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子は鎹
165 根を積める
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永華が記憶を取り戻したくないといった日から、カルタは永華を避け始めた。
いや、正確に言えば避けているつもりはないのだろう。
永華よりも優先すべきことがあるだけで、今までのように永華の世話を焼いている暇がなくなってしまったのだ。
暇があれば図書館に赴き、暇があればノートに文字を書く。
誰かが声をかければ答えるが、遊びに誘われたとしても行くことはない。
何かに取り憑かれたかのように、ただひたすらに本を読み、ペンを動かす。
なんでそんな風になったのか。
永華が記憶も魔法もなくしてしまったことから元の世界に帰るための方歩を探すのも、その方法のひとつである王宮魔導師になるのも、自ら一人でしなければ行けなくなったからである。
二人の時でさえ帰る方法は見つかる気配がなかったし、王宮魔導師になれるかどうかだってわからなかった。
だから、一人になった今、今まで以上に努力する他ないのだ。
寝る間もおしんで努力していた。
それをみた永華やローレス達がなにも言わない、ということもなく、寝る間もおしんでいるということもあり声をかけるものの、はぐらかされてしまう。
カルタがそんな生活を始めて一週間、カルタの夢に再びカライトが現れた。
カルタ視点
王宮魔導師になるには知識も技術も中途半端ではけない。
魔法に関しては一流であることが当たり前だ。
だから、睡眠時間も削って勉強していたんだが……。
気がついたら、あの白い四角が延々と続く空間にいた。
チラリと前回の記憶がよみがえって、心のもやがかかる。
カライトは僕のことを助けるといいつつも、僕のトラウマを踏まれるという展開は静観するあたり本当に命だけ助けるつもりなのかもしれない。
いや、違うか。
今回の件に戌井が関係していること、戌井との関係に溝が入って欲しいと言っていたことをふまえると、戌井が関係しているから、ろくに情報を与えなかったとも考えられるか。
なんにせよ、今回は必ず情報を引き出す。
「ふぅ……次は何を言いに来た?」
振り替えれば、そこにはカライトがいた。
「やぁ、篠野部カルタくん」
その綺麗な笑みに舌打ちをこぼしたくなった。
「そんなに急かさなくてもいいじゃん。どうせ当分目を覚まさないし、起こしてあげる気はないんだから」
「は?」
「私、知ってるよ?ここ最近の君は徹夜ばっかり、寝てるとしても数時間だけ。今回は寝落ちしたところを招待したけど、そのうち倒れるよ?一週間だっているのに、濃い隈できちゃってさ」
カライトが自分の目の下を指差す。
つられて僕も目の下を触るが、自分ではわからないものだ。
「それ、君に関係あるか?」
「ないと言えばないけど……。寝ないと判断能力落ちちゃうよ?そのせいで君に早死にされたらたまったもんじゃないんだから、やめてよね」
「ふん、僕の勝手だ」
僕がそういえばカライトは困った顔をして、唸りだした。
「う~ん、頑固……」
怪しい人間の言葉を聞き入れたくないだけだ。
「それで、何のようだ」
「もしかしてここにいたくないって思ってる?」
「思ってる」
「う、う~ん。呼び込んでる身としては複雑だな」
正直、ここに良い思い出なんてものは無いし、前の時に引き留められたせいで戌井のもとに行くのが遅れてしまったこともあるから苦手意識がある。
「はぁ、じゃあ、ご要望通りに用件に入ろうか」
そんなワガママをいう子供を見るような目で僕を見るな。
「さて、先に確認だけど、前回のことをふまえて私の“予言”を信じてくれるかな?」
「“予言”はな」
「私は信じないと?」
「見た目が怪しすぎる」
「黒いのは好きでなってるわけじゃないから!」
それでも、だ。
というか、趣味とか固有のものじゃなかったのか。
ならカライトの特徴として一部を除いた白黒カラーは使えないな。
「はぁ、もういいや。今回きた理由ね、君これからろくでもない奴にあうよ」
