ある時計台の運命

丑三とき

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王都

一度ならず二度までも⑤

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秒針の響きが段々と鮮明になり、意識が浮上した。あたりはまだ真っ暗だ。隣にはジルさんの気配。






うん、やっぱり全部覚えてる。
一度ならず二度までも、ジルさんの手を汚してしまった。
消えたい。逃げたい。穴があったら入りたい。

以前僕がジルさんにセクハラ(?)したのはあくまでもジルさんの仮拠点での出来事だったけど、今回は正真正銘のプライベートルームで………


うわあーーーー、やだやだやだ。
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
のたうちまわりたい。


媚薬の効果が切れたのか、かかっていた靄が晴れて無事通常の思考を取り戻すことができた頭は現在進行形で羞恥心に殺されそうになっている。

いやだあーーーーー
これジルさんにどんな顔すればいいの。
あの飴のせいってことは分かってくれたけど、でも痴態を晒した事に変わりは無い。
自分の性欲処理すら自分でできないなんて…。

無意識にごそごそと動き回っていた四肢が感じ取ったのは、肌触りの良いシーツとすべすべの自分の肌。
………体もシーツも、全部綺麗になってる。



無理!!なんで!?
いや、理由は分かりきってるんだけど!


はぁ……後始末までさせるなんて、本当僕って最悪だ。


「アキオ?起きているのか?」

今1番聞きたく無い声が耳元に現れた。

…………

……………もしかしてジルさん、最初から起きてた?

どっちでもいいや。
僕は寝てる。
断じて寝てる。
寝てる、ことにしておきたい。
……けど、ジルさんに狸寝入りがバレないはず無いよな。それに、ここで言葉を交わさなかった場合の明日の気まずさったら、想像もしたくない。


「……………はい」


観念して正直に白状する事を選択した。


「体が辛いだろう。水を飲むか?」

「大丈夫…です」

その心遣いがチクリとするんです。

あんな事させられたのに。
嫌な気分にならないはず無いのに。
どこまでも気遣ってくれる優しさが胸を刺す。


「あの…本当に…」

「謝るな」

「え…」

言葉の先を読まれたかの様に突如静止される。
当然の謝罪を、なぜか遮られてしまった。

「頼む。謝らないでくれ」

その声は、どこか少し辛そうだ。
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