~黒炎の騎士の愛玩魔女~

yu-kie

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1・森の奥の薬屋

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 ガゼラは2週間たつ2日前、宰相が森に送った使者と共に馬車で帰った。

   *  *  *  *  *  *   *  *  *  *  *  
   《二人きりの森の家》

 ガゼラが去り数日後。リュウは知らない人間にこうも関心を持つものなのかと数日前までの自分に関心した。

 今日は母と共に、つばの長い麦わら帽子、グレーの古びたワンピース姿で敷地内にあるビニールハウスで薬草の育ち具合を見て回り、大きく育ったものを摘みとっていった。

「リュウ。ガゼラさん行っちゃったわね、寂しい?」

 薬草と向き合ったまま、向かい側に並んで生えている薬草を摘むリュウに優しく問いかける母。リュウはいつもの日常に戻っただけだとその時は思っていて、母の質問に答えがだせなかった。

「ん~わかりません。」
「そう。あ、今日は旦那様が帰って来る日ね。リュウ、お料理に肉を入れたいから、森で小動物を狩って来てくれるかしら?」
「分かりました。お昼は狩りと森に自生する植物も摘んできますね。」

そして作業はもくもくとすすみ、ビニールハウスないのベンチに二人、麦わら帽子を外して腰掛け母の作ったサンドイッチを食べた。

 食事を終えリュウは帽子をベンチに置いたまま、ハウスの端に置かれた深めの篭バッグを腕に通してハウスをで、森へと向かった。

   *  *  *  *  *  *   *  *  *  *  *  
  《吸血鬼の迎え》

 獣VSリュウ、突進する獣へリュウは手に現れた枝の棒を握り得意技『いかづち』を発動させた。光の柱が獣を襲いしびれたように獣はたおれた。

 こうしてリュウは父親が喜びそうな『猪』に似た大きな獣を捕まえた。

「さて、どうやって持ち帰ろうかな~」

 リュウは魔法で獣を小型化させて篭にしまうと、森に自生する薬草を探した。

 この森にしかないとされる薬草は大きな葉が芽を支え、細いくきは凛と伸び上がり、大きな花を咲かせる。花弁は何枚にも重なる青く輝く大輪となる。その花を煎じると、傷の回復も速まり、美容にもよいとされる。

 地を這いつくばるように花を探し、花を摘む。花を摘まれた薬草は、また根から新しい芽を出し茎を伸ばし花を咲かせる。

「1、2、3…」

摘んだ花を篭に入れ、辺りを見回すと日も暮れ始め、空から亜空間が口を開け、蝙蝠こうもりが一羽皮膚でできた羽をパタパタとさせ急降下した。

 突如、黒い煙に覆われた蝙蝠は次の瞬間、黒い燕尾服の金髪な青年の姿となり、リュウの前に登場した。

「リュウ、お前が早く帰らないから私の食事が遅れている。帰るぞ。」

「父様お帰りなさい。」

 燕尾服の青年はリュウを抱き上げると足元に藍色の光の円陣が現れ、二人は転移した。

 転移した先は、リュウの家の前。

 家の窓から明かりが灯り、母がそわそわとして二人をまっていた。

「リュウ、お帰りなさい。」

リュウは父親である燕尾服の青年から離れると母親に篭を渡し、母親はそれを受け取りキッチンへと姿を消した。

 2階の夫婦の部屋には寝室のほかにダイニングがありテーブルにはリュウが帰る前に出来上がった料理が並び、3つある椅子の1つに箱が立て掛けてあった。

「これは?」
「王都から、リュウに贈られてきたようだ。」

 箱には送り状が貼られていて、我が家指定、リュウ宛てとなっており、送り主はガゼラ・ジルマ、名の最後にジルマ国の刻印が押されていた。

「ガゼからの荷物みたい。」
「プレゼントだな。」

「へ?」
「見たいんだろ?開けてみなさい。」

リュウは箱を縛るリボンを解き、蓋を開けると青く染まるドレスが入っていた。

「聞いたぞ?騎士を介抱したそうだな、その礼にドレスとは…粋なことをするかただな。」
「え?お代は帰るときにもらったのに…。」

 リュウが不思議そうに首をかしげていると母がトレーに鍋をのせて現れた。

トレーを受けとるリュウの父はテーブルにそれを置き、母はその後に紅い液体の入るデカンタとワイングラスを1つ父親の席へと置いた。

リュウの父専用の酒。今日とれた獣の体の中に流れていた液体だ。

「美味しくないかもしれないけれど、どうかしら?」

母親は心配そうにグラスに液体を注ぎ、父親はグラスの口を手のひらで覆い念じれば、濁った赤色は鮮やかな赤へと変わる。

「リヤナ、ありがとう。」

 父親は立ち尽くしていた母親に笑顔を向けそのなを呼ぶと、母親は頬を紅くして隣の席につき、食事が始まった。

そこから既に夫婦のイチャイチャが始まり、リュウは早めに食事を済ませると、蓋を閉めた箱を抱き締めながら階段を降り、リュウの『城』ともいえる薬を作る部屋へと姿を消した。

「夫婦の愛の巣には長居はできないね…」

リュウは汚れた服から白いワンピースに着替え、ベッドの端、枕元に箱を置き、箱を眺めながら眠りについた。

(ありがとうございますって言わなくちゃ…あ、着た方がいいのかな…ガゼに…いつか見せなきゃ…)

 リュウはいつの間にか眠り始めた。

    
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