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東の祓魔師と側仕えの少年
37.それぞれの覚悟①
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————————SideFreyja————————
父に報告をした。ハルオミが私の半身で間違いないこと、私に猶予がほとんど残されていないこと、呪いを解くにはハルオミと番つがうしか方法が無いこと、成功する確率は半々だということ。
「お前が決めろ」と言われた。
これしか方法がないことはわかっている。
方法があるだけでも恵まれていると思う。
ハルオミとしっかり話し合って意見を十分に交わしてから決めたい。しかし私には時間は残されていない。
とにかく今はハルオミが心配だ。二度の転移魔法によって顔が青ざめている。
寝台で弱る彼に水を持って行くと、ありがとう、と言って一口飲んだ。
「しばらく横になっていなさい。食事をする気にはなれないだろう。冷たい果実水でも作ろうか」
「ううん……大丈夫。フレイヤさん、手を握って」
小さな声で囁き私の袖を掴むハルオミは、どこか切なく見える。
「ああ。こうかい?」
床に跪き彼の小さな手を両手で握る。
「うん。ずっとそうしていてほしい。どこにも、行かないで」
「ずっとここにいるよ」
こんなふうに弱る彼は珍しくて、心がざわめく。今にも消えてしまいそうなほど儚くて、私は無意識に彼を腕の中に抱き込んだ。
「ハルオミ、何か難しいことを考えていたのかい? 辛そうな顔をしている」
「……もし失敗したらどうしようって考えてた。失敗したら、フレイヤさんの呪い、解けないままでしょう?」
「ハルオミは優しいね。私のことを考えてくれていたんだね」
彼は腕の中で不安そうに俯いた。
そして私の背に手を回し、精一杯の力を込めた。
「僕ね、この世界に来たのはね、たぶんフレイヤさんに会うためだと思う」
「私に?」
「フレイヤさんといると心がふわって軽くなる。フレイヤさんがいないと生きていけないって何故だか思う。出会えなかった人生は考えられない。フレイヤさんも……僕といるとそうなる?」
「ああ、私も同じだ。君を見ているだけで心に光が灯ったように明い気持ちになる。こんなふうに触れていると胸のつかえが全て無くなり、欠けていた部分が全て温もりで満たされる」
「ほんとに? ほんとのほんと?」
「ああ、私は嘘は言わないよ」
「嬉しい……」
彼の腕の力が弱まったので、私は身を離しハルオミの大きな黒い瞳を覗く。この目で見られると、心の中の全てを暴かれているような気さえする。それも不快ではない。むしろ全てを彼に捧げたい。
「僕たち、きっと番えるよね?」
彼の目には、覚悟が灯っていた。
「ああ。きっと番える」
私の返答に、ハルオミは満足げに微笑んだ。
最初に出会った時よりも彼の目の下はだいぶ健康的な血色に戻った。何度もそこ撫でると、皮膚の薄い瞼が重く瞳にのしかかろうとした。その重力に抗うように目を開き抵抗しているのがなんとも愛らしい。
「眠たいのだろう。ゆっくり眠りなさい」
「でも……眠ったら、フレイヤ、さんの、顔……見れなく……」
ハルオミは意識を手放すまで抵抗を続け、ついに夢の中に堕ちていった。
「ハルオミ……愛している」
父に報告をした。ハルオミが私の半身で間違いないこと、私に猶予がほとんど残されていないこと、呪いを解くにはハルオミと番つがうしか方法が無いこと、成功する確率は半々だということ。
「お前が決めろ」と言われた。
これしか方法がないことはわかっている。
方法があるだけでも恵まれていると思う。
ハルオミとしっかり話し合って意見を十分に交わしてから決めたい。しかし私には時間は残されていない。
とにかく今はハルオミが心配だ。二度の転移魔法によって顔が青ざめている。
寝台で弱る彼に水を持って行くと、ありがとう、と言って一口飲んだ。
「しばらく横になっていなさい。食事をする気にはなれないだろう。冷たい果実水でも作ろうか」
「ううん……大丈夫。フレイヤさん、手を握って」
小さな声で囁き私の袖を掴むハルオミは、どこか切なく見える。
「ああ。こうかい?」
床に跪き彼の小さな手を両手で握る。
「うん。ずっとそうしていてほしい。どこにも、行かないで」
「ずっとここにいるよ」
こんなふうに弱る彼は珍しくて、心がざわめく。今にも消えてしまいそうなほど儚くて、私は無意識に彼を腕の中に抱き込んだ。
「ハルオミ、何か難しいことを考えていたのかい? 辛そうな顔をしている」
「……もし失敗したらどうしようって考えてた。失敗したら、フレイヤさんの呪い、解けないままでしょう?」
「ハルオミは優しいね。私のことを考えてくれていたんだね」
彼は腕の中で不安そうに俯いた。
そして私の背に手を回し、精一杯の力を込めた。
「僕ね、この世界に来たのはね、たぶんフレイヤさんに会うためだと思う」
「私に?」
「フレイヤさんといると心がふわって軽くなる。フレイヤさんがいないと生きていけないって何故だか思う。出会えなかった人生は考えられない。フレイヤさんも……僕といるとそうなる?」
「ああ、私も同じだ。君を見ているだけで心に光が灯ったように明い気持ちになる。こんなふうに触れていると胸のつかえが全て無くなり、欠けていた部分が全て温もりで満たされる」
「ほんとに? ほんとのほんと?」
「ああ、私は嘘は言わないよ」
「嬉しい……」
彼の腕の力が弱まったので、私は身を離しハルオミの大きな黒い瞳を覗く。この目で見られると、心の中の全てを暴かれているような気さえする。それも不快ではない。むしろ全てを彼に捧げたい。
「僕たち、きっと番えるよね?」
彼の目には、覚悟が灯っていた。
「ああ。きっと番える」
私の返答に、ハルオミは満足げに微笑んだ。
最初に出会った時よりも彼の目の下はだいぶ健康的な血色に戻った。何度もそこ撫でると、皮膚の薄い瞼が重く瞳にのしかかろうとした。その重力に抗うように目を開き抵抗しているのがなんとも愛らしい。
「眠たいのだろう。ゆっくり眠りなさい」
「でも……眠ったら、フレイヤ、さんの、顔……見れなく……」
ハルオミは意識を手放すまで抵抗を続け、ついに夢の中に堕ちていった。
「ハルオミ……愛している」
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