42 / 58
番外編
その後③
しおりを挟むクランとラパスが結婚し3年の月日が過ぎ…ラパス邸では賑やかな毎日が過ぎていました。
図書館の副館長のクランは今では城に6日おきに来ている。何故なら2歳の3つ子の面倒を見ているためだ。
そのため、護衛のアルトもラパス邸にいる機会も多くなり…アルト目当てで最近珍しい人物の訪問が増えていた。
ラパスが嫌う…赤髪の青年、ヤイバ・スーリア29歳。彼はアルトを計10回口説いている。
今日はラパスが頼んでいた資料を届けに来たヤイバが執事に本を届け終え、辺りをキョロキョロしていた。
「執事さんアルトさんは今どこにいます?」
「はぁ~まだ言いますか、そろそろ諦めたらどうですか?」
「いやいや、あとひと押しなんですよ。」
そこへ屋敷内からクランが子供たちと現れた。
白銀の髪の女の子のナルとルルは走り回るため侍女姿のアルトが両脇に抱えて歩いており、前を歩くクランと手を繋いで歩くのは乳白色の髪のニコニコしている男の子ララ。
「あら、ヤイバさん、本を届けに来てくださったんですね。ありがとうございます。」
クランがお辞儀をすればてを繋いでいるララも真似をしてお辞儀をした。
「あ、ちっこいクラン…。」
ヤイバが思わず呼び捨てにすると、アルトがずかずかとヤイバに向かい、真ん前で立ち止まると、仁王立ちしてナルとルルを抱えたまま睨むように見下ろした。
「きさま!クラン様をどこまでからかうつもりだ!」
「「やっや。やっや」」
アルトの脇からするりと逃げ出したナルとルルはヤイバにへばりつきアルトは頭を抱えた。
「遊ぼう。あそぼっ。」
ヤイバは悪戯な子供がそのまま成長したような男である。素直なクランを何度、からかって来たことか…アルトはヤイバが嫌いなはずだった。
しかし今…目の前でナルとルルに遊びをせがまれニコニコしているヤイバがいて…
ナルとルルを抱き締めるその姿に胸がキュンっと、締め付けられた。
「アルトさん…ヤイバさんと一度二人でお話しされたらどうですか?」
「クラン様まで何を、」
クランはしゃがみこみ…三つ子に飛びつかれギュッと抱き締め…アルトにもう一度言った。
「ヤイバさんは…意地悪しますけど…約束は必ず守ってくれました。裏切るような方じゃありません。だから…アルトさん…」
アルトは深いため息を吐き…次の瞬間クランに向かいお辞儀をした。
「今日はまだ休憩をとっていないので…今から休憩をとらせてください。」
「ええ。勿論。」
クランは屋敷の外へと向かうアルトとクランの背中を見送った。
調度馬が屋敷の前で足踏みをし止まり、その背から騎士が降りたった。
「おかえりなさいませ。」
「ちちー」「ちーち」「ちち~」
三つ子はその騎士…ラパスの足元にしがみつき、ラパスはひょいとララを抱き抱え肩にのせ…ララはギュッと首に抱きついた。
ナルとルルは腕に抱き抱えられた。
「クラン…今意外な組み合わせの二人が外に出ていかなかったか?」
「うふふ。アルトさんヤイバさんとうまくいくかしら…ラパス様、何となくですが…お二人が惹かれあっている気がするんです。」
「は…あ。」
「そのときは二人がうまくいくよう協力してあげませんか?」
クランはラパスにギュッと抱きつき…瞳を輝かせて見上げれば…ラパスの胸は高鳴り…子供たちをしたに降ろすと、クランを抱き上げ顔を赤くし二人の寝室へと足を向けドスドスとあるきだした。
…後から続く三つ子を目にした執事が侍女を呼び、お風呂へと向かわせた。
「旦那様は疲れ知らずですな?ふぉふぉふぉ。」
子供たちが入浴中であれば、ラパスとクランのいちゃいちゃな時間が作れると考えた執事の配慮であった。
外ではアルトがヤイバのプロポーズに顔を赤くし照れながら小さく頷き…
屋敷の行為の後の?寝室では…
毛布から顔を出したクランが顔を赤くしてラパスを見つめ、ラパスは上半身裸でベッドの端に座るとクランの頭を撫でていた。
そして御風呂上がりの三つ子が部屋に飛び込んできて…
「「ちーち!はーはー」」
執事が苦笑いで扉から顔を覗かせた。
「すみません。お止めしたのですが、旦那様と奥様に髪を乾かしてほしいと聞かないもので…」
「ラパス様、夕食まだですよね?私は子供たちと済んでいるので私が乾かします。ラパス様は…」
クランは毛布の中で器用にワンピースを身に付けて毛布から飛び出すと、執事がタオルをラパスに預けた。
「旦那様のお食事はこちらにお持ちしますので、ご安心ください。」
執事は部屋をあとにし、ラパスとクランは子供たちの髪を乾かし…賑やかな時間が過ぎていった。
「はーはーもふもふ。」
「「もふもふ~」」
ララの第一声に始りルルやナルがそれに続く。
ラパスが部屋のテーブルで食事をする間クランは3人でベッドに座り…クランの手からモフモフの小さな兎がポコポコ現れ子供たちの頭の上を飛び回る。
「「キャッキャッ!」」
子供たちがはしゃぐ平和な時間。
ラパスの邸は…いつかこの3人が引き継ぐ事になる。
二人に似た子供たちはどんな大人になってゆくのか…
きっと楽しいに違いない。
クランはラパスの隣に椅子をおき腰掛け…ベッドで…モフモフ兎で戯れる子供たちを見つめながら寄り添う二人はそう思いながら仲良く手を繋ぎ…みつめあうのでした。
《おしまい》
0
あなたにおすすめの小説
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
ガネット・フォルンは愛されたい
アズやっこ
恋愛
私はガネット・フォルンと申します。
子供も産めない役立たずの私は愛しておりました元旦那様の嫁を他の方へお譲りし、友との約束の為、辺境へ侍女としてやって参りました。
元旦那様と離縁し、傷物になった私が一人で生きていく為には侍女になるしかありませんでした。
それでも時々思うのです。私も愛されたかったと。私だけを愛してくれる男性が現れる事を夢に見るのです。
私も誰かに一途に愛されたかった。
❈ 旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。の作品のガネットの話です。
❈ ガネットにも幸せを…と、作者の自己満足作品です。
私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる