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獅子騎士の恋編(1)
16.
しおりを挟むあれから数日後…城を出入りするクランは、城の図書館に本を借りにくる人たちの中に紛れて来る、ラパスと会話することも増えてきた。少しずつ、距離を縮める二人は誰がみても相思相愛。
「今日から遠征があるから…数日ここにこれない…もどったら、また来るからね。」
「はい。ラパス様。」
ラパスはクランの笑顔をみ…クランの髪を撫で…名残惜しそうに図書館を後にした。
ラパスは間もなく誕生日を迎えるが、長期の遠征が入り…クランは誕生日にラパスがもどって来ないかもしれないと…少し心配になってきていた。
「どうしましょう。」
クランはこの遠征が大変だと聞かされていた。ディスナ帝国という戦闘が盛んな国が一部侵入していると言う。なにもできない自分に苛立つクランはいい案はないか考えを巡らせながら本の整理に没頭した。
そんなある日、図書館の管理者たちに依頼が来た。現在遠征中の騎士団の司令部の拠点になる…山を隔てた場所にある領地の屋敷に関連資料となる図書館内にある本を届けるようにとの依頼だった。
ハラン・ガナン館長と、本日の打合せで聞いた話に、クランは胸踊らせ…
「そこで、届けに上がる際、誰かが同伴し資料の説明をしてもらいたいが…」
そわそわするクランを横目で見るヤイバ・スーリアはてをあげた。
「行きたそうなかたがこちらに…」
ヤイバは隣に座っていたクランを指差し、ハラン館長がヤイバを激怒した。
「ヤイバ!王女を指差すでない!無礼だろう!…それに王女が行くのは拐われる心配がある…ワシの首も飛びかねん。」
クランはしゅんとし、ハラン館長はため息をつき…
「クラン様、ヤイバ…よい案があるならナクシス国の女王が納得できる案を考えたまえ。」
「「はい!」」
こうして、クランが行くための妙案がないか考えはじめた。しばらく沈黙が続き…クランが「はい!」と手を挙げたのだった。
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