119 / 176
続編その①〜初めての発情期編〜
27.胸キュン
しおりを挟む◆
「なんだか起こすの勿体無いね」
「こんなに可愛らしいお顔を見る事も、普段はなかなかできないですしね」
「こいつの寝顔見ながら俺らだけで食おうぜ」
僕たちは今、三人してウラーさんを取り囲み穏やかな寝顔をまじまじ拝見している。いつも整髪料で整えられている髪の毛はサラッと眉毛にかかっていて、まつ毛はどこぞの少女のように長い。
「寝かせてあげたいけど食べさせてあげたい。んー、悩ましい」
「んじゃ、とりあえず一回起こしてみて起きなかったらそのままにしとこうぜ」
「そうですね、硬いテーブルに伏せて寝たままなのも体に良くないですし、一度起こしてみましょうか」
パネースさんはそう言ってウラーさんの前にしゃがみ、目線を合わせた。そしてウラーさんの頬をつん、とつつきながら「朝ですよ~」と言う。
何その起こし方。べらぼうに可愛いのですが。
頬つんされたウラーさんは、目にぎゅっと力を入れて「んん~~……」と言葉にならない声を控えめに上げた。
「ウラー、起きねえとハルオミの"おはぎ"食べらんねえぞー」
「んむ、た、べ……る……」
「「「!!!」」」
僕ら三人の胸には、同時にズキュンと何かが音を立てて突き刺さってきた。
「ウラーさんって、もしかして寝起きが一番可愛いかったりする?」
「彼が寝ているところは何度か見かけた事がありますが、起きたてホヤホヤの状態は無いですね」
つんつん、と頬をつつき続けながらパネースさんが言うと、ウラーさんはそれが煩わしかったのか、むぐむぐと口をすこし動かして頬の刺激をいなそうとしている。
「食べてる、夢の中でハルオミのおはぎ食べてる」
「っ……イザベラ、可愛いこと言わないでよ……! もうそうにしか見えなくなったじゃん!」
「こいつ、ずっと寝起きだったら面白いのに(つんつん)」
「……やめ、ろ……」
「夢の中でも口は悪いんだ……」
「ほーら、早く起きねえとおはぎ全部食っちまうぞ~」
「んん~、や……だ……」
「「「…………」」」
僕たちは思った。
それ以上可愛くしようものなら、僕たちがウラーさんを食べちゃうぞ、と。
「……クールベさん、いつもこんなウラーさん見てるのかな」
「なんだか母性をくすぐられますね」
「意地悪したくなるよな」
各々ウラーさんへの感想を言い合いながらキュンキュンしていると、ゆっくりと目が開き始めた。
「お、起きた」
「ウラーさんおはぎ食べる? それともやっぱりベッドで寝る?」
「……………ん……」
のっそりのっそりと上体を起こす彼を見守りながら返答を待つ。……が、トロンとした目でぼーっと遠くを見つめるだけで、黙り込んでしまった。
普段キリッと引き締まっているお顔がこんなにポヤポヤに……赤ちゃんみたい。僕とイザベラとパネースさんは気が付かぬうちに表情が緩み、まるで親のような気持ちでウラーさんの意識がしっかりするのを待った。
24
あなたにおすすめの小説
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。
おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。
✻✻✻
2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。
イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺
ユッキー
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。
大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと
mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36)
低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。
諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。
冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。
その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。
語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる