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獅子騎士の小さな花嫁へ編(2)
28.
しおりを挟むそこは甘い臭いを漂わせるお菓子の工場。
馬を外で出迎えた職員に預け…アルトは外で馬と待機し、ラパスとクランはもう1人の職員の案内で中へとはいった。
工場は壁沿いに2階への通路はあるが2階の通路以外は吹き抜けになっていて天井はなくその遥か先にある屋根には煙突の口を思わせる穴がいくつも見え…
クランとラパスは2階の通路から一階の作業行程を見学した。
長いテーブルで生地をこねる作業員。それを鉄板にのせて釜へと運ぶ作業員。釜の火加減を見る作業員。近くにある焼き菓子に使うだろう巨大な円形の入れ物の中にはクリームらしきものが入っていた。
「ふあ~すごいです!あのクリームにも興味があります!」
クランは焼き菓子の作る過程を目を輝かせてみていた。それを暖かい眼差してラパスは見守り二人は一階の完成品の並ぶ部屋に通され…目にした完成品の数々。ジャムやクリームがサンドされた焼き菓子達。色合いと香りがクランの心を鷲掴みにした。
客間に案内され席につくと、お茶とお菓子が出され…クランは工場長からもらった菓子をパクパクと食べた。
「はわあ~私の食べたことがない味です!甘さと辛さが~絶妙です!んくぅ~。隠し味は何を使ってるのですか?」
「王女様でもお教えできない企業秘密です。」
「そうですか~次のお茶会にはこちらのお菓子を候補にさせていただきます。」
「ありがとうございます。その際は最高のお菓子を提供いたします!」
「うふふ。ありがとう。」
「クラン…そろそろ行こう。工場長忙しいところ悪かったな。感謝する。」
ラパスの殺気にも思える視線に慌てた工場長は直立し深々とお辞儀をした。
「本日はお越しくださりありがとうございました!」
「ん。」
ラパスはいたって冷静。獅子騎士と呼ばれる…由縁である厳つい風貌でたたずみ、小さなクランはラパスにてを引かれて工場をあとにした。
外で待っていたアルトが入り口で出迎えるとクランは上機嫌にアルトの前にかけよった。
「アルトさん!工場ってすごいですね!感動しました。あ、口開けてください。」
「楽しかったのですね、良かったです…え、口をですか?こうですか?」
アルトは前屈みになり、クランの手の届く位置になると、クランはお菓子の入った袋に手を入れ…焼き菓子を一つ取り出しアルトの口に挟ませた。
「はふ?もぐもぐ。ごっくん。んなぁ!うまい!」
「そうでしょ~ふふふ。」
ラパスはその光景に…密かに嫉妬の炎を燃やしていた。
(アルトめ…同姓だからとクランに近づきすぎだ!少しは遠慮しろ!)
クランはふと背後で固まるラパスの様子に気づき…
「ラパス様、先程はお菓子を食べてませんでしたね…はい。」
クランはお菓子の入った袋をラパスに差しだし紙の口を開けてお菓子を取り出しやすいようにラパスに差し出した。
(私は口に運んでもらえないのか…)
袋にてを伸ばさず…残念そうにするラパスにクランは待ちきれなかったのか袋から焼き菓子を取り出した。
「ラパス様…はい。」
手にもつ焼き菓子をラパスの口に届くように背伸びし、差しだし…クランに届くように前屈みになったラパスは嬉しさから…思わずクランの指ごと焼き菓子を口に含んだ。
「ひゃっ。」
「パクっ!」
クランの指がとっさに口から抜かれ…
「ムシャムシャ、ゴクン。」
ラパスは菓子を噛み砕き呑みこみ…顔を紅くしたクランに謝罪した。
「すまない、嬉しくて飛び付いてしまった。」
「そうなんですね…ふふふ。私ごと食べられちゃうとおもいました。」
ラパスがクランを馬にのせて後ろに乗った状態で…
クランの言葉と…間近に座るクランの体温を感じ…思わず…理性を飛ばしそうになり、堪たのだった。
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