「ろくでもない?」
そう聞いて頭の中に思い浮かんだのはローシュテールと人身売買に手を出していた他国の冒険者だった。
「そう。多分、思い浮かんでいるだろうローシュテールや人身売買してた冒険者達よりも酷いよ。人を人とも思わぬ所業ってあんなのをいうんだろうね」
あれらよりも酷いのか……。
そう思った瞬間、心が重たくなった。
「避けられないのか?」
「向こうから来るっぽいからな~……。タイミング図ってるみたいだから、一回避けたとしても別のとこであうと思うよ」
「向こうから……?」
「そう。で、君にお誘いをかける」
「誘い?」
「“私達のもとならば、記憶喪失になった者の記憶を取り戻すことも、“魔術師殺しの劇薬”の解毒薬も、手に入れることができます”って」
僕からすると、その条件は魅力的に写るがカライトが警告に来るような、怪しい人物の誘いに乗るほどのものでもないな。
「“故郷に帰るお手伝いもします”とも言うね」
「相手のメリットがまるでないな」
「そりゃ、篠野部カルタを手に入れることが目的だからね。ある術に君を使いたいんだよ」
「生け贄か?」
「いや、違うね。君と同じ条件の生け贄ならアスロンテ軍学校の柴がいるでしょ」
同性、同い年、同じ異世界人……。
確かに、必要そうな条件は同じだな。
襲撃を失敗して身の安全のために引きこもっている僕よりも、そちらを狙うほうが色々と特で簡単に事が運ぶだろう。
「なら一体なんだ?」
「それは……」
僕の質問にカライトは言いよどんだ。
「……知ったら、調べようとするか。うん、言わない!」
「言い笑顔で言ったな……」
もう、ほんと綺麗な笑顔で言いきった。
「それ、僕が自力でたどり着けると思わないのか?」
「思わないね。私の知ってる“カルタ”は、自分達が狙われていることはわかっていたけど情報が少なすぎて真の目的にたどり着く前に殺されたもの」
“情報が少なすぎて目的にたどり着けなかった”ということは、僕たちを殺すことが目的ではないなのか。
もしかして、僕たちを呼んだのは僕たちを狙っているもの達なのか?
「そもそも、調べたとしても簡単に情報は集まらないよ。私も自分で調べてみたけど、私が見つけた情報でたどり着けるなら、最初から何かしら知っている者だろうね」
カライトがどれほど調べたのかわからないが、カライトの言い分を真正面から信じるとするなら、もうそれは情報が隠匿されているとしか思えない。
「あ、もしかしたら家族の話もしてくるかもしれないから気をつけてね」
「は?いや、待て、この世界において僕の家族の事を調べようとするなんて無理だろう!?」
「私だって、詳しいことはわからないよ。でも、戌井永華の過去も、“カルタ”の過去も奴らは把握してたんだ。何かあるのは間違いないけど、その“何か”の正体までは……」
カライトの発言に僕は眉間にシワを寄せる他無かった。
「知らない、わからない。そればっかりだな。そんなに情報が少ないのに、よく僕を助けるなんて言ったものだ」
「……仕方ないじゃん。情報を持ってそうな人や関係者のほとんどが死んだんだからさ」
「は?ど、どういうことだ……」
カライトの言葉に冷や汗が流れた。
「はは、君は知らなくて良いことだよ。戌井永華の失態がな蹴らば起こらない未来のはずだからね」
関係者がほとんど死んでしまうような事件が起きるってことだよな?
戌井がなにかをして、僕が死ぬことになる。
その結果、死人が大量に出るような惨劇が起きる。
……カライトが戌井を嫌って、憎んでいるようにも見える理由は、その大量の死人が原因なんだろうか?
これなら納得がいくし、僕を生かそうと行動している理由が説明がつく。
「教えてくれといっても教えてくれないのか?」
「今は知らなくて良いよ。知ってたら、あとあと厄介ごとに巻き込まれるかもしれないしからね。余計なことは知らなくて良いんだよ」
教えてくれる気はないのか……。
「この話はここでおしまいだよ。それじゃあ、声をかけてくるだろう不審者に、モカノフに気をつけて。モカノフは、モカノフ達は危ないから」
“モカノフ”?
