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獅子騎士の小さな花嫁へ編(1)
27.
しおりを挟むアルトとラパスは、しばらく馬を並走させているのだが、時折睨み合いになるため小さなクランは楽しくなくなり…ラパスの前に座るクランは馬から飛び降りた。
「クラン!」
「姫様!」
クランは馬から飛び降りた瞬間白いふわふわに覆われて…次の瞬間、ふわふわなジュータンが浮遊し、クランが二人より頭一つ高い位置にジュータンに乗り浮遊していた。
「二人が昔から敵対しているのは知っていますが…過去のことです。二人とも私の大切な人なんですから、大人になってください!」
アルトとラパスはポカンと見上げ…次の瞬間クランは二人の目線に合わせるように馬と同じ高さに浮遊し、アルトの右の手とラパスの左の手を握り二人が手の届く距離に引き寄せるように誘導させた。
「わかりましたら、和解の握手です。」
クランはパッと手を離しまた少し高い位置に浮遊すると、二人は渋々互いの馬の距離を縮め、馬の歩みを止め…顔をそらしたまま握手をした。
「…あ。もう限界です!」
ポスン!
クランの乗っていたふわふわのジュータンはパッと消え、ラパスの前、もといた場所に落下した。
クランは和解の握手に気を良くし…
「クラン…これでよいか?」
「はい。ラパス様大好きです!」
クランはラパスの腰に手を伸ばし、ラパスの頬にキスをして…ラパスは顔を紅くし、なにかを耐えるように空を見上げた。
(理性を保て、ラパスよ!)
「ラパス王子…急ぎませんか?姫の貴重な時間が…滞在時間が減ります……。」
「ああ、そうだな。」
アルトの馬は走りだし、後を追うようにラパスも馬を走らせた。
やがてアルトとラパスは馬を並走させて、一つ目の目的地である工場前へとやって来たのだった。
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