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王都〜第二章〜
家族③
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「いいえ。止めてくれてありがとうございます。言葉にしていたらきっと後悔するところでした」
「父の言うとおり、君は何も心配する事はない」
「その通りだアキオ殿。
そうだな、色々と落ち着いてブランディスが戻ればゆっくりと食事でもしよう」
ジルさんが家族団欒してることろ見れるのか。彼はお家でどんなだろう。どんな幼少期を過ごしたのか、家族そろったらどんな会話をするのか、全部とても興味がある。
ワクワクする気持ちを抑えきれず、つい声が弾む。
「ぜひ。よろしくお願いします」
「準備はジルとブランディスに任せておけば良い。2人とも見かけによらず美味い飯を作る。その間私たちは世間話に花でも咲かせようではないか。君の世界のことも色々聞きたい」
「なんでも聞いてください、僕に答えられることなら。僕も色々聞きたいことがあります」
「よし、決まりだな。何か食べたいものがあればいつでも教えてくれ」
「はい」
ジルさんとブランディスさん、強制的にお料理係になっちゃったけど……きっと美味しい料理が食べられるんだろうな。楽しみ。
でも……そっか。いよいよブランディスさんにも会えるんだ。緊張するけどしっかり挨拶をしなきゃ。最初の印象が肝心だぞ。
いつの日か開かれるお食事会に妄想を膨らませていると、ジルさんが思い出したようにアッザさんに言った。
「ところで、ブランディス父上には王都へ戻ったことをきちんと説明をしてあるのでしょうね」
………………
………………
「…………………問題ない。今した」
「全く……」
アッザさんの返答に呆れた顔をするジルさん。
もしかしたらアッザさんは、ブランディスさんを尻に敷くタイプなのかもしれない。そしてブランディスさんは、アッザさんに振り回される毎日を送っているのかもしれない。
「『ブランディスはとても驚いている』と、精霊が言っている」
「当たり前でしょう。目の前で貴方がいきなり消えて、夜が明けるまで音沙汰無しなのですから。あまり自由奔放にしすぎると、いずれブランディス父上から雷が落ちますよ」
「なぜ私がアイツに叱られなければならん。謎だ。
さて!遅くなったが改めて自己紹介をしようアキオ殿。私はジルルドオクタイ・エーリアル・アッザだ。以後よろしくな」
呆れるジルさんなんてなんのその、アッザさんは元気よく自己紹介を始めて握手の右手を差し出した。
そういえばちゃんと名乗っていなかったと思い、僕もアッザさんに続いた。
「スワ・アキオと申します。よろしくお願いします」
「珍しい響きだな。向こうでは主流か?」
「主流かどうかは分かりませんが、珍しくは無いです。アッザさんは、ミドルネームがあるのですか?」
「ミドルネーム?」
「ニルファルさんがアッザさんのことを『エーリアル殿』って呼んでいたのが気になって」
「これは精霊の名だ。私は空気の精で、ニルファル国王は水の精。このようにウーシットは皆精霊の名を持っている」
「お2人以外のウーシットさんも?」
「ああ。人間は私とアンディーネだけだがな。例えば、美しいブロンドの毛並みを持つ馬の火の精は、遠くモンテという国で遊牧民と生活を共にしている。さらにデジェルトという国には地中に住むモールという小動物が居てな、彼は地の精と呼ばれている」
「へえ……」
「他にもたくさん居るぞ。光の精に風の精、氷に岩に……言い出したらキリが無い。機会があれば合わせてやろう。皆良い奴だ」
「お会い出来るのですか? 楽しみです……!」
浮ついているのを見透かされたのか、アッザさんは僕をじっと見つめる。
だって精霊に会えるって……これが興奮を抑えていられるかってんだ。きっと他の動物も美しいんだろうな。キラキラしてるんだろうな。
「ふむ……君もジルに引けを取らぬくらいにポーカーフェイスだと思っていたが、これほどまで愛らしい顔も見せてくれるのだな。どうだ、ジルに飽きたら私のところに来ないか」
「アッザ父上、ふざけた冗談はおやめください。アキオが困っている」
「困っているかどうかなんてお前に分からんだろう。なあアキオ殿」
「はい。困っていませんよ」
「っ、アキオ?」
「おや……」
ジルさんは驚いたふうな声を上げ、アッザさんも予想外といった表情をしている。
「あ、でも、僕がジルさんに飽きることは無いだろうから……飽きなくても遊びに行っていいですか?」
「「……………」」
2人が凛々しい顔のまま目をぱちくりさせている。そんな表情も絵になるなんて。
それにしても2人はなぜ何も返事してくれないのだろう。
………! もしかして、精霊の方とは気軽に遊んではいけないのだろうか。考えてみればそりゃそうか。彼らはとても貴重な存在で、聞くところによると常に危険に晒されていた時代もあったそうだ。「暇なら野球しよーぜ」みたいに気軽に遊びに誘っていい方々ではないのでは?