カライトが戌井と僕以外の人物名を出したのは今回が始めてだった。
「また、いきなりさよならか?」
「うん、そう。じゃあね?」
視界が暗転した。
無理矢理、目を開く。
すぐに目に入ったのは文字だった。
……そうだ。
図書館で勉強しているときに寝落ちしたんだった。
「はぁ……」
“モカノフ”か。
起き上がって、窓から空を見上げる。
一週間前に引き続き、雲行きは怪しいものになっていた。
「覚えていて損はないな」
さて、勉強の再開だ。
……途中で、記憶を取り戻す方法でも見つかれば、気が楽になるのだろうか。
いや、正確に言えば避けているつもりはないのだろう。
永華よりも優先すべきことがあるだけで、今までのように永華の世話を焼いている暇がなくなってしまったのだ。
暇があれば図書館に赴き、暇があればノートに文字を書く。
誰かが声をかければ答えるが、遊びに誘われたとしても行くことはない。
何かに取り憑かれたかのように、ただひたすらに本を読み、ペンを動かす。
なんでそんな風になったのか。
永華が記憶も魔法もなくしてしまったことから元の世界に帰るための方歩を探すのも、その方法のひとつである王宮魔導師になるのも、自ら一人でしなければ行けなくなったからである。
二人の時でさえ帰る方法は見つかる気配がなかったし、王宮魔導師になれるかどうかだってわからなかった。
だから、一人になった今、今まで以上に努力する他ないのだ。
寝る間もおしんで努力していた。
それをみた永華やローレス達がなにも言わない、ということもなく、寝る間もおしんでいるということもあり声をかけるものの、はぐらかされてしまう。
カルタがそんな生活を始めて一週間、カルタの夢に再びカライトが現れた。
カルタ視点
王宮魔導師になるには知識も技術も中途半端ではけない。
魔法に関しては一流であることが当たり前だ。
だから、睡眠時間も削って勉強していたんだが……。
気がついたら、あの白い四角が延々と続く空間にいた。
チラリと前回の記憶がよみがえって、心のもやがかかる。
カライトは僕のことを助けるといいつつも、僕のトラウマを踏まれるという展開は静観するあたり本当に命だけ助けるつもりなのかもしれない。
いや、違うか。
今回の件に戌井が関係していること、戌井との関係に溝が入って欲しいと言っていたことをふまえると、戌井が関係しているから、ろくに情報を与えなかったとも考えられるか。
なんにせよ、今回は必ず情報を引き出す。
「ふぅ……次は何を言いに来た?」
振り替えれば、そこにはカライトがいた。
「やぁ、篠野部カルタくん」
その綺麗な笑みに舌打ちをこぼしたくなった。
「そんなに急かさなくてもいいじゃん。どうせ当分目を覚まさないし、起こしてあげる気はないんだから」
「は?」
「私、知ってるよ?ここ最近の君は徹夜ばっかり、寝てるとしても数時間だけ。今回は寝落ちしたところを招待したけど、そのうち倒れるよ?一週間だっているのに、濃い隈できちゃってさ」
カライトが自分の目の下を指差す。
つられて僕も目の下を触るが、自分ではわからないものだ。
「それ、君に関係あるか?」
「ないと言えばないけど……。寝ないと判断能力落ちちゃうよ?そのせいで君に早死にされたらたまったもんじゃないんだから、やめてよね」
「ふん、僕の勝手だ」
僕がそういえばカライトは困った顔をして、唸りだした。
「う~ん、頑固……」
怪しい人間の言葉を聞き入れたくないだけだ。
「それで、何のようだ」
「もしかしてここにいたくないって思ってる?」
「思ってる」
「う、う~ん。呼び込んでる身としては複雑だな」
正直、ここに良い思い出なんてものは無いし、前の時に引き留められたせいで戌井のもとに行くのが遅れてしまったこともあるから苦手意識がある。
「はぁ、じゃあ、ご要望通りに用件に入ろうか」
そんなワガママをいう子供を見るような目で僕を見るな。
「さて、先に確認だけど、前回のことをふまえて私の“予言”を信じてくれるかな?」
「“予言”はな」
「私は信じないと?」
「見た目が怪しすぎる」
「黒いのは好きでなってるわけじゃないから!」
それでも、だ。
というか、趣味とか固有のものじゃなかったのか。
ならカライトの特徴として一部を除いた白黒カラーは使えないな。
「はぁ、もういいや。今回きた理由ね、君これからろくでもない奴にあうよ」
「ろくでもない?」
そう聞いて頭の中に思い浮かんだのはローシュテールと人身売買に手を出していた他国の冒険者だった。
