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第1章・魔女の孫と黒鷲の騎士
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しおりを挟むサントをのせた馬車は王都へと辿り着いた。王都の入口となる問をくぐり、広い王都を1時間かけて走り城の門前に到着した直後す、グレーの髪の強面な騎士が出迎えた。
馬車から顔を出すサントはその騎士の姓をよんだ。
「リュークさん?」
「お迎えに上がりました。彼らはこの先には入れないので私が護衛として同行します…その動物は?」
「私の使い魔のルルです。彼女も私の護衛です。」
「小さくできませんか?多分そのサイズだと城の者達が怯えてしまう…。」
「あっ。そうですね、ルル…小さくなって。」
「ガウッ!」
黒豹は豹の赤ちゃんになりサントに抱っこされた。
「リュークさん行きましょう。」
「…サント嬢、私の事はシアンとお呼びください。あなたがこちらに滞在中は私が護衛を任されています。」
「そう、シアン…さん。よろしくお願いしますね。」
サントの無邪気な笑顔を直視したシアンは今まで味わった事の無い感情が湧き上がり…一瞬胸の奥がギュッと締め付けられた。
*
サントはこの日王宮に饗され、離宮に滞在することが決まっており、明日は城でサントの魔女の任命イベントがある。サントの祖母にはなかった扱いだが…王族の血を引く令嬢が魔女になった事は国の繁栄にも繋がる。
サントは離宮の部屋に案内され、国王の使者から明日の予定を長々と聞かされ…ここに来てようやく事の大きさを実感していったのだった。
「私はこれにて失礼致します。明日の朝、ご準備が整う頃お迎えに上がります。」
「ええ。ありがとうございました。」
サントは、ごく自然に手を振ったため、シアンは、思わず振り返しそうになった右手を抑え、慌ただしく部屋を後にした。
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