謝らなければと口を開きかけたところで、アッザさんとジルさんが親子仲良くひそひそ話し始めた。
「アキオ殿は、なんだろうな。こう……庇護欲が掻き立てられると言うか。心配だ」
「ええ。心配は尽きませんが、私が守ります」
「ほお。お前からそんな言葉が聞けるとは。ブランディスが聞いたら泣いて喜ぶぞ」
親子仲が良いのはとても良いことだけれど、僕には話が読めない。
「えっと……」
「ああすまんなこちらの話だ。いつでも気軽に遊びに来てくれアキオ殿。と言っても私とブランディスが王都に戻ることは稀だがな。こちらに居る時は必ず知らせる。末永く仲良くしようじゃないか」
「はい!」
精霊どうこう抜きにしてアッザさんはとても優しくて話しやすくて楽しい人だから、もっとたくさん話をしてもっと彼のことを知りたい。
今この瞬間、家族のあたたかさが満ち溢れた空間はとても心地が良かった。
「父の言うとおり、君は何も心配する事はない」
「その通りだアキオ殿。
そうだな、色々と落ち着いてブランディスが戻ればゆっくりと食事でもしよう」
ジルさんが家族団欒してることろ見れるのか。彼はお家でどんなだろう。どんな幼少期を過ごしたのか、家族そろったらどんな会話をするのか、全部とても興味がある。
ワクワクする気持ちを抑えきれず、つい声が弾む。
「ぜひ。よろしくお願いします」
「準備はジルとブランディスに任せておけば良い。2人とも見かけによらず美味い飯を作る。その間私たちは世間話に花でも咲かせようではないか。君の世界のことも色々聞きたい」
「なんでも聞いてください、僕に答えられることなら。僕も色々聞きたいことがあります」
「よし、決まりだな。何か食べたいものがあればいつでも教えてくれ」
「はい」
ジルさんとブランディスさん、強制的にお料理係になっちゃったけど……きっと美味しい料理が食べられるんだろうな。楽しみ。
でも……そっか。いよいよブランディスさんにも会えるんだ。緊張するけどしっかり挨拶をしなきゃ。最初の印象が肝心だぞ。
いつの日か開かれるお食事会に妄想を膨らませていると、ジルさんが思い出したようにアッザさんに言った。
「ところで、ブランディス父上には王都へ戻ったことをきちんと説明をしてあるのでしょうね」
………………
………………
「…………………問題ない。今した」
「全く……」
アッザさんの返答に呆れた顔をするジルさん。
もしかしたらアッザさんは、ブランディスさんを尻に敷くタイプなのかもしれない。そしてブランディスさんは、アッザさんに振り回される毎日を送っているのかもしれない。
「『ブランディスはとても驚いている』と、精霊が言っている」
「当たり前でしょう。目の前で貴方がいきなり消えて、夜が明けるまで音沙汰無しなのですから。あまり自由奔放にしすぎると、いずれブランディス父上から雷が落ちますよ」
「なぜ私がアイツに叱られなければならん。謎だ。
さて!遅くなったが改めて自己紹介をしようアキオ殿。私はジルルドオクタイ・エーリアル・アッザだ。以後よろしくな」
呆れるジルさんなんてなんのその、アッザさんは元気よく自己紹介を始めて握手の右手を差し出した。
そういえばちゃんと名乗っていなかったと思い、僕もアッザさんに続いた。
「スワ・アキオと申します。よろしくお願いします」
「珍しい響きだな。向こうでは主流か?」
「主流かどうかは分かりませんが、珍しくは無いです。アッザさんは、ミドルネームがあるのですか?」
「ミドルネーム?」
「ニルファルさんがアッザさんのことを『エーリアル殿』って呼んでいたのが気になって」
「これは精霊の名だ。私は空気の精で、ニルファル国王は水の精。このようにウーシットは皆精霊の名を持っている」
「お2人以外のウーシットさんも?」
「ああ。人間は私とアンディーネだけだがな。例えば、美しいブロンドの毛並みを持つ馬の火の精は、遠くモンテという国で遊牧民と生活を共にしている。さらにデジェルトという国には地中に住むモールという小動物が居てな、彼は地の精と呼ばれている」
「へえ……」
「他にもたくさん居るぞ。光の精に風の精、氷に岩に……言い出したらキリが無い。機会があれば合わせてやろう。皆良い奴だ」
「お会い出来るのですか? 楽しみです……!」
浮ついているのを見透かされたのか、アッザさんは僕をじっと見つめる。
だって精霊に会えるって……これが興奮を抑えていられるかってんだ。きっと他の動物も美しいんだろうな。キラキラしてるんだろうな。
「ふむ……君もジルに引けを取らぬくらいにポーカーフェイスだと思っていたが、これほどまで愛らしい顔も見せてくれるのだな。どうだ、ジルに飽きたら私のところに来ないか」
「アッザ父上、ふざけた冗談はおやめください。アキオが困っている」
「困っているかどうかなんてお前に分からんだろう。なあアキオ殿」
「はい。困っていませんよ」
「っ、アキオ?」
「おや……」
ジルさんは驚いたふうな声を上げ、アッザさんも予想外といった表情をしている。
「あ、でも、僕がジルさんに飽きることは無いだろうから……飽きなくても遊びに行っていいですか?」
「「……………」」
2人が凛々しい顔のまま目をぱちくりさせている。そんな表情も絵になるなんて。
それにしても2人はなぜ何も返事してくれないのだろう。
………! もしかして、精霊の方とは気軽に遊んではいけないのだろうか。考えてみればそりゃそうか。彼らはとても貴重な存在で、聞くところによると常に危険に晒されていた時代もあったそうだ。「暇なら野球しよーぜ」みたいに気軽に遊びに誘っていい方々ではないのでは?
謝らなければと口を開きかけたところで、アッザさんとジルさんが親子仲良くひそひそ話し始めた。
「アキオ殿は、なんだろうな。こう……庇護欲が掻き立てられると言うか。心配だ」
「ええ。心配は尽きませんが、私が守ります」
「ほお。お前からそんな言葉が聞けるとは。ブランディスが聞いたら泣いて喜ぶぞ」
親子仲が良いのはとても良いことだけれど、僕には話が読めない。
「えっと……」
「ああすまんなこちらの話だ。いつでも気軽に遊びに来てくれアキオ殿。と言っても私とブランディスが王都に戻ることは稀だがな。こちらに居る時は必ず知らせる。末永く仲良くしようじゃないか」
「はい!」
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今この瞬間、家族のあたたかさが満ち溢れた空間はとても心地が良かった。
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