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東の祓魔師と側仕えの少年
58.久しぶりの入浴にかける思い①
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目覚めてから3日間ほどは起き上がる力も無かったが、ようやくベッドの上でもたれかかって座位を取れるくらいには体力が回復してきた。ちなみにずっと身の回りの世話をしてくれているのは何を隠そうフレイヤさんだ。この状況を見て、何も知らない人にどちらが側仕えか聞けばおそらく9割の人間が彼だと答えるだろう。
その彼はしばらく魔祓い師としての業務を休んでいる。なぜならば、魔物の影響を受けた場合、側仕えの僕が彼を癒せる状態では到底ないからだ。
ニエルド様やビェラ様に、何よりフレイヤさんの代わりを務めるギュスター様に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだけれど、フレイヤさんと四六時中一緒にいられる嬉しさが勝まさってしまう僕はやはりゲンキンな奴だと思う。
クールベ様も時々様子を見に来てくれる。
僕たちの首筋に咲く花紋やフレイヤさんの体の状態を見て、番になることと呪いを解くこと、その両方が完全に成功したと告げられた時は喜びで身震いが止まらなかった。
全部終わった。全部成功した。
生まれて初めて感じる達成感のようなものに胸をくすぐられながら、ほっと息をついた。
あとは僕が元気になるだけ。たくさん食べてたくさん寝た。
そして、僕は4日ぶりにお風呂に入ることを許された。
寝ている期間も含めればもっと長らく入ってなかったし、お風呂に入らずともフレイヤさんが身体に浄化魔法をかけてくれていたから体は清潔だったけど、やっぱり日本人にとってお風呂は特別だよなあ。
しかもここのお風呂は広くて足が伸ばせるんだ。最高以外のなにものでも無いでしょ。
といってもまだ歩くのもおぼつかないので、フレイヤさんに抱きかかえられながら脱衣所に運ばれ、介助を受けるかのように服を脱がされる。
手を煩わせて申し訳ない。
でも念願の湯船はもうすぐ目の前にある。期待に胸を膨らませてフレイヤさんに『運んでくれ』とばかりに手を伸ばすと、なぜか服を脱ぎ出す彼がそこには居た。
「ふ、フレイヤさんも一緒に入るの?」
「ああ、浴槽で君が溺れてしまっては大変だろう? 一緒なら、支えながら入れるからね」
………ふーん、それはいい考えだね。
でもね、フレイヤさん。裸で密着なんてしたら、僕、どうなるかわからないけど……
いやいや、だめた。そんなことしたらまた体調が悪化してしまう。今は元気になることだけを考えるんだ。
一糸纏わぬフレイヤさんは相変わらず凄かった。
服の中のどこにそんな筋肉を隠しているか知らないけど、筋肉で美しく凹凸しているお腹や血管の浮き出る腕などが、僕の目の中で暴れ回っている。どういう意味かというと、エロいから目のやり場に困っているという意味だ。
こっちの気も知らず彼は同じく一糸纏わぬ僕を抱えて浴室に足を踏み入れた。
シャワーの温度を調節し、加減しながら少しずつ僕の体にかける。ちなみにこの時の我々の体勢はというと、浴槽のヘリに腰掛けたフレイヤさんのお膝の上に僕が腰掛けている状態。
「ハルオミ、湯加減は大丈夫か?」
「大丈夫、です」
大丈夫じゃないです。
フレイヤさんはなんでそんなに涼しい顔してるの?
そりゃフレイヤさんのように魅力的な体をしていない僕の裸を見ても欲情しないかもしれないけどさ。僕だけ余裕が無いこの状況がいたたまれない。
おとなしく体を洗われている間、僕は自分の中の何かが爆発してしまわないよう抑え込むので精一杯だった。
「さて、ハルオミお待ちかねの湯船に浸かろうか」
「う、うん」
フレイヤさんは僕を抱えて湯船に浸かり、脚の間に僕を座らせた。
「どうだい久しぶりのお風呂は。ハルオミとても入りたがっていたからね。やはり君の住んでいた国では風呂は特別なのかい?」
「そう……だね。お風呂屋さんもあるよ。温泉とか、銭湯って言ってね、お客さんみんなでお風呂に入るんだ」
こうなったら会話で気を紛らわせるしか無い。
「…………」
僕の必死の会話を、フレイヤさんはキャッチボールしてくれなくなった。帰ってこない返事に後ろを向くと、なんとも読めない表情をしていた。
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