を並走させ出発したのだった。
―――――――――――――――――
《挨拶》
お気に入りありがとうございます。HOTの方も現在ランクインしており、おおくのかたがみてくださっているのだと驚いています。物語はまだまだ続きますのでよろしくお願いいたします。
yu-kie
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