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3話<店主と迷子の仔猫>
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しおりを挟む喫茶ポポの閉店時刻。後片付けを済ませた美奈は、懐かせた2匹の子猫をケージに入れると、2階にいる春樹の部屋へと向かった。
コンコンコン。
「春樹さん、」
「…。」
返事はないが…部屋のドアノブを触るとカチャリと開いた。
「2階にいるのは確かなのよね…もしかして寝ちゃったのかな?」
部屋を覗き込むと、猫のケージを組み立てた後の空の箱は無造作に置かれ、読んでいただろう『子猫の育て方』の本を手にしたままベットの上ですやすやと眠っていた。
「春樹さ~ん?」
「んあ!美奈ちゃん!」
慌てるように起き上がった春樹は、扉を開けこちらを伺うように顔を出す美奈を見た。
「寝てた!ごめん。」
「いえ。猫たちを出してもいいですか?」
春樹と美奈は、部屋に慣れさせるために猫たちとおもちゃで遊びなんとか、設置した3段式のキャットケージに2匹を入れた。
「春樹さん、猫達の事…ありがとうございます。あの、また猫に会いにお部屋に来てもいいですか?」
「うん、勿論。ただ…一応俺も男だから…」
ベットに正座する春樹を前に、美奈は床に体育座りした状態で見上げれば、春樹からは上目遣いに首を小さく傾げてみえ、春樹は、美奈を意識しすぎて顔を紅くしうつむいた。
美奈は、その表情になんとなく察してしまい…急に恥ずかしくなり顔を紅くして両手で顔を覆った。
「そうですよね、春樹さん困らせてますよね…」
春樹は、美奈が泣き出したと勘違いし、思わずベットから降り美奈を包み込んだ。
「美奈ちゃん泣かないでくれ~!いつでも来てくれていいから。」
「泣いてません。」
美奈は、春樹の腕の中で顔を覆う両手の指の隙間から春樹を見つめた。
春樹は、この時確信した…自分は美奈を恋愛対象として見ているという事を。
「美奈ちゃん…この際聞いてしまうけど、彼氏とかいる?」
「…いません、意識してる人ならいますけど…」
春樹は、最後の言葉にショックをうけ、美奈から離れ席を立ち、部屋のドアを開けた。
「いやあ~そいつに誤解されるといけないよな…猫は俺が面倒見るから任せて。社長もいるから、何かあれば聞くし。」
「春樹さんはやっぱり素敵な方ですね、優しくされると意識しちゃいます、ふふふ。私も猫の面倒お手伝いしても良いですか?」
「えっ、俺の事?」
「はい。」
「美奈ちゃんがいいなら、好きな時に猫の世話頼もうかな?」
「やったぁ!」
美奈は思わず両手に拳を作り喜んでいた。
「じゃあ、今日はもう帰りますね。」
美奈は、ペコリと頭を下げると、立ち上がり部屋を後にした。
ケージの猫は丸くなり眠り始め、春樹は明かりを消した部屋の中で美奈の脈ありな言葉に嬉しくて、妄想が暴走して眠れずに、翌朝を迎えてしまったのだった。
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