獅子騎士と小さな許嫁

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獅子騎士の恋編(2)

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《ヤイバ・スーリアが本を届け、戻ってきた次の日》

 城の図書館。戻って来たのが夜だったたヤイバは眠そうになんどもあくびをしながら本の貸し出しをカウンターで受け付けていた。

 クランは今日も黙々と破れた本を修理したり、棚の整理をしたりしている。

 ラパスと婚約してからは、行動は限られ、唯一の楽しみが、ナクシス国への行き帰りの移動。図書館での本の探検とラパスとの友好関係であった。今回、ラパスと会えない日が続き、クランはラパスのピンチに魔法を発動するブレスレットを作成した。ラパスの身を心配しているクランの精一杯の作戦がそこに込められていた。

 代わりにプレゼントを渡したヤイバから聞かされたそのときの様子…ラパスが嬉しそうだったと耳にして…クランは安心して仕事に励んだのだった。

 その日の夕方、クランは1日の仕事を終え、外に迎える黒い鎧の騎士アルトと馬車に乗る前に会話をした。

「明日はお誕生日のようですが…今大変なようですね。ご心中お察しします。」

 アルトは落ち込んでいるだろうクランを慰めるためにかけた言葉だったがクランは微笑んで首を横に降った。

「ラパス様は大丈夫です。もしもの時は私のプレゼントが活躍しますから。うふふ。」

 アルトは一瞬理解できずに立ち止まり兜のなかで目をぱちぱちさせていた。

「ひ、姫様?プレゼントは手づくりのブレスレットですよね??」

「はい。」

 首を少し傾けクランは嬉しそうに笑っていた。

 アルトは兜に片方の手をあて…数秒考えた。

(な、なんだ?この自信に満ちた笑みは。ブレスレットに何か仕掛けでも…ん~私の知ってる姫様は何ができる…ん~思い出せ、思い出せ!)

「あ!モフモフ?」

 アルトは気の抜けた声で叫び、察したクランは《ナイショ》と言わんばかりに片方の人差し指を唇にあてアルトを見上げた。

「姫様あ~」

 アルトは思わずクランを抱き締め… 

「アルトさん、帰りましょ。」

 我に返ったアルトはすぐにクランを開放すると、クランは馬車に乗り込み…御者は馬を走らせ、アルトも愛馬にまたがり馬車を追うように走り出した。

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