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東の祓魔師と側仕えの少年
6.魔物を祓う者①
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朝食を食べた後、早速ウラーさんの "教育" は始まった。教育といってもお部屋で食後のお茶を飲みながらだけど。良かった、講義室で学校の授業みたいなのされたらきっと頭に入って来ないから。
ちなみにフレイヤさんはお仕事に行っているらしい。マバライシっていうのがお仕事なのかな。
「まず初めに、わたくしに対する敬語をやめていただきましょうか」
「先生質問」
「はいハルオミ殿」
「どうしてですか?」
「フレイヤ様が貴方に敬語を控えるよう仰ったのなら、わたくしに使っていただく訳にはいきません。フレイヤ様はこの屋敷のいわば主、わたくしはただの執事なのですから」
「じゃあ……お言葉に甘えて。
でも、どうしてウラーさんはフレイヤさんを敬うのに、側仕えの僕はフレイヤさんに親しくして良いの? 本当に彼に敬語使わなくていいのかな」
「そうですね……では最初に、魔祓い師の役割から説明しましょうか」
「お願いします」
「まず、この世界には魔物と呼ばれる生き物がいて、魔物が蔓延る領域を "伏魔域" と呼んでいます。
そしてこの世界には5つの国が存在しており、全ての国は四方を伏魔域に囲まれている。つまり人々は日々魔物の脅威にさらされているのです。魔物は普通の武器や魔術では祓えないので、わたくしどものような一般人には太刀打ちできない。魔物を祓えるのは魔祓い師だけなのです」
この世界、魔物なんているんだ。魔物って何だっけ。砂かけばばあとか?
「魔祓い師の皆さんはどうやって魔物を祓うの?」
「魔物を体内に取り込むのです」
「取り込む……?」
砂かけばばあを、取り込むの?
「取り込んで、消化する。食べ物を食べて消化するのに仕組みは似ています。非常に単純な方法ですが、それが出来るのは数万年前から続く祓魔家の人間に限られています。そして一時的にでも魔物を取り込むことで魔祓い師の体には様々な異変が起きます。
例えば、全身の皮が剥がれ落ちるまで肌を掻きむしりたくなるほどの恐怖に苛まれたり、視界が歪み気を失うほどの頭痛、ひどい幻聴や幻視……挙げればきりがありません」
想像していたよりも随分と過酷な業務内容に思わず息を呑んだ。
「そんなリスクを負ってまで、なんで」
「魔祓い師が魔物を祓わなければ、この世界はたちまち魔物に支配されてしまいますから。ですから、祓魔家の皆様方は世界中の人々から英雄と讃えられております」
「いくら英雄と言われたって、そんな辛いことを続けなきゃいけないなんて、かなり過酷だね……」
「だからこそ! 彼らにとっての側仕えというのは命と同等に大切な存在なのです。側仕えは魔祓い師の方々の心身を癒し、祓魔の副作用から守る。それはそれは素晴らしいお仕事なのです!!!」
ウラーさんは鼻息荒く演説をする。
でもどうしてもわからない。
「側仕えはどうやって魔祓い師を癒して…」
疑問を呈すると、僕の台詞を聞き終わらないうちにウラーさんが前のめりになりながら人差し指を立てた。どうやら今から1番重要なことを言うらしい。
「魔物に侵された魔祓い師を癒すもの! それは、その魔祓い師が自ら選んだ側仕えとの性的接触です!」
「性的…接触……」
「つまり性行為です」
わ、はっきり言った。
なるほどね。だから昨日お風呂でいやらしい触り方をされたんだね。
「それが一番効果的と言われております。魔物に侵された魔祓い師の脳内物質のバランスは、もうガッチャンガッチャンのカッスカスになっています」
この人の説明分かりやすいのか分かりにくいのか分からないな。
「性行為を行うことで、鎮痛効果のある脳内物質や、精神を安定させたり不安を和らげるホルモンが分泌されるのです。普通の人間にとってはせいぜい快楽としか感じない行為でも、魔祓い師にとっては命綱。側仕えの存在がなければ、魔祓い師は死んだも同然です」
ウラーさんは静かに座り、真剣な表情で僕の目をじっと見ながら言った。
ちなみにフレイヤさんはお仕事に行っているらしい。マバライシっていうのがお仕事なのかな。
「まず初めに、わたくしに対する敬語をやめていただきましょうか」
「先生質問」
「はいハルオミ殿」
「どうしてですか?」
「フレイヤ様が貴方に敬語を控えるよう仰ったのなら、わたくしに使っていただく訳にはいきません。フレイヤ様はこの屋敷のいわば主、わたくしはただの執事なのですから」
「じゃあ……お言葉に甘えて。
でも、どうしてウラーさんはフレイヤさんを敬うのに、側仕えの僕はフレイヤさんに親しくして良いの? 本当に彼に敬語使わなくていいのかな」
「そうですね……では最初に、魔祓い師の役割から説明しましょうか」
「お願いします」
「まず、この世界には魔物と呼ばれる生き物がいて、魔物が蔓延る領域を "伏魔域" と呼んでいます。
そしてこの世界には5つの国が存在しており、全ての国は四方を伏魔域に囲まれている。つまり人々は日々魔物の脅威にさらされているのです。魔物は普通の武器や魔術では祓えないので、わたくしどものような一般人には太刀打ちできない。魔物を祓えるのは魔祓い師だけなのです」
この世界、魔物なんているんだ。魔物って何だっけ。砂かけばばあとか?
「魔祓い師の皆さんはどうやって魔物を祓うの?」
「魔物を体内に取り込むのです」
「取り込む……?」
砂かけばばあを、取り込むの?
「取り込んで、消化する。食べ物を食べて消化するのに仕組みは似ています。非常に単純な方法ですが、それが出来るのは数万年前から続く祓魔家の人間に限られています。そして一時的にでも魔物を取り込むことで魔祓い師の体には様々な異変が起きます。
例えば、全身の皮が剥がれ落ちるまで肌を掻きむしりたくなるほどの恐怖に苛まれたり、視界が歪み気を失うほどの頭痛、ひどい幻聴や幻視……挙げればきりがありません」
想像していたよりも随分と過酷な業務内容に思わず息を呑んだ。
「そんなリスクを負ってまで、なんで」
「魔祓い師が魔物を祓わなければ、この世界はたちまち魔物に支配されてしまいますから。ですから、祓魔家の皆様方は世界中の人々から英雄と讃えられております」
「いくら英雄と言われたって、そんな辛いことを続けなきゃいけないなんて、かなり過酷だね……」
「だからこそ! 彼らにとっての側仕えというのは命と同等に大切な存在なのです。側仕えは魔祓い師の方々の心身を癒し、祓魔の副作用から守る。それはそれは素晴らしいお仕事なのです!!!」
ウラーさんは鼻息荒く演説をする。
でもどうしてもわからない。
「側仕えはどうやって魔祓い師を癒して…」
疑問を呈すると、僕の台詞を聞き終わらないうちにウラーさんが前のめりになりながら人差し指を立てた。どうやら今から1番重要なことを言うらしい。
「魔物に侵された魔祓い師を癒すもの! それは、その魔祓い師が自ら選んだ側仕えとの性的接触です!」
「性的…接触……」
「つまり性行為です」
わ、はっきり言った。
なるほどね。だから昨日お風呂でいやらしい触り方をされたんだね。
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ウラーさんは静かに座り、真剣な表情で僕の目をじっと見ながら言った。
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