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カイト…この方が縁談相手の方なんですね?親同士が決めた相手。確かまだ正式に婚約したわけではないのよね?でも、殿下とお呼びしたほうがよいかしら、カイト殿下のお耳に私との縁談のお話は届いてはいるようですね?国王陛下のお話では
『カイト殿下は婚約に乗り気じゃないから、正式な婚約の儀式は…すぐには決まらないだろう。だから今は、攫われやすいミア王女を保護してくれる最強の護衛だと思いなさい。』
成人したばかりの私には3つ年上の屈強で凛々しい彼はもったいないですが、嫌われないようには振る舞いますね、父上様。
††††††††††††††††††††
カイトは狙われたミアを不審に思ったよう。不機嫌そうにミアに話しかければ、ミアは笑顔でそれに答えた。
「ミア王女、聞きたいことがある。」
「はい。」
「あなたは何故追われる?」
「…申し訳ございません。私には理由が聞かされていないのでわかりませんが、今日追手に捕まっていれば…5回目になっていたかもしれませんね。」
ミアはこまったように首をかしげると、後ろに控える侍女は両手で顔を覆い泣きだしていた。
「5回目?」
「はい、」
「今見た限り、あなたは特殊な魔法を使っているように見える…攻撃魔法も容易いのではないか?」
「残念ですがこれは…わが国を守る聖獣様から授かった能力なのです。」
「浄化か?」
「そうですね、あと…私の意思で相手を回復させられるので…便利なのかもしれません。ふふふ。」
「ミア王女、それは黙っていたほうがいい。それが狙われる理由の一つだろう。だから、遠征から帰って来たばかりなのに妙に体が軽くなったわけか。」
カイトは呆れたように頭を抱えた。
「ここから先は我々も同行する。」
「わかりました。」
ミアはそう言うと護衛に手を引かれ馬車に戻り、先導するカイト達と共にミアを乗せた馬車は王都へと走り出した。
「後で陛下には色々と聞く必要があるな。」
馬を走らせるカイトは小さくそう呟いた。
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