「そう。多分、思い浮かんでいるだろうローシュテールや人身売買してた冒険者達よりも酷いよ。人を人とも思わぬ所業ってあんなのをいうんだろうね」
あれらよりも酷いのか……。
そう思った瞬間、心が重たくなった。
「避けられないのか?」
「向こうから来るっぽいからな~……。タイミング図ってるみたいだから、一回避けたとしても別のとこであうと思うよ」
「向こうから……?」
「そう。で、君にお誘いをかける」
「誘い?」
「“私達のもとならば、記憶喪失になった者の記憶を取り戻すことも、“魔術師殺しの劇薬”の解毒薬も、手に入れることができます”って」
僕からすると、その条件は魅力的に写るがカライトが警告に来るような、怪しい人物の誘いに乗るほどのものでもないな。
「“故郷に帰るお手伝いもします”とも言うね」
「相手のメリットがまるでないな」
「そりゃ、篠野部カルタを手に入れることが目的だからね。ある術に君を使いたいんだよ」
「生け贄か?」
「いや、違うね。君と同じ条件の生け贄ならアスロンテ軍学校の柴がいるでしょ」
同性、同い年、同じ異世界人……。
確かに、必要そうな条件は同じだな。
襲撃を失敗して身の安全のために引きこもっている僕よりも、そちらを狙うほうが色々と特で簡単に事が運ぶだろう。
「なら一体なんだ?」
「それは……」
僕の質問にカライトは言いよどんだ。
「……知ったら、調べようとするか。うん、言わない!」
「言い笑顔で言ったな……」
もう、ほんと綺麗な笑顔で言いきった。
「それ、僕が自力でたどり着けると思わないのか?」
「思わないね。私の知ってる“カルタ”は、自分達が狙われていることはわかっていたけど情報が少なすぎて真の目的にたどり着く前に殺されたもの」
“情報が少なすぎて目的にたどり着けなかった”ということは、僕たちを殺すことが目的ではないなのか。
もしかして、僕たちを呼んだのは僕たちを狙っているもの達なのか?
「そもそも、調べたとしても簡単に情報は集まらないよ。私も自分で調べてみたけど、私が見つけた情報でたどり着けるなら、最初から何かしら知っている者だろうね」
カライトがどれほど調べたのかわからないが、カライトの言い分を真正面から信じるとするなら、もうそれは情報が隠匿されているとしか思えない。
「あ、もしかしたら家族の話もしてくるかもしれないから気をつけてね」
「は?いや、待て、この世界において僕の家族の事を調べようとするなんて無理だろう!?」
「私だって、詳しいことはわからないよ。でも、戌井永華の過去も、“カルタ”の過去も奴らは把握してたんだ。何かあるのは間違いないけど、その“何か”の正体までは……」
カライトの発言に僕は眉間にシワを寄せる他無かった。
「知らない、わからない。そればっかりだな。そんなに情報が少ないのに、よく僕を助けるなんて言ったものだ」
「……仕方ないじゃん。情報を持ってそうな人や関係者のほとんどが死んだんだからさ」
「は?ど、どういうことだ……」
カライトの言葉に冷や汗が流れた。
「はは、君は知らなくて良いことだよ。戌井永華の失態がな蹴らば起こらない未来のはずだからね」
関係者がほとんど死んでしまうような事件が起きるってことだよな?
戌井がなにかをして、僕が死ぬことになる。
その結果、死人が大量に出るような惨劇が起きる。
……カライトが戌井を嫌って、憎んでいるようにも見える理由は、その大量の死人が原因なんだろうか?
これなら納得がいくし、僕を生かそうと行動している理由が説明がつく。
「教えてくれといっても教えてくれないのか?」
「今は知らなくて良いよ。知ってたら、あとあと厄介ごとに巻き込まれるかもしれないしからね。余計なことは知らなくて良いんだよ」
教えてくれる気はないのか……。
「この話はここでおしまいだよ。それじゃあ、声をかけてくるだろう不審者に、モカノフに気をつけて。モカノフは、モカノフ達は危ないから」
“モカノフ”?
カライトが戌井と僕以外の人物名を出したのは今回が始めてだった。
「また、いきなりさよならか?」
「うん、そう。じゃあね?」
視界が暗転した。
無理矢理、目を開く。
すぐに目に入ったのは文字だった。
……そうだ。
図書館で勉強しているときに寝落ちしたんだった。
「はぁ……」
“モカノフ”か。
起き上がって、窓から空を見上げる。
一週間前に引き続き、雲行きは怪しいものになっていた。
「覚えていて損はないな」
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