狂戦士は可憐な花嫁を溺愛する

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 家族は書簡の内容に、皆戸惑い、部屋には客人であるアイス王子がルイとティータイム中。話は筒抜けで、王太子キトと第2王子バトは、見合せ、バトがため息を漏らしたあと、ルイたちと離れ会議していた席をたち、ルイ達に歩み寄ると、アイスにお辞儀をして意を決して声をかけた。

「アイス王子、すみませんが、ルイと、我が国の今後を左右する大事な話があります。失礼かとは思いますが、少しの間席をはずしていただけますか?」

 耳のいいアイスは書簡に関する話をルイにもちかけるのだと理解した上で、表情を変えずに席をたった。

「わかりました。その前に一言…」

 席をたてはバリージャ王家の一同よりも背の高い現在人間姿の美男子アイスは、礼儀正しく深々と一礼をした。

「私はルイ王女の選択にしたがいましょう。アイス・ディスカと我が国は、深い絆で繋がる仲であることを忘れないで頂きたい。」
「アイス王子?」

 顔を上げたアイスは表情を変えずに答えると、甘えた表情で駆け寄るルイの髪を優しくなでて微笑むと、颯爽と部屋をあとにし、アイスは宮殿の従者に庭を案内され庭の散策で時間を潰したのだった。

   *

「ルイ、大事な話なんだ、ここに来なさい。」

 国王は家族会議をする席へとルイを呼び、アイスの背中を見送ったルイはアイスの少し悲しげに笑って見えた表情を気にしながら、後ろ髪をひかれるように、王に手招きされて、席についた。

「何ですか?」
「ルイ、ユイフ国のガイル王太子覚えてるかい?」
「確か…私と歳が同じで、小さい頃はよくユイフ国王が連れてみえましたよね?」

 ルイは首をかしげながら過去の記憶を思い出そうとしていた。

「昔はよく遊んでいたじゃないか?」

 ルイの記憶にあるのは、飼っていた小鳥を肩にのせ庭に散歩に出ていた8歳の頃の記憶。

 思い出したくもないあの散歩で、庭を探険していたガイルと遭遇し、人になついた小鳥をルイから奪い…小鳥はガイルに握られ連れ去られ、1時間後に返されたとき、ぐったりとした小鳥を渡され…酷く悲しんだ記憶が鮮明によみがえった。

     *

 あのとき、部屋に戻り母様に、ガイルが小鳥を苛めた事を話したのよね。だけど、信じてもらえなかった。私が鳥を篭からだして、逃げたのをガイルが捕まえて返した事にされていたのよ。私が母様に話す前に、私のお父様と母様は、ガイルのお父様からそうきいて、それを信じていた。だから、私はユイフ国の王様もガイル王太子も…怖いと思った。嫌なことがあっても先回りして都合よく話が進んでいて…私はそれが何度かあったから、もう黙っていることにした。私は兎の王子様が好き。かっこよくて優しくて、それでいてとっても強い。ガイルには抱かなかった、一緒にいて楽しい気持ち。大事にしたい。でも…皆は獣人より人間で、親交の深いユイフに行けと言うのかもしれない。

     *

「ガイル王太子がどうしたのですか?」
「昔出た縁談話はルイが幼くまだ早いと反対し保留にしていたが、返事をしなくてはならなくなった。」

「私は嫌です。縁談は兎さんがいいです。」

 先ほどアイスとの縁談を反対されたことを思い出したルイは、何を話しても自分の声は届かないかもしれない。そう思いながらも、これだけは譲れない、そう思い精一杯の言葉を発した。

 王子達と王妃が目を丸くした。

「お、ユイフの反対勢力に襲撃されたことを気にしているのよね?ユイフ国王の意思ではないのよ?心配はいらないのよ?」

「そうだ、ルイ…獣人は怖いぞ?人間同士ならきっとうまく行く。そう思わないか?」

 王妃とキト王太子の言葉にルイは首を横に振ると声を振り絞り叫ぶ。

「ユイフ国王も王太子も大嘘つきよ!昔からあの人達の言葉なら信じて、皆!私の言葉は信じてくれなかったでしょ!」

 泣きながらルイはその場を走り去った。
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