狂暴騎士と小さな許嫁

yu-kie

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 王都より駆けつけた騎士がいた。

 白い旗の中心に深い緑の柊木の葉と白い花が描かれた…テイマス国旗を掲げた騎士服の一団。

 しかしその中心にいる騎士の足元には負傷し動けない人間達が積み上げられていた。

 彼らはキラ国の王女を乗せた馬車の襲撃者たちと思われ…その無惨な姿に王女付きの侍女は思わず悲鳴を漏らしかけ、両手で口を覆い、叫びたい衝動を抑えていたのだった。

「アンナ…馬車をおります。テイマス国の騎士の皆さんにお礼を言わないと…」
「い今行かないほうが…」
「まあ、アンナは怖がり屋さんね。」

 王女は馬車の扉を開け放てば、慌てるように駆けつけた、キラ国の護衛の一人が手を差し出した。

 王女はその手を取り馬車を降りると、足元に白い魔法陣が現れた。

「ヴォン!」

 鈍く響く音と同時に王女の足元の魔法陣から吹き出した無数の白い鳥の羽根は、やがて地上に道をつくった。白いフカフカの絨毯を思わせるその上を、王女は歩き、テイマスの騎士たちの前に立ち止まり、ドレスの裾を持ち、お辞儀をした。

「私はキラ国より参りました、第1王女ミア・ナ・キラと申します。お出迎えいただきありがとうございます。」
「いや…あなたの為ではない。法を犯すものを退治したまで。俺の名はカイト・シア・テイマス、この国の第2王子だ。」

 返り血を浴びたカイトは汚れた剣を振り、鞘に納めると、剣を振った際に血の数滴か王女のドレスにつき、駆けつけた侍女アンナはとうとう悲鳴をあげてしまい、カイトは嫌そうに眉をしかめた。

「キラ国に帰って頂いても良いのだが?」

 カイトは侍女を睨みその後ミアに冷たい眼差しを向ければ、王女ミアは気にすることなく笑顔を向けた。

「大丈夫です。」

 ミアの足元の羽根の絨毯が光を放つとミアのドレスは綺麗になり、その先にあるカイトの足元の赤く染まった土もなにもなかったかのように綺麗に。

 その近くにいたカイト自身の騎士服も洗いたてのように綺麗になっていたのだった。


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