【完結】眠れぬ異界の少年、祓魔師の愛に微睡む

丑三とき

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湖畔の孤児、祓魔師の愛を悟る

12.お出かけ①

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「私、身なりのことはあまりわかりませんので……ニエルドさんが選んでくださいませんか? 」

 私の願いに、ニエルドさんは少し困ったように頭を掻きながらも、真剣に考えてくれた。

「とはいえ、俺もセンスがあるわけじゃねえんだが……水色の髪にはこの白なんかよく映えると思うんだがどうだ。ああいや、こっちの黒もいいな。下にこれを合わせて……今日は肌寒いから、この上着も着ていくといい」

 私の体に色々な服を当てて考え込むニエルドさんは、とても楽しそうだった。

 思えば、勉強している時は本やノートと睨めっこしているから、ニエルドさんの顔をまじまじと見ることは少ない。もしかすると、私に勉強を教えてくれている時もこんなふうにワクワクした表情をしているのだろうか。

 
 彼の選んだ服に着替えると、生地の上質さに少し戸惑った。これまで着てきた服とは、まるで違う。

 それでもしばらくすると体に馴染んでくる。やはり良いものというのは、たとえ私のような者が着てもちゃんと似合うように作られているのだろう。

 それよりも、自分の姿がニエルドさんの目にどう映っているかが気になった。

「どうでしょうか、ニエルドさん。私、こういうちゃんとした服は初めてなので……これで、合っていますか?」

 あまりにも似合っていなかったら、せっかく選んでくださったのに申し訳ない。そんな不安を抱えながら、緊張して尋ねた。

 ニエルドさんは私を下から上へとゆっくり見つめ、満足そうに頷いた。

「おお、良いじゃないかパネース! やっぱりお前はこういう服も似合う。俺の見込んだ通りだ」

 胸がぽかぽかと温かくなったのも束の間、「早速街へ向かおう」というテンション高めのニエルドさんの言葉に、緊張が迫ってくる。

 そうだった。そういう話だった。
 プレゼントしてもらった服に感動していて忘れかけていたが、そもそも、「一緒に街に行こうーという話から始まったんだった。

 ニエルドさんのいう通り、何事にも挑戦してみて、それで合わなければやめれば良い——それは分かっているが、最初の一歩というのはいつも躊躇してしまうものだ。

 でも、彼が一緒なら不安になる必要はないと思っているのも事実。

「ニエルドさんと初めてのお出かけ……とっても緊張しますが、楽しみです」

 正直な思いを告げ終えると、彼の掌がそっと私の頭に置かれた。大きく温かな手が髪を梳くたび、やわらかで揺るぎない力が静かに胸のざわめきを鎮めていく。

「ニエルドさんは、頭を撫でるのがお好きですね」

 私もこうされるのが好きだ。
 
 そうだ。されて嬉しいことは、相手もされたら嬉しいはずだ。

 そう思いついた私は、即座に提案した。

「私も、ニエルドさんの頭を撫でてみても良いですか?」

 我ながら良い提案だったように思うが、対するニエルドさんはというと、目を点にしてゆっくりとした瞬きを三度ほど寄越した。
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