狂戦士は可憐な花嫁を溺愛する

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 翌日。

 ルイの忙しい一日が始まる。このディスカ国での結婚式のためにこの1ヶ月はルイの身の回りのものを揃える期間になり、ルイは服や靴の採寸に始まり、装飾品選び、挙式をする会場の打ち合わせ等々があった。

 アイスは仕事の合間にルイに同行し、二人で決めることはゆっくり進行。あとはルイ一人が忙しくしていた。

 その日の昼過ぎ訪問客は一気に去り、この後の予定はないため、ルイは城の古書室に向かうことにしたのだった。

 部屋にはいると受付のカウンターが目に入りそこへ向かった。
カウンターに置かれたベルをならすと、カウンター奥の扉が開き、現れたのは数名の猫の獣人だった。

「ハナンさんはお見えですか?」
「姉さん、人間のお客様よ。」

 扉から現れた猫の獣人達は小柄で、姉妹の声に答えるように扉が開いた。

「どなたかしら。ハナン・ディアスです。私をおよびですか?」

 奥から現れたのはスレンダー美猫の獣人、ルイに歴史などを教えていた女性だった。

「先生。来ちゃいました。」

 ルイは照れ笑いしながら、首を少し傾け、上品にスカートの裾をつまんでお辞儀した。

「まあ!王女様!」

 獣人ハナンは猫らしく腰をくねらせ辺りを見回し何かに気づくとルイを自分の側へと引寄せ、ルイの頬に鼻が当たるくらいの距離に顔を近づけ囁いた。

「王女様、王妃様のお付きの者達がいま古書室に来ています。彼女達は何をするかわかりません、私の目の届く所にいてください。」
「え?フフフ、心配してくださるの?私は大丈夫です。でも、先生の言葉は守らせてもらいますね。」

 ハナンはホッと胸を撫で下ろしてカウンターの本の受付口となる席についた。

 ルイは本を選びに席をたち、棚をみて回る中、王妃のお付きの者2名がルイに気づいて逃げ場を塞ぐように立ちふさがった。受付にいたハナンは顔色を変え席を立つと、ルイはハナンに気がついて(大丈夫)だと言うように手を振り、目の前の兎の獣人二人をまじまじと見つめた。

「王妃様に仕えているトキ・ルーシーともうします。お一人でこちらまで?こんな小さな人間のお姫様がアイス様の妻になられるなんて…この国は閉鎖された国。町でみる人間も少ないのですよ?おつらい思いされたりしないかしら。」
「王妃様に仕えているハギ・ミルトともうします。お勉強ですか?熱心でらっしゃいますね、ルイ様はアイス様の妻になられるとか、ここだけのお話ですが、アイス様は恨まれることも多い方。ルイ様が心配です。」

 わざとらしく心配をよそおう二人の獣人、トキ・ルーシーは白い兎の獣人の女性。兎の頭の右耳にピアスの穴には赤いリングが通されており、リングの先で模造された1輪の花が揺れていた。ハギ・ミルトは薄い茶色の兎の獣人の女性。同じく、右耳にのピアスの穴には赤いリングが通され、大きな黒色のレースのリボンを揺らしていた。

 ルイはそんな二人目の声に耳を傾け、目を輝かせ満面の笑みを向けた。

「トキ様、ハギ様、バリージャ国より参りました、王女のルイともうします。ご心配には及びません。私なら大丈夫でございます。それより…兎の獣人の方は男性しか知りません。女性からは良い香りがしますね、手入れの行き届いたその毛並みも…魅力的です。なので、もっと間近で触れたいのです。ちょっとだけ、お顔を近くに私に向けてもらえないでしょうか?」

 ルイは目を輝かせて上目使いに二人をみれば、二人は迷いながらも、その瞳に歯向かえずに前屈みになると、ルイは右手はトキの頬をやわやわと撫で、左手はハギの頬をやわやわと撫でる。

「はわあ~ふわふわ。いい香りです。美人の獣人の女性はこんなに素敵なんですね~。はわはわぁ~。」

トキとハギはその撫でる手つきに気持ちよくなり目を細め、解放されるまで頬を差し出し、満足したルイがパッと離れると、もう終わりなのかと、少し寂しくなった。

「トキ様ハギ様ありがとうございました!それでは、失礼いたします。」

 可愛らしくお辞儀したルイは歴史書が並ぶ棚へときえ、二人は背筋を伸ばすと、しばらくふわふわとしながら部屋をさった。

 最後まで見守っていたハナンは、二人がルイに撫でてもらったことに、何故だか心の奥がモヤモヤとした。ルイに優しくされた二人に嫉妬でもしたような、そんな感情。

 (ルイ様はーお優しいんだから。ああ、私も撫でてもらいたいです!)

 ハナンから始まった、ルイの隠れファンはトキとハギも…これから更に増えて行く予感。

                                                                                                                            
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