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森に増えた愉快な家族の話
21 二人は今も仲良し。
しおりを挟む二人の魔女が守る森は今日も懲りもせずに遺跡を盗みに盗賊が入る。
森の泉には古代神殿の跡がある。
残された神殿の柱、大理石の床、その一部は泉の水が通された噴水があり、今も枯れること無く、水を吹き出し、噴水の水中には地下の入り口があるとされ、その地下には当時寄付された金銀財宝が眠る。
もうひとつは森の奥にある昔噴火により盛り上がった岩肌に人工的に造られた洞窟があり、地下に続く階段を降りると、地下水のわき出る泉があり、その水に沈む古代竜が眠る。ミイラ化した竜の銀色の鱗は今も輝き、現在は当時より高値で売れる。
その他にも無数に遺跡はあり、価値あるこの森はいつからか古代の者達が放った狼が繁殖し、森へ侵入する人間を襲うようになっていた。
狼達が増えても、狼を上手くかわして遺跡を荒らすものはあとをたたず、森を管理できる高い魔力をもつ、国に使えている魔女グリアに白羽の矢がたった。
それが魔女の森の始まり。
今では魔女が二人、魔導士が加わり、家族が増え、魔女の森の奥はにぎわっている。
魔導士ジンと魔女のグリアは基礎的な魔法を覚えた二人の子供達に魔法学校の試験を受けさせることにし、合格した8歳の娘は、王都の学校に通うことになり、次のとしには息子も通うことになった。
子供達は集団生活になれるために寮暮らしとなり、グリアの家は静かになった。
ジンは少し皺が増えたが、魔導士らしくないがっしりした体型で太ること無く体型をキープさせ、グリアは時間が止まったようで若く美しい。
ルイは真面目で優しい魔女だと評判になり新たに発足した討伐隊の遠征に駆り出されることも増え、グリアとジンの二人きりの夜が増え、食事を終えた二人は家の外に作ったベンチで夜空を見ながらお酒を呑むのが日課になっていた。
「ジンはお腹に余分な肉はないんだな。」
「まあ、毎日うちの奥さんと森を走り回ってるからね。」
「でも皺が増えてる。」
グリアはジンと二人ならんで座るベンチで向き合うと、ジンの目尻の皺にてを伸ばし細く長い指で皺をなぞった。
「グリアは変わらず若くて綺麗だね。」
「そうだろ?」
ほろ酔いのグリアは伸ばした手で、そのままジンの顔を包み込むと彼のかおに自分の顔を寄せキスをした。
「容赦ないなうちの奥さんは。」
「ふふふ。今なら子供達に邪魔されないぞ?ルイだって不在だ。」
「そうだね、部屋に行こうか。」
「ああ。」
二人は立ち上がると、グリアはジンの腕に自分の両腕を絡ませ身を寄せ、ジンはすり寄るグリアの頭部にキスをして二人は家の中へと入って行った。
寝室のランプの灯りは二人の影が重なるのを写し出した。
魔導士ジンは、体力が続く限り、愛しい妻の誘いに乗るのだが、いつまでも若い妻をよそに、ジンは腰を痛めることも増えたとか、無いとか?
勿論週末には帰って来る子供達に愛情を注いでいる。
森の奥の魔女の家は夫婦に引き寄せられ愉快な仲間達が増え続けることになるのだが、それはまた別のお話し。
【元悪徳魔導士は白猫魔女の愛妻を持つ】完結。
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ここまでお読みくださりありがとうございました。恋愛小説大賞エントリー中です。
◆yu-kie◆
応援ありがとうございます!
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