黒鷲騎士は魔女の孫に興味津々

yu-kie

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第2章・若い魔女の恋〈終章〉

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 シュアはシアンと二人きりとなり、真剣な表情をシアンに向けた。

「シアン殿…君のことは陛下からよく聞いているよ。君のご両親は私の同士だ…本来なら君があとを継いで領主になっていただろうに、どうして親戚に譲ってしまったのかね?」
「叔父は領主だった父を一番近くで支えていました。もともと騎士でもある両親は戦争で王都に呼び出され…叔父は代理をこなし、私の面倒も見てくれました。」
「なるほど…よい環境で育ててもらったのだね、だが君の叔父…ヤト・リュークは君が王直属の騎士になってから1度も領地に戻ってこないと嘆いていたぞ?」
「は…あ。」
「君の考えがあっての事だろう。ヤト殿には元気だと伝えておくよ。さて、本題なんだが…娘をどう思う?」
「どうとは?」
「サントがここに来た時、君はサントの手を引いて歩いていたときいている。護衛以上のモノを皆感じていたようだよ。」
「…そうでしたか。私はサントお嬢様の護衛を任されていますが…彼女に興味もあります。日々知ることも多く私にとって彼女は大切な人。態度にそれが出すぎていたのでしょう、今後気をつけます。」
「それを聞いて安心した。サントはよい人物を側に置いているのだね、娘を支えてやってほしい…そうだ、恋人になったら、いや結婚する事になったら真っ先に教えてくれないか?」
「まっ!えっ!なにを!」

 シアンは動揺しすぎて言葉がまとまらず意味不明な言葉を発した。

     *

 その日の夜、サントは故郷の夜空が見たくなり、シアンを連れ夜の庭に散歩に出た。

 二人は肩を並べてバラのアーケードを歩いていた。最中、シアンはシュアとの会話を思い出し、目の前でおきているデートのような展開に感情は高ぶり初めていた。

「きゃっ。」

 小石につまづいたサントはシアンに腕を捕まれそのままシアンの胸に引き寄せられた。

 見上げると首に描かれた黒鷲の模様がわずかに動いたのを目にした。

 それはシアンが緊張から唾を飲み込み喉が動いたためだった。

 サントは、ドキドキしながらその先に見えるシアンに視線を合わせると、シアンは目を赤くして告げた。

「サント嬢…一度しか言いません…私はあなたが好きです。あなたは他に好きな人はいますか?」

 サントは目に涙を溜め微笑んだ。

「いいえ…私も…シアンさんが大好き。でも、私の都合で護衛に留めては…」
「なら家族になりませんか?私が夫に、あなたが妻に。可能かはわかりませんが、あなたは今までどうり、薬を作り…私はそばにいるときはあなたを守り、王の呼び出しの都度、王都を行き来するんです。」
「良い案ですね。でも可能なのですか?」
「多分、陛下もあなたの父上も…何故か私とあなたをくっつけたがってますから、融通は効く気がします。」
「ふふふ。なんだが楽しそうね。」
「ええ。ではサントお嬢様そういうことで良いですか?」
「はい。未来の旦那様」

 サントはシアンの腕を引き寄せ、シアンは、前かがみになりかけた瞬間サントは背伸びをし、シアンの頬に一秒チュッとキスをした。

 ようやくこの日、二人の心は結ばれた。近い将来の計画を楽しみ、慌ただしくその日のうちにサントの家族に報告した。

 妹リリーの反対はあったものの、家族は喜び、将来の計画は徐々に現実となっていったのだった。




 …1年後

 あの日の家族への告白からあれよあれよと猛スピードで結婚が決まり、二人は夫婦になっていた。

 村は以前よりにぎやかになり、シアンは計画どうり王都を行き来する生活をおくっていた。


 魔女の孫は今では国の魔女。黒鷲の騎士は夫になってからもサントの周りで日々起きる出来事に目を離せず…彼女への興味は増すばかりであった。




 こうして二人は…いつまでも幸せにくらしたのでした。

 (END)
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 ここまでお読み下さりありがとうございました。修整箇所も多々あり不快にさせてしまったのではないかと思います。ご迷惑をおかけしすみません。そんな中、お読み下さりありがとうございました。

    ◆yu-kie◇
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