狂暴騎士と小さな許嫁

yu-kie

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 メリー婦人とのお勉強が終りました。時間はお昼です。今朝、客殿に新しい侍女が入って…客殿内の管理をする執事から紹介されたの。

 私の専属はアンナ。それは変わらない。いつもなら…この時間誰も来ないはずなのに、今日は新しい侍女がきてますよ?

「ミア王女…お手紙をお預かりしています。」

「まあ、アンナに渡してくれたら良いのよ?」

「はい…アンナさんは厨房でお持ちする料理の最終チェックに行かれてましたので急ぎお手紙をお持ちしました。」

「そう…ありがとう。次からはアンナに渡してくださいね?」

「はい!それでは失礼しいたします」

 新しい侍女は私の言いたいことを理解してくれたのでしょうか?少し心配です。彼女は去ったようですし…ふむ、お手紙は押印があります。

「カイト様から?」

 私は手紙の封を開けました。

 外出は控えるよう言われているのですが…カイト様から大切なお話があると…

「ふたりきりで出かけませんかって、私に見せたい素敵な場所があるって書いてあるけれど…どうしましょう。デート?ですよね?まあ。わあ、どうしましょう。えっ?いま外にいるの?」

 許嫁って特別なのですよね?他の方なら気をつけるようアンナに注意されてるのだけど…

 部屋のドアをノックする音がして…扉を開ければ、私の護衛騎士としてこの国に一緒に来てくれたギルム隊長がいました。

「ミア王女様が外出すると伺いましたので…」

「…ええ。」

 私は何か違和感を覚えながら、急かされるように部屋を出ました。

「どうされました?」

 客殿外に出て、違和感の意味に気が付きました。

「どうされましたか王女様。」
「あなた、自分の名前を言いなさい。」
「どうされたのですか?さあ、急ぎましょ?」
「あなたは私の護衛騎士に化けたつもりですか?」
「何をっ、」
「残念です。変身の魔法は上手ですが…彼は私を王女様とは呼ばないのそれに…」

「「姫様あー!!」」

 客殿から本物ギルム隊長とアンナが。やっぱり目の前の彼は偽物ですね。

「悪いがあんたは連れてゆく」

 目の前の偽物ギルム隊長は魔法を解いたよう。全身黒い服姿の全然違う人に…あっ、浄化防止を施してるみたいです。いつもの魔法が発動できない…湧いて出てきた黒い人に囲まれた私は転移魔法で拐われました。

 結局5回目の誘拐が成立してしまいました。残念です。

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