~黒炎の騎士の愛玩魔女~

yu-kie

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1・森の奥の薬屋

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  * * * 森の奥、魔女の家 * * *

 青い髪の青年黒炎の騎士と名乗ったガゼラ・ジルマはリュウの家で療養を始めて1週間がたった。

ガゼラはようやく体を動かせるようになった。

 しゅん!しゅん!

 外に出て剣を持ち素振りをする様子を、リュウは部屋の窓からチラチラと見ながらグレーの着古したワンピース姿に白衣を着て薬ずくりを行っていた。

「お父様以外の若い男性はガゼが始めてだから見ていて飽きない…人間観察するのもいいかもね~。」

 一人ぶつぶつ呟きながらリュウは木箱の踏み台にのり、テーブルを見下ろすようにしてすり鉢に入った薬草を棒でゴロゴロとすりつぶしていた。

リュウは見た目は10歳だが中身は18歳。居候中のガゼラは23歳と、二人の年の差は『 5歳』。

少し離れた場所には家庭菜園があり、リュウの母はつばの長い麦わら帽子に、薄いピンクのロングドレスでしゃがみこみ、白いエプロン姿、手には軍手をつけ草をとり、苗の手入れ、土へ肥料と水を与えるといった作業を行いながら、ガゼラの様子を見守り呟いた。

「あの青年…リュウにもよい影響を与えてくれないかしら。フフフ。」

 リュウの母はすっと立ち上がり、すたすたと歩く先には井戸とテーブルと椅子がある。

 リュウの母はそのテーブルにのせた篭を手にすると、薬草を育てているビニールハウスへ、いつもの作業をするために入った。

 ガゼラは庭で素振りのあと、片腕で腕立て伏せを始めると、ログハウスの一階、薬作りをする部屋の窓から乗り出したリュウがガゼラに向けて叫んでいた。

「ガゼー!無理なことしないでください!」
「これくらい、大したことないですよ。」

 腕立て伏せを続けるガゼラは右腕から左腕へと支えを変えるとまた腕立て伏せを始め…リュウは窓からエグエグと泣いた。

「なんで言うこと聞いてくれないんですかぁ~」

リュウはガゼラを看病する責任感から感情を爆発させて泣き出し、ガゼラは渋々腕立て伏せをやめ、窓から乗り出して泣くリュウをだっこすると、リュウはお姫様だっこ状態で、泣きながらガゼラの顔をパコパコと子供の弱い力で叩いた。

「すいませんでした。今戻ります。」

 泣きわめくリュウをなだめるように抱いたまま、正面玄関から家の中へと入って行った。

    *  *  *  *  *  *  *   *  *  *  *  
   < ガゼラの心の声 >

 あの日、僕は任務中に森と隣接する山へ行き強敵に遭遇、仲間たちと協力しあい敵と戦い、負傷した。敵は倒し、仲間たちと帰る途中仲間たちの背中を追いながら意識が一瞬途絶えて行くなか、山を転がり落ちた気がした。

 山と隣接した魔女の住む森に迷いこまなければ、今ここにはいなかっただろう。しかも、国から定期的に使者が来ているのだから、国が認めているのだろう。信用できる魔女だと思った。

 リュウは命の恩人で幼いままの魔女。恐ろしいはずの紅い瞳は、彼女の可愛さを引き立たせている気がする。

 そうだ、王都へ戻ったら彼女にお礼にドレスをプレゼントしよう。貴族の子供たちが持つ人形みたいに着飾ったら、きっと可愛いはずだ。

 その為にも少しでも早く傷を治さなくては。

    *  *  *  *  *  *   *  *  *  *  *  
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