青色ドラゴン娘は夢を見る

yu-kie

文字の大きさ
上 下
63 / 71
2章《旅・立》

(13)友への感謝。

しおりを挟む
僕らは四つ国の森の中にて魔石コレクターの捜索中。

しかし、これまでの経緯から僕が一番狙われることがわかり、緊急時に備えて待機組。

荷馬車の屋根に飛び乗り僕は周辺を見下ろし警戒をしていた。

僕は空を見上げると、上空を旋回する白い鷹が舞い降りた。

『ジャズ!』

《ヤッホー!アイちゃん。見ないうちに大人になったね。》

『そうだね。』

《そーそー、アイちゃん、前世の記憶の方はどう?》

『あー、今はまったく思い出したりもしないし、記憶が薄れつつあるかな?』

《やっぱりか、上司からの知らせがあったんだ。アイちゃんの記憶が薄れてること。
記憶をなくすと、私が見えなくなるの。》

『なんで?』

《体に記憶されてることは消えないの。だけど脳内の記憶は本来ないはずのもの…だから、本当の意味で生まれかわったと言えるんだって。そうすると、自然に私はアイちゃんから去らなきゃいけないんだ。》

『せっかく仲良くなれたのに。』

僕は白い鷹、シャズを抱き締め二人で泣いた。



《お仕事中にゴメンね。またくるね。》

そう言ってシャズは空を旋回して遠くへと消えた。

たぶんもう…会えない気がした。

でも、自然なことなんだと、僕は理解した。

寂しかった頃いつもそばにいてくれた友達。

『シャズ、今までありがとう。』

僕は見えなくなった空へ向け呟いた。
しおりを挟む

処理中です...