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任務・隣国
シャロの任務・序 3
しおりを挟む私はキアヌさんに抱きしめられたまま、ラウルさんに聞き返していました。
「こ、婚約者ですか?」
ラウルさんはキアヌさんの様子に苦笑いしながらも話を続けられました。
「ああ、幼い頃に親同士が決めた婚約者で、シャロ様は家族とこちらに連れて来られ…今回ニサ・リールが救いに来た。そして、母国ジアーナに連れて帰ると言うものだ。王太子に仕える騎士ニサは王太子の許可を得てシャロ様を連れ戻し…無事に王太子に本来の任務である、シュア王太子殿下とバハート国王陛下からの書簡を受け取る。それで君の任務は完了だ。君の能力でバハート国に戻るのは不可能ではないかと思ってね。」
「勿論戻れますが…あの~キアヌさんが…とっても心配してくれているみたいです。」
「そうだね、キアヌ、任務の邪魔をするのは規律違反になるが…」
キアヌさんが…渋々私を開放してくれましたが、なっとく行かない表情でラウルさんをみつめてます。なんだか胸がキュンってしました。ですが、私だっていきなりの設定になっとくはできないので、新たな設定を提案してみることにいたしました。
「竜騎士団第2部隊長ラウル様、私は治療の魔女としてこちらに参りました。いきなり無茶な設定をされても私はよく知らない方を婚約者と呼べませんし、器用に演技はできません。同行はいたしますが、良い案があります。私をグリフォンの治療のために…治療の魔女として向かうと言うのはいかがでしょう?私はバハート国で契約しているので逃げませんしお仕事が終わればバハートに戻ります。」
「う~ん。国境を超えた訪問治療か…その案は大がかりではないな。最初の設定よりはるかにスムーズに隣国に行きやすいだろう…わかった。その線で陛下に報告しよう。準備が整い次第迎えをよこす。話は以上だ。キアヌ、戻るぞ!」
「良かった…シャロ様、ジアーナにゆく際は僕が必ず護衛として同行します!あの怪しいニサと二人きりには絶対にさせません!」
「ふふふ。キアヌさん、同行してくださるならちゃんと上司を説得して規律違反にならないようにお願いしますね。」
「はい!」
「行くぞ!」
先に治療院を出たラウルさんが…少し怒り口調でキアヌさんを呼んでいますが…彼は最後に挨拶でしょうか?私の手の甲にキスをして、慌ただしく去っていきました。
なんでしょう?
胸の奥がポカポカして…
なんだか嬉しく感じました。
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