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第1章・魔女の孫と黒鷲の騎士
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しおりを挟む王都へと向かう馬車の中にいた、サントと黒豹ルルはほどよく揺れる馬車内で、うとうとと眠り始めていた時だった。
馬車が急停車し、護衛に同行していた衛兵が馬車の窓をノックした。
「お嬢様、危険なのでそのままおまちください。」
「大丈夫なの?」
衛兵は既に近くにはいないようで返事もなく、サントは、窓を覗きこめば、そこには雇われたのであろう盗賊風の男たちがサントやね護衛と戦っていた。
「やっぱりまだ…いるのね…私のおじいちゃんの眷属が仕向けてるのね。ルル、私のおじいちゃんはこのペンダントの持ち主なの。ほら。」
サントは、ルルにペンダントの裏側をみせると、そこには持ち主の名、スペーシア・ルクシーと刻まれていた。
「おばあちゃんも大変な方を虜にしたのね。ルル、外が大変。」
サントは再び窓の外を覗くと護衛の衛兵達が、負傷し危険な状態。
「行きましょう。おばあちゃんの力を見せつけるいい機会よ、」
サントは勢いよく馬車の扉を開けるとルルが先に飛び出し、サントは後に続いて飛び出した。
久しぶりに令嬢らしく淡いレモン色のドレスを身に着けたサントは桃色の髪を靡かせ、古い言語の呪文を唱え始め、その間ルルは盗賊達に襲いかかった。
サントの唱える魔法で出現したピンク色の花びらが2枚重なる無数の蝶の形となった魔法は盗賊達に触れるとその力を発動した。
『〈攻撃魔法〉黒雷』
祖母の魔族の力も加わる魔法はバチバチと蒼白い光を放ち盗賊達は、気絶した。
「弱すぎよ。あ、衛兵の手当を。」
サントはルルと共に衛兵の手当に走り回った。
「すみません、お嬢様にご迷惑を…」
「いいのよ。魔法を実践に初めて使ったからお婆ちゃんの力をちゃんと継承できたってわかったもの。ふふふ。」
「そうですね、素晴らしいお力です。」
「ありがとう。」
しばらくして、衛兵達はサントの塗り薬で傷も癒え動ける状態となり馬車はサントをのせて走り始め、馬に乗る衛兵達もあとに続いた。
そしてその日の夕刻、馬車は王都へと辿り着いたのだった。
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