赤羽根の白魔導士

Remi‘s World

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✼••┈第0話┈••✼ (3)

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「やったわね!全員倒したわ」
「あぁ!これで終わりのはずだ」
「全部片付いたと思うぜ」
「だな!片付いただな」

 私は園庭を見渡し、他にアレイラ帝国兵が隠れてないかもう一度確かめた。大丈夫、もう敵兵はいないみたい。
 ようやく戦闘が終わったと感じ、深く息を吸い込むと興奮を冷ました。

「ナオ、今回も助かった。感謝する」
「やっぱりナオの魔法はすげぇよ!斬られても直ぐに元通りだぜ」
「だな!すげえだな!ありがとだな」
「いつも通りよ。アレイラ兵はこれで終わりみたい」

 私を見下ろすウルドの体には鎧の傷以外傷一つ無い。ヴェンとロダも目立った傷はないようだ。私は三人の無事な姿を見て安心した。

 私は目の前に建つレントノール孤児院を見上げた。ここを出た時と全く変わっていない様子だ。ここで暮らしていた頃の思い出が脳裏によみがえってきた。

「かなり古いお屋敷だな。カーザフ王国に統合される前から建っていたようだな」
「以前はこの辺りの地主の屋敷だったと聞いたことがあるわ」
「そうか――まあいい、次は中だ」
「そうね。行きましょう!」

 レントノール孤児院の玄関を開けると、倒れた机、壊れた椅子、血の付いた壁、そして床には無残に殺された孤児たちが見えた。凄惨としか言い表せない。

「なんてこと!どうしてこんなことを!!」

 どうしてこの子たちが殺されたの。
 アレイラ兵はどうしてこんな酷いことをしたの。
 ここは、私の……そう、私のっ!!
 目の前の惨劇と頭の中を流れる思い出が重なり、様々な感情の波が一気に押し寄せてきた。
 突然、私の身体を痺れるような感覚が駆け巡った。そして、私は、自分で、自分の感情を、抑えられなくなった。

「……」

 気が付くと私は倒れた子供たちの前に立ち、青白い輝きを放つ復活の杖を掲げていた。
 いったい、何が起こったの。自分でも何をしたのか把握できない。
 子供たちが輝く光に包まれ、強い光を放っている。

「――っがはっ。……僕はっ」
「ううっ、」
「――ぐふっ――あれっ?」

 青白い光が消えると殺された子供たちが息を吹き返していく。

「よかった!気が付いたのね!」
「っ!……」
「助けて、助けて――」

 子供たちは私に気付くと震え、一か所に固まりうずくまった。えっ!と驚いたが、無理もない。襲われたばかりなのだから。それと私の体が青白い光を帯びている、きっとこの姿も怖かったのだろう。

「大丈夫、もう心配ないわ。みんなやっつけたわよ」

 私は怯える子供たちをなだめて回った。
 しばらく子供たちをなだめていると、食堂の方から大声で叫ぶロダの声が聞こえた。

「ナオ!こっち!大人が倒れているだな、すぐ来てほしいだ」
「ロダ、わかったわ。すぐ行く」

 私は子供たちに待つように伝え、立ち上がろうとした。が、目眩がして壁に手を付いた。うまく立てない。もしかして、急に魔力を消耗しているのかも、こんなのは始めてだわ。
 私は急いで水筒を咥え、魔力回復薬を飲み干した。 ふぅっ。っと一息つくと落ち着き、立ち上がることができた。
 落ち着いた私は、ロダのいる食堂へ向かった。

✼••┈┈••✼••┈┈••✼

 食堂へ行くと、孤児院の二階を見に行ったウルドとヴェンも来ていた。二人にもロダの声が聞こえたようだ。
 ロダのすぐ横にレントノール孤児院の院長が倒れているのが見えた。院長は両脚が折れ、うずくまるように倒れている。脚を折られた痛みから意識を失ったのだろう。

「院長、今、回復をっ!」

 私は回復魔法を発動し院長へ放った。院長の脚が青白い光に包まれていく。
 しばらくすると院長の目が開いた。意識が戻ったようだ。

「院長!院長!大丈夫ですか?」
「おおっ……?。ナオ――ナオなのか」
「院長!気が付いたのね!良かった!……脚はもう治ってるはずです」
「あぁ、ありがとう。大丈夫、歩ける。ナオがこんなに大きくなって」

 院長の懐かしい声に気持ちが緩みそうになる。でも、今はそんな場合じゃない。私は院長へすぐに質問を投げた。

「院長、一体何があったのですか?」
「戦争だよ。トナーニ山の方からアレイラ軍が攻めてきているんだ。いよいよ、この辺りまで来たようだ」
「えっ……」

 言葉を失った。戦争はもっと遠くで起こっていると思っていた。まさか、こんな近くまで迫ってるなんて、信じられない。

「本当か!この辺りまで戦争が迫っているのか!」
「院長さん、そりゃまずいぜ。すぐに避難しないといけないぜ」
「だな。院長さん、逃げるだよ」
「皆さん、ありがとう――でも私たちには避難する場所がないんだよ」

 そうだった。この辺りは平原が広がっているだけだった。

「そうよね、この辺りには隠れる場所は無いわよね」
「そう、無いんだよ。他の土地に移ろうとも考えてみたのだけれど、良い土地と建物を買うには今の貯金ではとても足りないんだ」
「私の持っているお金を渡しても――とても足りないわよね」

 お得意様ならもしかしたらお金を貸してくれるかも、でも、確実ではない。ギルド以外の知り合いで受け入れてくれそうな人……心当たりが浮かばない。
 どうしようかと考えている私に、横にいるヴェンが話しかけてきた。

「ナオ、なんか難しく考え過ぎだぜ?ここを離れるだけなら、俺たちの荷馬車を使えばいいだけだぜ」

 私はヴェンの言葉にハッと視界が広がった。彼の言う通りだ。それに――

「ヴェン、そうよ!そうよね!――それに私たちのアジトなら、子供たちも全員入ることが出来るわ。いいわよね?」
「ナオ、もちろん大丈夫だ。俺たちだけでは広すぎるアジトだからな」
「奮発して買ったあのアジト、本当に広すぎだぜ。まぁ館っていう方が正しいかもだぜ」
「んだ、簡単だな。大丈夫なんだな」
「本当にいいのかい?あぁ……こんなにありがたいことはない」
「ええ。院長、大丈夫よ」
「皆さんありがとう。本当にありがとう」

 私たちの言葉に優しさと安らぎを感じたのだろう。院長はその場で泣き崩れてしまった。私は院長に寄り添い励ましながら、院長と共に立ち上がった。

「私はこのまま院長と外へ出るわ。ヴェンとロダは子供達たちを抱えて連れてきて。ウルドは荷馬車を取りに戻って」
「分かった。すぐ荷馬車を取って来る」
「おし!じゃあ、俺はロダと一緒に子供たちを連れてくるぜ」
「んだ、行ってくるだよ」

 私たちは院長と女性職員、そして子供たちを荷馬車に乗せ、レントノール孤児院を後にした。
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