流星の騎士と黒猫

yu-kie

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◇①リカの暴走 ◆

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 森の奥に伸びる長い道、騎士団一行は慎重に前へと進んだ。ミルクは人の姿を取りリューイの乗る馬の背中前側へ、猫のときと同じように座る。ミルクも騎士団全員も険しい表情のまま馬を走らせるなか、行く先を阻むように魔獣の群れと先頭には泥人形が地面からゆっくりと出現した。

「待ちくたびれたよ、ハビス~」

 泥人形の背後から突如出現した燕尾服を身に着けた顔の代わりに頭部を闇が揺らめき赤色2つの光が笑っているように湾曲していた。

「気をつけろ。前回より連れてる魔獣が狂暴な奴らだ…ミルク、皆の援護を頼む。」
「はい、ご主人さま。」

 ミルクは、リューイのそばから離れず魔法を発動した。

 ミルクが発動した風の渦は騎士一人ひとりを盾になり、外側からの魔獣の攻撃に牙を向けるように鎌鼬となり負傷させると一瞬止む風のタイミングで騎士達は剣を魔獣に斬りつける。

 魔獣達は、泥人形は次々に倒れて、残るはすばしっこい燕尾服の闇ヒバスだけとなった。

 想像以上に剣の腕のたつミルクの初めての友達リカは興奮状態になり手柄を得ようと突撃、その頃には騎士たちの風の保護が止んでおり、ミルクはリューイを見上げると席を離れる許可を求めた。

「ご主人様…あるじ様、リカの援護に行く許可を。」
「そのまま始末をつけるつもりだろ…ミルク。無茶をしないこと、そして必ずここに戻ることを誓えるか?」
「はい、必ず!」
「行っておいで」

 ミルクはリューイに背中を推され、馬の背を飛びだし、風にのり、リカのもとへ飛んだ。

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