狂戦士は可憐な花嫁を溺愛する

yu-kie

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 ルイは馬車のなかでアイスが戻るのを待つ事になったが、腕に抱き締めた忍者兎に目を向けていた。

「兎さんアイス王子と獣人兵3人では…人数少なくて大丈夫なのですか?あなたは行かないの?」
「おいらは、情報収集せんもんっしゅ。」
「瞬間移動したり隠れたりするの?」
「そうでしゅ。」
「そう。なら…」
「待ちなさいルイ、馬車でじっとしていなさい。」

 なにかを察した王はルイの言葉を静止させた。

「お父様、私は守る術を持っています。未来の夫のサポートをさせてください!」
「ダメだ!」
「兎さん瞬間移動できるのよね?」
「あい!できましゅって、王女しゃま?」
「兎さんがそういってます。もしもの時は瞬間移動で逃げればよいでしょ?」
「ああ。そうだが、しかし!」
「兎さん、納得したみたいだからいきましょ?」
「王女しゃま?大丈夫っしゅか?」
「ええ。私は防御専門なんです!」
「う~!行きましゅよ!行っちゃいましゅよ!」

 こうして、兎はルイを連れて馬車から消えた。

「はぁ~、言い出したら聞かない姫だ。しかし…ユイフ国王、もしや、私がディスカ国に破れると知って、話をしたのか?今日のことも…彼には話していた。信じていたのに、裏切られるとは。」

 長く交友関係を深めてきた信頼しているユイフ国王の裏切りに、気づかなかった己を攻めた。馬車に1人残された王は、頭を抱えて深いため息をついたのだった。

   *  *  *  *  *  *  *  *  *

 アイスは茂みに隠れる地上の敵目指して急降下した。

「獣人!どうしているんだ!ここはバリージャだぞ!」
「あなた方は?ユイフの皆さんですよね?」
「ななぜそれを!」

 茂みから散らばるように潜んでいた兵達が姿を見せ、アイスは空で回転して地上へと着地した。

 後から続いて獣人達が駆けつけ、隠れていた兵士10名と対する獣人は4名。

 駆けつけた獣人は2本足で立てば人間の倍の大きさ、獣人達は前足の腕に装備した腕輪に仕込んであり、ブンッ!と腕を振れば腕輪に収まっていた剣が顔を出した。

 (ドワーフの優れた鍛治の技術により作られた腕輪は剣が抜け落ちないよう刃の柄の辺りに穴を開け腕輪に固定され、剣をしまうときは、柄が固定されたボタン式となっている突起を押すことで剣が腕輪に収まる仕組みである。)

 ユイフの兵士は剣を抜き獣人達に向かい駆け出し、数名は馬車へと向かった。

      *

ドシャッ。

「姫しゃま大丈夫っしゅか?」

 ルイ達が瞬間移動した先は木の上だった。

「姫しゃま、みえましゅ?」
「ええ。どうして木の上なの?」
「危ないからに決まってましゅ。」

 ルイの見下ろす先には、狼?獅子?獰猛な獣に見えるアイスが剣のように伸びた爪を凶器に、敵の一撃を爪でかわし、腕を振れば、敵は吹き飛ばされた。

「はわわぁ~すごいもの見てしまいました。あれが狂戦士!」

ルイは目を輝かせ、目の前で地上を見下ろす忍者兎を抱き締めた。

「だっこはいいでしゅ!おいらも任務中っしゅよ!敵の姿はおいらの分析眼にかかれば、考えが読めるっしゅよ!」

「そうなの?ごめんなさい。」

ルイは木の枝の上に忍者兎を下ろすと、忍者兎があわてふためく。

「敵は一ヶ所だけじゃないっしゅ!アイス王子狙ってるっしゅよ!ひゃー!ど、ど、ど!」

「兎さん私をアイス王子の側に連れて行って。」
「大丈夫っしゅか?」
「ええ。本領発揮するときが来たみたい。」
「し、知らないっしゅよ!行くっしゅ!」

そして、忍者兎とルイは突如アイスの足元に出現した。

 アイスの背後から複数の弓が飛ぶ音がし、突如現れたルイをアイスは慌てるように抱き上げピョンピョンと跳ねてかわしたが、矢の多さからにげきれないと思った瞬間、ルイが体から光を放った。

攻撃転換魔法ミラクルマジック発動!」

飛んでくる矢の全てが忍者兎位のサイズの軽い球体となって、アイスにポンポンと当たって落下し、地面に当たると球体はパンパンと弾けて消えた。

「何が起きた?」
「攻撃無効化しました。うふふ。今頃あちらの弓矢部隊は道具が球体になって、どんどん消えて行くから困ってますね。」

 アイスはルイを抱き上げたまま、目を丸くし呟いた。

「なんてことだ…」

アイスの視線の先には抱き上げられてクスクスと笑うルイがいる。

しかし、それを見るアイスの目は驚きで見開いていた。
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