RUIと私

RUIと私 完結

　私の知るルイちゃんは、鹿山塁の仮の姿。塁は転校してきてすぐの頃、私に大怪我をさせたのに私は自分のせいにして塁をかばって恩を押し付けなかったと思ったのだとか。

　彼は、私に好印象だったらしく、ふわふわした私？ともっと仲良くなりたくて…女の子になりきって、結果私と友達になれたから嬉しかったのだと。

「でも塁の時は意地悪だった。」
「まあ、素は直には変えられないから…」
「ぐすん、私が嫌いなわけじゃないの？」
「うん。仲良くなりたかったからね。」
「私…意地悪する塁くんは嫌い。でも…塁くんはルイちゃんでもあるから…ルイちゃんの素顔なら、受け入れなきゃいけないから…覚えとくよ。だけど！」
「う、うん？」
「もう今の塁はルイちゃんだってわかったから意地悪されたら注意するから覚悟してよね！」

　私は鼻をグスンと音を鳴らしながら彼に威張ってみせた。

「わ、わかった。気をつけます。」
「うん。」
「じゃあ、これからも友達でいていいの？」
「うん。だけど少し時間をくれる？」
「どうして？」
「ルイちゃんが塁だって理解するのは直には無理でしょっ？」
「だ、だよね？ごめん。」
「うん。」
「それじゃあ、私は帰ります。お婆ちゃん、ありがとうございました。」

　私は席を立ちお婆ちゃんに一礼して玄関へ。

「遥ちゃん。」

　私は立ち止まり振り返ると、塁は立ち止まり悲しそうな顔をした。

「またね。塁にはまだ慣れてないから今度会うときはルイちゃんの姿でね。」
「うん！」
「バイバイ。」

私は手を振り家を後にした。