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第1章・贄の花嫁【序】
もふ×2
しおりを挟む「あの娘…今の言葉がはったりであれば…私の贄になってもらおうかなあ。若い人間の娘はどんな声で喘ぐのだろうな。ふふふ。」
※この場合、バイラー国王はエロい事を企んでいる状態である。各国の王女を嫁にし、着飾り愛でるのが王様の趣味であるため…贄として来た娘が役にたたなければ妾にしようか楽しそうに悩んでいた。
しかし、ライカが兵力になることは、はったりではなく真実であった。
リュクス国王は貢ぎ物のリストをかいた巻物と一緒に、贄役のライカの履歴書とも言える今までの戦いでどんなことをしたかが記された書簡も添えられていた。
ライカが退席した後にバイラー国王が使者から手にしたリストと、書簡に目を通し…再び大きな声で笑いだした。
「ハッハッハッ!これが本当なら…還すわけにはいかないな!お手並み拝見と行こうか。ハッハッハッ!小娘なんぞ、我らの猛獣軍に敵うものか。」
国王は身をよじらせて笑いすぎ、最後は過呼吸になりかけながら退席をした。
‡
一方、ライカは白熊の獣人騎士マナの後ろに続いて歩くなか…白くてフワフワな毛に触れたくて体をうずうずさせ、目をキラキラ輝かせていた。
「着いたぞ。」
ライカが連れてこられたのは猛獣の獣人達が剣術の稽古や、肉体改造のためのトレーニングをしている広い部屋だった。
「うほぉ~、もふもふ」
ライカは胸を踊らせ、彼らの前で上品にスカートの裾をつまみ、お辞儀し、マナは獣人たちにライカを紹介した。
「早速だが…彼女はこの軍の兵力になるそうだ…誰か娘の相手をしてやれ。我らの軍にふさわしいか試してやれ。」
ライカを目にした肉食獣の獣人たちは目をギラつかせ喉をならし…ライカを囲んだ。
ライカを捕食対象の目で見る軍の部下たちに、マナはため息を漏らすと目をつぶり号令をかけた。
「食べるな、これは娘の試験だ。かかれ!」
号令と共にライカめがけ獣の荒い息づかいと、地を蹴る足音がし…次の瞬間突風が吹き、ドサドサと大きな物が床に落ちる音がした。
マナは目を開けると…そこには気絶した獣人、痛い痛いとお腹を抱える獣人がいた。
その中心には服の埃を払うライカの姿があり、手には拳をつくり、少し赤くなったその拳の熱を冷まそうと息を吹き掛けていた。
「マナ様、ごほうびください。」
「はあ?」
「あなたの体をもふらせてください。」
「わ、く、くるな!」
ライカはマナに飛び付き服から覗く首や腕、顔をなで回し頬をすり寄せ幸せそうに眠りはじめた。
マナの騎士服は乱れまるで襲われでもしたかのような姿に…。
床に押し倒され放心状態のマナと寄り添うライカの姿を様子を見に来た王の使いに目撃され…ライカはマナのお手つきとなったと勘違いされたのだった。
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